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第11章 北の森
16 狼人族の巣
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「ディアナ、頼む。まずはお前らの巣に連れてってくれ。しっかりと話し合わなきゃならねえことがある」
ディアナさんの言葉を聞いてしばらく三人三様呻った結果、バッカスがグッと覚悟を決めた形相でそう言って頭を下げた。するとそれを見たディアナさんが驚いた顔で大きく目を見開く。
「驚いたな。バッカスお前が私に頭を下げるなんて変化も出来ないガキの頃以来じゃないか?」
あ、バッカスの肩が震えた。でも我慢してるらしくそのまま顔を上げようとはしない。その様子をしばらく見つめてからディアナさんがため息交じりに返事した。
「分かった。じゃあついてこい」
そう言いながらすぐにまたあの狼の姿に戻っていく。それを聞いてバッカスも、そして残りの三人も同様に狼の姿に戻った。黒猫君が「首に掴まってろ」と小さく言って飛び上がる。私は慌てて黒猫君の首に腕をまわしておサルさんよろしくぶら下がる勢いで掴まった。だって黒猫君の身体能力で普通に飛び上がったりされると心臓が止まる思いをするのはもうよく知ってるし。
「それじゃあ行くぞ」
ケインさんもアントニーさんを咥えて放り上げられ、何とかアントニーさんの背の上で体勢を整えてからまたもアントニーさんの背中の紐に身体を結わい付けた。
私は手を伸ばしてバッカスの背中を撫でながら声をかける。
「バッカス、ありがと」
「別に」
短くぶっきらぼうに返事をしたバッカスはディアナさんの後について勢いよく飛び出した。
「あー、ダメだこいつ、完全に白目剝いてる」
バッカスと黒猫君がぐったりとしたケインさんをアントニーさんの背中から引きづり下ろしている間、私は私で地面に這いつくばってたりする。
あの後、バッカスたちと違って手加減なしにスピードを上げるディアナさんに続いて駆け出したバッカスたちの背に揺られ、私は思いっきり乗り物酔いしてた。恐怖で胃が攣ったのかもしれない。
ケインさんは羨ましい事に気絶できたらしい。いっそ私も気絶したかったけど、ここしばらくの黒猫君の扱いのお陰で変に耐性が付いちゃってて耐えきってしまった。だけど降りた途端胃がムカムカして、黒猫君にお願いして屈みこめる地面に一人にしてもらってるところ。
「仕方ない、そいつは担いで来い。こっちだ」
人型になったディアナさんがそう言って、到着した場所の奥に見える洞穴に足を向ける。どうやらそこに巣があるらしい。
「仕方ねえな、アントニーそいつ担いでくれ。ネロ、あゆみはどうだ?」
黒猫君が寄ってきて私の様子を見降ろしてる。何とか土魔法で穴を掘ってそこに吐き終わってた私は水魔法の水で口を濯いでもう一度土魔法で埋めなおしたところだった。多分、見られないで済んだと思う。シアンさんに土魔法習っておいて本当に助かった。
「あゆみ、もう行けるか?」
「う、うん、お願いだから暫くは揺らさないで」
黒猫君が気づかわし気に私を抱えあげて、猫のように足音も立てずに歩き出した。
うわ、黒猫君、こんな事も出来るのか。
「中々いいカモフラージュだな」
バッカスがそう言うのも無理はない。ディアナさんは洞穴に向かうと見せかけて、その洞穴のある小高い丘を登っていく。人が普通に昇るのにはちょっときつい傾斜を上ると、下に見えていた洞穴のそのまた上にもう一つ洞穴が開いていた。下生えの草と枝に覆われて下からはちょうど見えなくなってる。
「ああ。元々この辺に住んでた奴がいたんだろ、どう考えても人の手が入ってた」
そう答えながらディアナさんが洞穴に入って入口辺りの壁をリズミカルに叩くと、奥のほうで小さな明かりが灯った。
「戻った。他にも客人を連れてきてる。外側の部屋に入れるぞ」
洞穴の少し奥は木の柵と側面に扉代わりの枝で作られた簾のようなものがかかってる。柵の向こう側にはもう二人の狼人族の人たちがいて、薄暗くてよく見えないけど柵の先にはまだ奥があるらしい。
私たちが進むと一人の背の高いほうの人が柵を引いて少し開けてもう一人が片側の簾を上げてくれた。
「入れ」
ディアナさんの指示通り中に入れば確かに人の手が入っていて、以前いた砦を思い出させる岩壁の窓のない小部屋だった。
床はそれでも干し草を編んだような物が敷かれてる。私たち5人とディアナさん、そしてさっきの背の高い狼人族の男性が部屋に入ると少し窮屈に感じる程度のサイズだった。
「座れ」
ディアナさんに促されて皆で車座になって座る。アントニーさんが気絶したままのケインさんを奥に横たえてる。私も知らない人がいるのに黒猫君の膝の上は恥ずかしくて、黒猫君のすぐ横で寄りかかるようにして座らせてもらった。
あ、この敷物凄い。ゴツゴツした岩肌に置かれてるのに座っても全然痛くない。バッカスたちも座布団みたいに丸めた草とか置いてたけど、これだとちゃんと編んであるからズレないし全然楽だ!
