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短編 山口さんと私の中途半端な関係 下 ★(完)

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 山口さんはゆっくりと唇を離すと、惜しむように軽く唇を重ねる。
 それを何回も繰り返した後私の頭を上にそらして、今度は私の首筋にキスを降らせ始めた。
 最初はポロポロと溢れるような軽いキスをしていたのに、それが段々と激しくなり、まるで私を食べようとしているように唇で噛みついてくる。

「んっ………あっ………」

 頸動脈に沿って舌でなぶられその真上に歯をあてて甘噛みされると体の芯を串刺しにするような快感が駆け抜けていく。
 山口さんの唇が優しく触れた場所から染み込むように快感が広がってくる。
 優しいキスと噛み付くようなキスを繰り返しながら唇が少しずつ下に降りてくる。
 山口さんの長い指の間から押し出されて上を向いた私の乳房を、まるで肉にかぶり付くような勢いで私を味わい尽くすように山口さんがかぶりつく。
 山口さんの唇が通った場所が山口さんの唾液に濡れて冷たくなるのがやけに卑猥だ。
 乳首を転がされ、乳房に歯を立てられ揉み出しては吸いあげられ。

「ん……うっ、ん………あっ………」

 鼻に抜けるような声が勝手に漏れ出すのが恥ずかしいけど、どうしてもめらない。
 それどころか朦朧もうろうとするほどの快感に背筋が勝手に戦慄おののく。
 少しして、心配そうに山口さんが声をかけてきた。

「気を付けてるけど、痛くないよな」
「だ、大丈夫、気持ちが、よすぎて、心臓が痛い」
「それなら大丈夫だな」

 ニッと笑った山口さんは私のパジャマのシャツをを脱がしてそのままキスを落としつづける。
 私のおへその上にキスが落ちて、お腹の横に噛みつかれて、山口さんは好き放題私を味わっている。

「これも脱がすよ」

 そう言って山口さんにパジャマと下着を一緒にずらして一度に剝ぎ取られた。
 自分だけが裸にされて少し心細い。

「私も山口さんを脱がせてあげたい」
「今度な」

 そう言って勝手に自分で脱いでしまう。
 窓の外の光で照らされた山口さんの体のシルエットに見とれてしまった。
 男の人ってずるい。
 特に運動をしている訳でもなさそうなのになんでこんなにがっちりしてて太ってないんだろう。
 見とれている間に山口さんの体が私の上にかぶさって。
 肌と肌が重なると、まるで吸い付くようにぴったりと収まる。
 不思議なほど落ちつく。
 素肌とそこから伝わる自分以外の体温ががこんなに気持ちいいとは思わなかった。
 私の肩口に山口さんが噛みつく。
 歯を立てるだけの甘噛み。
 じゃれるような山口さんの歯の感触はくすぐったいのと同時にライオンの子供に弄ばれてるような気がして、ゾクリと私の頬を寒気が走る。
 そうしている間も体中を山口さんの手が優しく撫でまわす。
 時にかすめるように、時に爪を立てて私の神経を逆立てるように私の肌を山口さんの指が走る。
 山口さんの手が私の身体を撫でる度に体の中に溜め込まれる自分自身の熱でなんだか身体が浮き上がりそうだ。

「触るよ」

 そう言ってから山口さんの手が私の太ももの間に滑り込んで私のそこを確かめるように撫でる。
 神経がとがっている今の私にはもうそれだけでも痺れるような快感で体がブルリと震えた。

「濡れてるね」

 今日の山口さんはめちゃくちゃ優しい。
 そのまましばらく弄ぶようにそこを撫でまわされて、私の中にどんどんと快感が積み重なっていく。
 まるでグラスに水を満たすように少しずつ、でも確実に満たされてくる快感に、体が焦れて勝手に山口さんの指を求めはじめた。
 そっか、もう私の体は山口さんの指が与えてくれる快感を覚えてるんだ。

