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2章 新しい風
30 波紋 ― 3 ―
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朝食が終わると私はそのまま二階の執務室に連れて来られた。
そこで改めて私の格好を見たアーロンがちょっと顔を顰める。
「お前、もうちょっと動きやすい服は無かったか?」
「え? 何か運動でもするんですか?」
「まあ、運動と言えば運動か。ちょっとエリーに何か着替えを見てもらってこい」
仕方なくそれをエリーさんに伝えると、小さなため息とともに着替えを探してくれた。
エリーさんは「折角アエリア様が可愛らしく見えるお洋服を選びましたのに……」と残念そうにしながらも白いシンプルなワンピースといつもの革靴を用意してくれた。
その格好で執務室に戻れば、「まあ、それでも何とかなるだろう」というあまり気のないお返事が帰ってきた。だったら着替えなきゃよかった。
「ちょっと遠出するぞ」
そうアーロンが声を掛けた途端、世界はどんどん色を失って最後には真っ暗になっていった。
一度色を失った世界はやがてまた徐々に色を取り戻していった。
そして最初に見た物は。一面に広がる砂漠だった。
「師匠、ここどこですか?」
「お前にどこか説明しても多分わかるまいが……」
アーロンは話しながらもスタスタ歩いて行ってしまう。私は慌ててその後ろを付いていく。
アーロンの進む先には砂漠の砂の海に浮かぶ小さな緑の島が見えた。
「ここは砂漠の一番端に当たるオアシスだ。俺の故郷にも近く幾つもの国を繋げる道の丁度交わる場所になる事から交易が盛んで色々なものが集まる。まあ、お前に必要なものを買っておくにはいい場所だ」
その島はそれ程遠くは無かったが私がアーロンの話を聞き終えるには十分だった。
丁度話し終えたアーロンはオアシスだと言う街の端にある石畳を進み始めた。
石畳の道は両脇を埋め尽くす背の低いサボテンの様な植物の真ん中を真っすぐに突き抜けている。
暫く進むと遠くからでもその石畳の両横に並ぶ幾つもの石像が見えて来た。
まるで石畳を守るかのように見下ろす石像の先には幾つものテントが張りだされ、徐々に人々の活気のある喧騒が響いてきた。
「ここは少し荒っぽい者もいるから俺から離れるな」
アーロンはだけどそう言ってまたぐんぐん先を行ってしまう。
「師匠、ちょっと待ってください。もう少しゆっくり!」
私が息を切らして追いつけば、振り替えったアーロンが大きなため息をつく。
「遅い」
「そんな! 師匠が早すぎるんです。少しは待ってください」
暫く私に合わせて歩いていたアーロンだったがすぐにイライラして来たのかとうとう私を片腕に抱き上げた。
「ちょ! ちょっと、下ろしてください、私自分で歩けますから!」
「お前の歩くのに付き合ってたら間に合わない」
不機嫌にそう答えたアーロンは私を抱え上げた途端今までの倍以上のスピードで歩き始めた。
って事は最初のあれでも私に合わせてゆっくり歩いてくれていたのか!
足の長さの違いってここまでひどいのか……
ちょっとショックを受けつつも私はもう文句を言うのを我慢してアーロンが進む先を見る。
街の中は全てテントだらけの様で色とりどりの布で出来たテントがちょっとずつ重なる様に開いてる様はまるで光に輝くステンドグラスの様にカラフルだ。
そこで物を売っている人たちもそれこそ様々で、私の今の姿の様な白い人間から黄褐色の人や黒人も結構いる。
中には褐色の肌がまるで日焼けした日本人の様に見える人までいた。
凄い! こんなに色んな人が居る所に来たのは初めてだ!
「師匠、凄いです、何か外国みたい!」
「ああ、ここはルトリアスからは遠いからな」
え、じゃあ本当に外国だったんだ!