「バッカス、それで話っていうのは──」
「バッカス、この敷物すごいよ! すっごく座りやすい! なんでバッカスたちも作んなかったの?」
つい、あまりに感心して口をついて出た私の言葉とディアナさんの言葉が重なった。
「ご、ごめんなさい、つい……」
私が慌ててディアナさんに謝ると、ディアナさんがちょっと驚いた顔をしてからニヤって笑って私に答える。
「いや。褒めてくれてありがとう。これは私たちの一族の産物なんだ。バッカスたちじゃ作れない」
「ああ、俺たちはこんなチマチマしたもん作らねぇ。俺たちには刀作りがある」
「待てバッカス、じゃあ鉄を作ってるのもお前の一族だけなのか? 他の捕まってる奴らは知らないってことか?」
黒猫君の言葉にバッカスが顔をしかめ、ディアナさんが半立になって警戒を顕にした。
「ネロお前今それ言わなくても良いだろうに……」
「おいバッカス! なんでコイツが鉄のことを知ってるんだ?」
そこからは喧々諤々の怒鳴り合いがしばらく続いた。
「コイツが俺の刀見ただけでなんか感づいちまったんだよ」
「そんな安易に刀を見せる奴があるか!」
「いや安易じゃねえぞ、殺されかけたからな」
いや、黒猫君そこで私を見ないで。
「それを言ったら俺も目ん玉やられたけどな」
「お前だってあゆみ攫っただろ」
「だからなんで刀見て鉄に繋がるんだ!」
「刀の製鉄が特殊だからだよ」
しれっとそう言った黒猫君に今度はバッカスが声を上げる。
「おい、ネロなんでそんなこと知ってるんだ?」
「お前らにそれ伝えたやつ、多分俺らと同じ所からここに迷い込んだんだろうよ」
「み、皆落ち着きましょう、ね?」
私が仲裁に入った途端、皆黙り込んじゃったから、私のせい? って周りを見回すとバッカスもディアナさんもジッと黒猫君を見てる。
「ネロ、前に言ってた違う場所ってお前……」
「よせバッカス。その話は後回しだ。それより私にはまだお前たちの関係が良くわからない」
バッカスが問いただそうとするのをディアナさんが制止して、なぜか私の顔を見ながら聞いてきたので、私は皆を代表して返事をしておいた。
「バッカスたちは私の家族です。黒猫君は私の……私の夫です」
うわ!言っちゃってすごく恥ずかしくなった。見ると私の横の黒猫君の顔も赤い。焦った私はそれを誤魔化すように早口に続けた。
「い、一度は勘違いでバッカスたちに襲われて、逃げる途中私と黒猫君がバッカスに怪我を負わせちゃったんですけど、その後今度は私がバッカスたちに攫われて、洗濯して一緒に暮らして、モフモフしてるうちに仲良くなって結局皆家族になっちゃったんです」
あ……私の説明でディアナさんが頭を抱えた。見ればバッカスとアントニーさん、それに黒猫君まで呆れ顔で私を見てた。
ディアナさんの言葉を聞いてしばらく三人三様呻った結果、バッカスがグッと覚悟を決めた形相でそう言って頭を下げた。するとそれを見たディアナさんが驚いた顔で大きく目を見開く。
「驚いたな。バッカスお前が私に頭を下げるなんて変化も出来ないガキの頃以来じゃないか?」
あ、バッカスの肩が震えた。でも我慢してるらしくそのまま顔を上げようとはしない。その様子をしばらく見つめてからディアナさんがため息交じりに返事した。
「分かった。じゃあついてこい」
そう言いながらすぐにまたあの狼の姿に戻っていく。それを聞いてバッカスも、そして残りの三人も同様に狼の姿に戻った。黒猫君が「首に掴まってろ」と小さく言って飛び上がる。私は慌てて黒猫君の首に腕をまわしておサルさんよろしくぶら下がる勢いで掴まった。だって黒猫君の身体能力で普通に飛び上がったりされると心臓が止まる思いをするのはもうよく知ってるし。