「この前ので癖になっちゃった?」

 そんなことを私が考えているのを見透かすように山口さんが口の端を少し吊りあげる。
 私が膨れて文句を言う前にプツリと山口さんの指が中に差し込まれて、私は息をのんでしまって声が出なかった。

「今日はゆっくりね。後で僕が十分イかせてあげるから」

 ただ、ゆっくりとゆっくりと中を感じ取るように指を動かす。

「まだ少しきついね。こっちも触ってほしい?」

 ぴたりと花芯に指をあてて私の返事を待っている。
 ずるいよ、欲しいのわかってる癖に。

「ちゃんと言って」

 そういいながら本当にすぐ目の前で山口さんは私をじっと見ているのだ。

「触って、欲しいよ」

 悲しいわけでもないのに、ポロリと涙がこぼれる。
 涙がこぼれているのに、山口さんはすごく嬉しそうに顔を輝かせた。

「そっか。欲しかったんだね」

 言葉とともに、中に差し込んだ指で花芯の後ろを押し上げながら、やっと山口さんの指が優しく敏感な部分を撫ではじめた。

「はあんむっ」

 私がたまらずに声を上げると、その声を飲み込むように山口さんの唇が私の口をふさぐ。
 ほんの数回擦りあげられただけで体中が痺れてきているのに山口さんがまた動きを止めてしまう。

「もっと欲しい?」
「欲しい」

 私が欲しいと言う度に少しずつ少しずつ快感を溜めてくれる。
 だけど、絶対に最後まではくれない。
 この前はあんなに何度も私だけ先にイかせた癖に、今日はいつまで経ってもイかせてくれない。
 前言撤回、やっぱり優しくないよ。
 あまりに体が焦れて今にも弾けそうで自然と涙が溢れてきた。

「山口さん、もう無理、欲しいよ、もっと欲しいの。ちゃんとイかせて」

 その言葉を待っていたかのように山口さんが頭を撫でてくれる。

「今日は僕のだけでイくんだ」

 そう言って私の手を自分の物にあてがう。

「これ欲しい?」

 私は自分の手の中の硬い感触を味わう。
 この前は下着の上から触ったっきり中に入っていても触る機会はなかった。
 自分の知らない感触。
 これが山口さんの物。
 あまりにも自分とは違うそれが正直、ちょっと怖い。
 そう思った瞬間、山口さんの物がピクンと動いた。
 思わずちょっと握ってしまう。
 途端、山口さんの体がビクンと反応を返す。

「待て、君に触らせるとまた余計なことをしそうだな」

 山口さんに取り上げられてしまった。
 折角、怖いより可愛いと思ったのに……
 山口さんはちょっと伸び上がって枕元のテーブルから小さな袋を取り出して口で破く。
 あれ、コンドームだよね。
 持ってたんだ、山口さん。
 ちょっと体をひねって私の視界からそれを隠してしまう。
 覗こうとすると「見ないの」っと言って頭をおさえられてしまった。
 もう婚約決まったんだし別に着けなくてもいいとか思ってしまう私はダメな女なんだろうか?

「ちょっと足を持ち上げるよ」

 え? 持ち上げるって?
 って馬鹿なことを考えている間にしっかりと足首を掴まれて逆釣りのように吊りあげられた。
 少しお尻が浮き上がっちゃてる。
 そのまま山口さんの物が揺れる私の入り口に狙いを定めるようにあてられる。

「入れるよ」

 そう言ったのに山口さんの物が少しだけ入って止まってしまう。

「もっと欲しい?」

 ひどい、また私に言わせる気だ。
 分かってる。
 山口さんは私に言わせるのが楽しいんだ。
 ちょっと悔しくて私は口をつぐむ。
 すると山口さんがおや、っとちょっと首を傾げて口の端をクイッとあげる。

「そっか。言わない気か。じゃあお仕置き」

 え? っと思った時には山口さんの物が抜かれ、持っていた足を私の頭の方に投げ出して代わりに山口さんは私の腰をもって高く持ちあげてしまう。
 私は要はお尻を高く突き上げてでんぐり返しの途中のような格好にされてしまったのだ。

「いや、ちょ、な、なにを?」
「君は僕のよりこれが欲しいんだろ」

 そう言って私の秘所にかぶりついた。
 舐めたんじゃない、かぶりついたのだ!