「凄いですね、師匠の転移は初めてでしたけどこんなに遠くまで来れるなんて」
「ほら、あんまりきょろきょろしているな。ちゃんと掴まってろ」
つい周りに見とれて背中から落ちそうになった私を抱え上げたアーロンがちょっと眉をひそめながら私の顔を覗き込んだ。
うわ、この距離はちょっと近すぎだ。
折角引っ張り上げてくれたけど、距離を取ろうとしてまた落ちそうになる。
「お前は馬鹿か? なぜ今掴まってろっていたのに後ろに落ちる!」
そう言って今度こそがっしりと抱きかかえられてしまった。
「ほらもうすぐ着くぞ」
強制近距離接近に慌てる私を他所にアーロンが前方を指さした。
その先には今までより一回り大きなテントが広がっていた。
テントの中に入るとそこは幾つもの小さなブースが切り分けられていて、それぞれのブースの中にマーケットの様に幾つもの違うテーブルが並んでいた。
その間をアーロンは真っすぐに一つのテーブルに歩み寄っていく。
「入場だ」
アーロンがそう言うとテーブルの主が手に持っていた水晶を前に押し出す。
アーロンはその水晶に手をかざして、何やら魔力を放出した。
途端、世界が歪んで私はアーロンごと暗い大きな大きなテントの片側に来ていた。
「し、師匠? 何だったんですか今のは?」
「定点固定の転移点だ。魔法陣とは違い、同じ水晶石からとれた二つの水晶球に同時に全く同じ魔力で魔晶石化を行う事によって作る事が出来る。この様な一般には人を入れたくない催しに良く使われる物だ」
うわ、やっぱり流石アーロン。魔術だけじゃなくて魔晶石にも詳しいんだ。
「それで私達、どこに来たんでしょうか?」
「どこって今日の会場だ」
アーロンの返事が終わるか終わらないかの所でテントの中に大きな声が響き渡った。
「さあ、皆様、準備はよろしいでしょうか? 本日のメイン・イベント、タッグ戦が始まります。ご来場のお客様は全て当イベントの参加者として自動登録させていただきました。こちらから勝手にルートを振らせて頂きます。それでは皆様、良いイベントを!」
訳の分からないアナウンスが終わった途端、テントの中なのにズズズっと壁が床から競り上がり、私たちは細い道の真ん中に取り残された。
「これってまさか……」
「迷宮だ」
「で、出れるんですよね?」
「……お前次第だな」
私の心配をよそに、アーロンはいつもの意地悪な笑いを浮かべている。
「今朝の訓練に遅刻した罰だ。ここを自力で抜けて見ろ」
「え!」
「俺は後ろからついていく。基本お前が一人で抜けるんだ」
無茶苦茶だ。さっきのアナウンスではタッグ戦って言ってた。って事は本来二人で戦う物なんじゃないのこれ? しかも戦うって一体何と戦うの!?
アーロンにポイっと降ろされた私はちょっと青くなりながらも仕方なく前に進み始めた。
何かこのテント変だ。前に進んでも進んでも進んだ気がしない。
さっきっから一本道をずっと歩いているはずなのに前にも後ろにも真っすぐに一本道が続くのみだ。
ちょっと不安になって後ろを歩いていたアーロンを見上げれば、無表情に前を指さされた。
うう、前に行くしかないのか。
私は仕方なく真っすぐに進む。
5分程進んだ所で突然何かが私の目の前を横ぎった。
「ほら何してる、とっとと撃て」
「へ?」
何が通り過ぎたのかと目を凝らす間に後ろからアーロンの激が飛んできた。
何事かと目の前を良く見れば、そこには陽炎の様に漂うなにか薄っすらと青い存在が浮かんでる。どうやら人の形をしている様だがボケた写真の様に輪郭がぼやけていて細かい事が分からない。
ゆらゆらと揺れるそれはだけどどこも地面についていない。
足が無い……
ぞわっと鳥肌が全身に立った。
「ししし、師匠、こ、これ、まさか、幽霊さんですか!???」
「幽霊? ああ、そうとも言えるな。これは時空の間に閉じ込められた過去の残像だ。生きてはいないのだから幽霊と言えないことも無い。ただ、このまま増えると周りに影響が出る。だから今のうちになるべく多く狩っておくんだ」
「そ、そういう事は早くいて置いてください! それに師匠、撃つって何を撃てばいいんですか!?」
「ぁあ? 戦闘魔法に決まっているだろうが」
何当たり前の事を聞いているんだっという顔でそんな事言われたって!