「それじゃあ行くぞ」
ケインさんもアントニーさんを咥えて放り上げられ、何とかアントニーさんの背の上で体勢を整えてからまたもアントニーさんの背中の紐に身体を結わい付けた。
私は手を伸ばしてバッカスの背中を撫でながら声をかける。
「バッカス、ありがと」
「別に」
短くぶっきらぼうに返事をしたバッカスはディアナさんの後について勢いよく飛び出した。
「あー、ダメだこいつ、完全に白目剝いてる」
バッカスと黒猫君がぐったりとしたケインさんをアントニーさんの背中から引きづり下ろしている間、私は私で地面に這いつくばってたりする。
あの後、バッカスたちと違って手加減なしにスピードを上げるディアナさんに続いて駆け出したバッカスたちの背に揺られ、私は思いっきり乗り物酔いしてた。恐怖で胃が攣ったのかもしれない。
ケインさんは羨ましい事に気絶できたらしい。いっそ私も気絶したかったけど、ここしばらくの黒猫君の扱いのお陰で変に耐性が付いちゃってて耐えきってしまった。だけど降りた途端胃がムカムカして、黒猫君にお願いして屈みこめる地面に一人にしてもらってるところ。
「仕方ない、そいつは担いで来い。こっちだ」
人型になったディアナさんがそう言って、到着した場所の奥に見える洞穴に足を向ける。どうやらそこに巣があるらしい。
「仕方ねえな、アントニーそいつ担いでくれ。ネロ、あゆみはどうだ?」
黒猫君が寄ってきて私の様子を見降ろしてる。何とか土魔法で穴を掘ってそこに吐き終わってた私は水魔法の水で口を濯いでもう一度土魔法で埋めなおしたところだった。多分、見られないで済んだと思う。シアンさんに土魔法習っておいて本当に助かった。
「あゆみ、もう行けるか?」
「う、うん、お願いだから暫くは揺らさないで」
黒猫君が気づかわし気に私を抱えあげて、猫のように足音も立てずに歩き出した。
うわ、黒猫君、こんな事も出来るのか。
「中々いいカモフラージュだな」
バッカスがそう言うのも無理はない。ディアナさんは洞穴に向かうと見せかけて、その洞穴のある小高い丘を登っていく。人が普通に昇るのにはちょっときつい傾斜を上ると、下に見えていた洞穴のそのまた上にもう一つ洞穴が開いていた。下生えの草と枝に覆われて下からはちょうど見えなくなってる。
「ああ。元々この辺に住んでた奴がいたんだろ、どう考えても人の手が入ってた」
そう答えながらディアナさんが洞穴に入って入口辺りの壁をリズミカルに叩くと、奥のほうで小さな明かりが灯った。
「戻った。他にも客人を連れてきてる。外側の部屋に入れるぞ」
洞穴の少し奥は木の柵と側面に扉代わりの枝で作られた簾のようなものがかかってる。柵の向こう側にはもう二人の狼人族の人たちがいて、薄暗くてよく見えないけど柵の先にはまだ奥があるらしい。
私たちが進むと一人の背の高いほうの人が柵を引いて少し開けてもう一人が片側の簾を上げてくれた。
「入れ」
ディアナさんの指示通り中に入れば確かに人の手が入っていて、以前いた砦を思い出させる岩壁の窓のない小部屋だった。
床はそれでも干し草を編んだような物が敷かれてる。私たち5人とディアナさん、そしてさっきの背の高い狼人族の男性が部屋に入ると少し窮屈に感じる程度のサイズだった。
「座れ」
ディアナさんに促されて皆で車座になって座る。アントニーさんが気絶したままのケインさんを奥に横たえてる。私も知らない人がいるのに黒猫君の膝の上は恥ずかしくて、黒猫君のすぐ横で寄りかかるようにして座らせてもらった。
あ、この敷物凄い。ゴツゴツした岩肌に置かれてるのに座っても全然痛くない。バッカスたちも座布団みたいに丸めた草とか置いてたけど、これだとちゃんと編んであるからズレないし全然楽だ!