「きゃぅっ!」

 カプカプと色々な角度から甘噛みされる。
 時々山口さんの歯が敏感な場所にあたって私の体が跳ね上がる。
 野獣に捕食されるのってきっとこんな感じ?
 時々ペロリと舐め上げられて、快感に背中がのけぞってしまう。
 最後に山口さんの舌が私の蜜が溢れだすその周りを何度も円を描くようにゆっくりと舐めまわす。
 その舌の動きがあまりに卑猥で一気に頭に血が上ってクラクラしてくる。

「ここに欲しい?」

 そう言って私の一番濡れている所を山口さんの舌がチョンチョンと突く。
 無意識に私のそこがそれに答えるうようにすぼまるのが自分でも分かって余計恥ずかしい。
 私は自分の抑えきれない反応が恥ずかしくてちょっと顔を背けた。

「まだ言えない?」

 声にちょっと意地悪な響きが混じってきた。

「じゃあ言えないならこっちも開発しちゃうよ」
「え、や、それはや!」

 山口さんの舌がこともあろうに後ろに回って少しずつ後ろの穴に近づいてくる。

「ごめんなさい、ごめんなさい、欲しいです。前に、欲しいです」

 私は半泣きで叫んだ。

「分かればよろしい」

 ゆっくりと私の腰をおろして今度は私の膝を立ててその間に山口さんの身体が押し入ってくる。
 ピタリと私の入り口に自分の物を押し当てて聞く。

「彩音ちゃん、欲しい?」

 すごく優しい声音で囁かれて自分の身体が私より先に答えるように山口さんの物に縋り付くのが分かった。

「……欲しいです…あぁぁ…あっ」

 私の絞り出した答えと共に山口さんがゆっくりと奥まで自分の物を挿しいれた。

「っんくぅ……」

 山口さんが苦しそうに息を詰めた後、小さく息を抜く音が聞こえた。
 この前のように痙攣こそしなかったものの、自分の中が自分の物ではないかのように勝手にうごめく。
 それに合わせて山口さんの物が中でビクンと跳ねた。
 最初の波が収まるまでしばらくそのままだった山口さんがちょっと眉根を寄せて息を吐きだす。

「やっと受け入れてくれたね」

 嬉しそうに微笑んだ後ゆっくりと腰を私に擦り付けはじめた。

「一番奥まで入れても痛くない?」
「あぅあああっ……」

 奥をグリグリと擦られて、痛いどころか子宮が収縮してイきそう……

「もしかしてもうイきそう? じゃあこのままイってごらん」
「え? あぁぁぁ、あああっ!」

 収縮している子宮の辺りに手を置いた山口さんはそのまま挟み込むように硬いものと手をゴリゴリと擦り付けながら奥をかき混ぜる。
 深い深い場所の追い込まれるような快感に私はそのまま痙攣を始めた。
 多分イってる。
 イってるんだけどその流し続けられる快感のせいでいつまで経っても絶頂感も痙攣も収まらない。

「や、山口さん、息、息できない、ゆるめて、」
「ごめん、彩音ちゃんの中が痙攣して締め付けるの気持ちいいから止めたくない」

 嘘だ、声に、余裕、あるじゃん!
 こっちは意識が飛びそうなのに山口さんは息継ぎのように一瞬腰を引くとまたゴリゴリを始める。
 しばらく私の痙攣を楽しんだ山口さんは少し腰を引いてまたゆっくりと中に差し入れる。