「バッカス、それで話っていうのは──」
「バッカス、この敷物すごいよ! すっごく座りやすい! なんでバッカスたちも作んなかったの?」
つい、あまりに感心して口をついて出た私の言葉とディアナさんの言葉が重なった。
「ご、ごめんなさい、つい……」
私が慌ててディアナさんに謝ると、ディアナさんがちょっと驚いた顔をしてからニヤって笑って私に答える。
「いや。褒めてくれてありがとう。これは私たちの一族の産物なんだ。バッカスたちじゃ作れない」
「ああ、俺たちはこんなチマチマしたもん作らねぇ。俺たちには刀作りがある」
「待てバッカス、じゃあ鉄を作ってるのもお前の一族だけなのか? 他の捕まってる奴らは知らないってことか?」
黒猫君の言葉にバッカスが顔をしかめ、ディアナさんが半立になって警戒を顕にした。
「ネロお前今それ言わなくても良いだろうに……」
「おいバッカス! なんでコイツが鉄のことを知ってるんだ?」
そこからは喧々諤々の怒鳴り合いがしばらく続いた。
「コイツが俺の刀見ただけでなんか感づいちまったんだよ」
「そんな安易に刀を見せる奴があるか!」
「いや安易じゃねえぞ、殺されかけたからな」
いや、黒猫君そこで私を見ないで。
「それを言ったら俺も目ん玉やられたけどな」
「お前だってあゆみ攫っただろ」
「だからなんで刀見て鉄に繋がるんだ!」
「刀の製鉄が特殊だからだよ」
しれっとそう言った黒猫君に今度はバッカスが声を上げる。
「おい、ネロなんでそんなこと知ってるんだ?」
「お前らにそれ伝えたやつ、多分俺らと同じ所からここに迷い込んだんだろうよ」
「み、皆落ち着きましょう、ね?」
私が仲裁に入った途端、皆黙り込んじゃったから、私のせい? って周りを見回すとバッカスもディアナさんもジッと黒猫君を見てる。
「ネロ、前に言ってた違う場所ってお前……」
「よせバッカス。その話は後回しだ。それより私にはまだお前たちの関係が良くわからない」
バッカスが問いただそうとするのをディアナさんが制止して、なぜか私の顔を見ながら聞いてきたので、私は皆を代表して返事をしておいた。
「バッカスたちは私の家族です。黒猫君は私の……私の夫です」
うわ!言っちゃってすごく恥ずかしくなった。見ると私の横の黒猫君の顔も赤い。焦った私はそれを誤魔化すように早口に続けた。
「い、一度は勘違いでバッカスたちに襲われて、逃げる途中私と黒猫君がバッカスに怪我を負わせちゃったんですけど、その後今度は私がバッカスたちに攫われて、洗濯して一緒に暮らして、モフモフしてるうちに仲良くなって結局皆家族になっちゃったんです」
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