「彩音ちゃんの中が僕のペニスでいっぱいなのが分かるよ」

 そう言って私の中で動く自分の物の形を確かめるように私のお腹をサワサワと撫でる。
 山口さんに撫でられると甘い快感が肌の表面を舐めて外側と内側の両方から快感がやってくる。
 さっきまでの息の詰まるような快感じゃなくて身体の中をずり上がって来るような快感。
 どうすればいいのか知っていると言うように、私の腰が勝手に浮き上がって山口さんの物に喰い付きはじめる。

「そろそろ動かしても大丈夫そうだね」

 そう言うと山口さんは私の腰をしっかりと掴んでゆっくりとリズミカルに律動を始めた。

「ああ、ああ、は、はは、アハ」

 うわ、波が来る。
 快感の波が襲ってくる。
 私の中が嬉しくて躍りあがる。
 待ち焦がれていた物をやっと与えられた喜びでまるで笑っているみたいな声になっちゃう。
 身体の中心の自分でも知らなかった奥の奥から震えるような快感の波が頭の頂点まで襲いかかる。
 山口さんの腰の動き、めちゃくちゃエッチだ。
 頭のどこかがそんなことを考えてる。
 追い上げてくるその動きにいつの間にか私も乗っかって腰を振り付けている。
 山口さんも気持ちいいといいな。
 山口さんの顔はさっきっからなんかちょっと辛そうで見ていると悲しくなる。

「山口さん、こっち、きて、抱き締めて、あげるから」
「彩音ちゃんっ!」

 手を伸ばした私を見た山口さんがより一層顔を歪めて我慢できないと言うように私に覆いかぶさる。
 私の頭を抱え込むように力強く抱き締め、叩きつけるように腰が振られる。
 私も一生懸命山口さんの背中に回した手で山口さんを抱きしめる。

「や、山口さん、もっと、もっと、イっちゃうの、イっちゃうから、あああっ!」
「彩音ちゃん、畜生、もう、限界っ、うっっっ!」

 私の腕の中で山口さんの身体がビクンビクンと痙攣けいれんする。同時に私の身体も中で脈打つ山口さんの物を感じてビリビリとしびれ上がって痙攣けいれんを始める。
 二人の身体は各々おのおの、それが正しいことだと知っているかのように、中に出される筈の山口さんの精液を少しでも多く受け渡そうとお互いに反り上がる。
 すごい、身体が全部知ってるんだ。
 ちゃんと一部始終を意識を保ったまま感じることのできた私は自分の顔が幸せに歪むのが分かった。
 パタンと山口さんが私の上に身体を重ねて脱力した。
 体中から力が抜けて凄く無防備。
 すぐ横にある山口さんの顔も無防備に緩んでる。
 男の人のこんな無防備なところが見れるのってなんか得した気分。
 でもきっと私も同じような顔してるんだろうな。
 激しい運動で上がってしまった私達の息は、それを吸う呼吸さえも一緒に合わさってる。
 ふと手を伸ばして山口さんの頭を撫でる。
 あ、山口さんの髪が汗でちょっと湿ってるのがエッチだ。
 そんなことをしてたら山口さんと目が合ってしまった。

 え? なんでそんな凶暴な目をしてらしゃる?

「まだこれで終わると思うなよ」

 なぜ捨て台詞?
 山口さんは振り切るように立ち上がって部屋を出て行く。
 え? え? どうしちゃったの?
 私何かしちゃった?
 そのままベッドで脱力しているとどこかで水音がする。
 数分で帰ってきた山口さんは手に持ってきた手ぬぐいで私の手を縛りあげた。

「彩音ちゃんの手は余計なことばかりするからしばらくそのままだな」

 そう言って軽々と私の身体を持ち上げてベッドの上でうつ伏せにする。
 お尻を突き出すような恥ずかしい格好にしておいて「絶対に動くな」と容赦ないことをおっしゃる。
 あまりの恥ずかしさと山口さんの豹変にちょっと戸惑っていると、後ろでまたゴソゴソとビニールの破れる音がしてしばらくするとなんの予兆よちょうもなく山口さんの硬いものが私の中を貫いた。

「ひゃぁぁん」

 驚いて一瞬腰を引こうとするのに私の腰をしっかりと掴んだ山口さんの手がそれを許してくれない。

「気持ちいいか」

 波打っている私の背中を見れば分かりきったことを確かめるように聞いてくる。
 私がまだ衝撃から立ち直れなくて返事を返せないでいると、入り口近くまで引き抜いてまた勢い良く中に叩きつけられる。

「ふゃあああっ!」

 新しい衝撃により一層追い込まれて声の出ない私に追い打ちをかけるように後ろから山口さんの声がかかる。

「気持ちいいのか聞いてるんだ」
「き、気持ちいい、です…」

 絞り出すようにして答えると山口さんがそのまま数回軽く中を擦り上げるように腰を動かした。
 途端、さっきと同様の快感の波が今度は後ろから私を襲ってくる。
 でもまたすぐに腰の動きを止めて私の腰を掴んでいた手を離し、山口さんが意地悪を言う。

「気持ちいいんだったら自分で腰を振り付けてみろ」

 ひ、ひどい。
 この状態で腰を振ったら私、犬みたいだよ。

「ほら」

 せっつくように軽く中を突かれて子宮がズクンとうずく。
 我慢できない。山口さんのが奥に欲しい。
 思わず自分から腰を振り付けて山口さんの物を中に誘い入れようとするのに、意地悪な山口さんは自分の腰を最後の所で引いて奥に当てさせてくれない。
 それが死ぬほど切なくて、余計欲望を駆り立てられて私の腰の動きが加速する。

「可愛いいね。そんなに腰を振って。そんなに欲しくてしょうがないのか」

 まるでいなすように私のお尻を山口さんの大きな手が優しく撫でる。
 その淡い感触さえただただ私の飢餓感を煽るだけだ。

「奥に欲しい? ここまで入れて欲しい?」

 そう言って山口さんは片手を私のお腹に添えて奥のあたりをクイッと指で押す。

「あああっ!」
「外から押されただけでも気持ちいいんだったら中から突かれたらきっともっと気持ちいいだろうな」

 そのまま私が正に突いて欲しい辺りを指で撫で回す。
 山口さんが上体をかがめて私の身体の両脇に手を付き、耳元で囁いた。

「欲しいってちゃんと言うんだ」

 その声だけで花芯が痙攣した。

「ほしい、ほしいよ、もうして、」
「どこに?」
「奥に…一番奥に欲しい」
「良くできた。ご褒美だ」

 そう言って山口さんはめちゃくちゃに腰を振って私の中を突き上げてくれた。

「あああっ、ああんっ、あああんっ、アアアッ」

 やっと与えられた快感の激しい波に動物のように衝動的な嬌声が勝手にあふれ出してきて抑えられない。

「イっていいよっ」

 言われるまでもなくそのまま私は一番高い所まで上り詰めていく。
 私が達してしまって体の痙攣けいれんが始まると、山口さんはまた腰を擦り付けるようにして私の一番奥をいじめる。
 それをやられると一番上り詰めたところから降りてこれなくて、耐えきれず痙攣けいれんを続ける身体がお腹を丸めるように引きる。

「山口さん、もう、イった、イったの!」

 身体の痙攣を止めさせてくれない山口さんに訴えると酷い答えが返ってくる。

「イく時ちゃんとイくって言わなかったろう」
「いえない、から、そんなの、むり、」
「駄目だ。このまま続けるぞ。次はちゃんと自分で言うんだ」

 そう言って私の両肩をつかんだ山口さんは私を揺りあげるように勢いを付けて律動りつどうを始める。
 一旦達してしまった身体をまた新しい快感の波が襲い始め、私の頭は許容量を超えた快感に混乱する。
 だけどいつしか私の身体もまた山口さんの動きに合わせて波打ちだした。

「彩音ちゃんの後ろ姿、凄くそそる」

 そう言って片手を伸ばして私の胸を弄ぶ。

「乳首をいじる度に中が締まるよ」

 そんなこと、説明されなくても分かっている。

「こっちもいじったらどうなるかな」

 そう言って私の上体を引き起こし、もう一方の手を下から回して私の花芯を撫で上げはじめた。

「だっ、それ、だめ、きつい、どっかいっちゃう、頭がどっか行っちゃう」

「またイきそう? ちゃんと言わないとこのまままた続けるよ」
「イく、もうイく、イくから、うわああぁぁっっ」

 ちゃんと言ったのに待っていたかのように一時いちどきに乳首をつねり上げられ、花芯を押し潰されて力いっぱい山口さんの膨れ上がった物を下からえぐるように一番奥に叩きつけられて私はガクガクと身体を震わせながら真っ白な快感に頭の中を焼きくされた。


   --- ・ ---


「彩音ちゃん、風呂入ろう」

 そう言って優しく山口さんの腕が私の身体を持ちあげる。
 ゆらゆらと揺れる浮遊感の後ムンっと部屋に立ち込める湿気で風呂場に運ばれたことにやっと気づいた。

「山口さん?」

「今日はもうおしまい。ぐったりしてたから勝手に運んできたよ」

 やっと意識がハッキリしてくれば私は裸のまま風呂場のプラスチックの椅子に座らせられている。
 すぐ横には山口さんがやはり全裸で立ていて、シャワーのお湯を調節していた。
 お風呂場の電気の下で見る山口さんの締まった身体が綺麗で、ついうっかり見とれているとバシャーっと突然温かいお湯が背中にかけられた。
 私のすぐに後ろに山口さんがひざまずいて私の身体を優しく洗いながす。

「そのままじっとしてて」

 そう言って上から下までお湯で洗い流したあと、私の足の間にもお湯をかける。

「ここで僕が洗っちゃうと切りがないから自分で洗って」

 なぜかちょっと残念そうに聞こえるのは気のせい?
 私は素早くヌルヌルと広がっている自分の愛液をお湯で洗いながす。

「山口さん、私も洗ってあげていい?」
「駄目だ。本当に切りがなくなっちゃうから」

 そう言って湯船に浸かるように私に言って勝手に自分で身体を洗い流しはじめる。
 ずるいなぁ~。自分ばっかり。
 ぽやーとそんなことを湯船に浸かりながら考えるのは凄く楽しかった。


   --- ・ ---


 あれから半月ちょっと。
 山口さんは週末出勤と締切で忙しく、お泊りはあれっきりだ。
 でも来週末には二人で私の両親に会いに初めての旅行に行くのだ。
 だから今日はなんでもない日曜の午後。
 ホームセンターで買い物しておしまいの忙しい週末。
 こんなお出かけも楽しい。
 江ノ島までのドライブだってほんとは楽しかった。
 でも来週まで本当の楽しいことはお預けの、何もない普通の日だから。

 フィアットの車内に雲間から日が射す。
 山口さんの横顔にあたってちょっと眩しそう。

「山口さん」
「んあ?」
「好きですよ」
「は? え? うわっ!」

 一瞬思いっきり私に振り返って、反対車線に飛び出して慌ててハンドルをきって一難を逃れた山口さんが、まっすぐ前を見ながらいつも以上に眉を寄せて聞いてきた。

「彩音ちゃん、もう一度言って」
「山口さんが好きです」

 その日、山口さんは最後まで往生際おうじょうぎわ悪く「原稿はちゃんと上げるからうちに来い」と誘ったが、「せっかくですから来週を楽しみにしましょうね」と私になだめられて渋々帰っていった。

「来週は覚悟しとけよ」と言う捨て台詞ぜりふを残して。

 うーん、私、ロスの観光は諦めたほうがいいかな。


 - 完 -
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