「そんな物、知りません!!」
「はぁあ?」
「そ、そんな物、今まで一度も習た事無いです!」
「お前、一体学校で何習ってたんだ!?」
「そんな事言ったって学校では戦闘魔法なんて教えてくれません!」
「学校で教えないでどうするんだ」とアーロンが一人でブチブチ文句を言っているけど、そんなのアーロンの勝手な思い込みだ。
「それでよく魔道騎士団に応募なんてしたな?」
「だって、魔力量自体には結構自信あったんです」
指導員の先生より私の方があったし。
あの先生以外の魔術師なんて私の居た辺境では見かける事さえなかった。
私がそんな馬鹿な事に思いを馳せている間に、目の前の幽霊さんが私に突進してきた。
「おい、危ないぞ!」
アーロンが声を掛けてくれた時には既に手遅れだった。
飛んできた幽霊さんに思いっきり跳ね飛ばされて……いや、身体の中を通り過ぎられてしまった。
途端、体中が凍り付いた様に冷たくなってどんどん周りが暗くなっていく。
「師匠、し、しょう、こわ、い」
「真正面から受ける奴があるか! このばか……」
師匠の文句が終わらないうちに私は完全に意識を失った。
────
作者より:
思っていた以上にほど新しい話を書くのに時間がかかっています。
後2話明日明後日と見直しをしてから出して、その後はまたしばらく未定になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
追記:やはり本文中にあるのはみっともないので登場人物のまとめをブログに移しました。
リンクは各ページの本文の下(この下)に出ています。
必要な方はどうぞご利用ください。
そこで改めて私の格好を見たアーロンがちょっと顔を顰める。
「お前、もうちょっと動きやすい服は無かったか?」
「え? 何か運動でもするんですか?」
「まあ、運動と言えば運動か。ちょっとエリーに何か着替えを見てもらってこい」
仕方なくそれをエリーさんに伝えると、小さなため息とともに着替えを探してくれた。
エリーさんは「折角アエリア様が可愛らしく見えるお洋服を選びましたのに……」と残念そうにしながらも白いシンプルなワンピースといつもの革靴を用意してくれた。
その格好で執務室に戻れば、「まあ、それでも何とかなるだろう」というあまり気のないお返事が帰ってきた。だったら着替えなきゃよかった。
「ちょっと遠出するぞ」
そうアーロンが声を掛けた途端、世界はどんどん色を失って最後には真っ暗になっていった。
一度色を失った世界はやがてまた徐々に色を取り戻していった。
そして最初に見た物は。一面に広がる砂漠だった。
「師匠、ここどこですか?」
「お前にどこか説明しても多分わかるまいが……」
アーロンは話しながらもスタスタ歩いて行ってしまう。私は慌ててその後ろを付いていく。
アーロンの進む先には砂漠の砂の海に浮かぶ小さな緑の島が見えた。
「ここは砂漠の一番端に当たるオアシスだ。俺の故郷にも近く幾つもの国を繋げる道の丁度交わる場所になる事から交易が盛んで色々なものが集まる。まあ、お前に必要なものを買っておくにはいい場所だ」
その島はそれ程遠くは無かったが私がアーロンの話を聞き終えるには十分だった。
丁度話し終えたアーロンはオアシスだと言う街の端にある石畳を進み始めた。
石畳の道は両脇を埋め尽くす背の低いサボテンの様な植物の真ん中を真っすぐに突き抜けている。
暫く進むと遠くからでもその石畳の両横に並ぶ幾つもの石像が見えて来た。
まるで石畳を守るかのように見下ろす石像の先には幾つものテントが張りだされ、徐々に人々の活気のある喧騒が響いてきた。
「ここは少し荒っぽい者もいるから俺から離れるな」
アーロンはだけどそう言ってまたぐんぐん先を行ってしまう。
「師匠、ちょっと待ってください。もう少しゆっくり!」
私が息を切らして追いつけば、振り替えったアーロンが大きなため息をつく。
「遅い」
「そんな! 師匠が早すぎるんです。少しは待ってください」
暫く私に合わせて歩いていたアーロンだったがすぐにイライラして来たのかとうとう私を片腕に抱き上げた。
「ちょ! ちょっと、下ろしてください、私自分で歩けますから!」
「お前の歩くのに付き合ってたら間に合わない」
不機嫌にそう答えたアーロンは私を抱え上げた途端今までの倍以上のスピードで歩き始めた。
って事は最初のあれでも私に合わせてゆっくり歩いてくれていたのか!
足の長さの違いってここまでひどいのか……
ちょっとショックを受けつつも私はもう文句を言うのを我慢してアーロンが進む先を見る。
街の中は全てテントだらけの様で色とりどりの布で出来たテントがちょっとずつ重なる様に開いてる様はまるで光に輝くステンドグラスの様にカラフルだ。
そこで物を売っている人たちもそれこそ様々で、私の今の姿の様な白い人間から黄褐色の人や黒人も結構いる。
中には褐色の肌がまるで日焼けした日本人の様に見える人までいた。
凄い! こんなに色んな人が居る所に来たのは初めてだ!
「師匠、凄いです、何か外国みたい!」
「ああ、ここはルトリアスからは遠いからな」
え、じゃあ本当に外国だったんだ!
「凄いですね、師匠の転移は初めてでしたけどこんなに遠くまで来れるなんて」
「ほら、あんまりきょろきょろしているな。ちゃんと掴まってろ」
つい周りに見とれて背中から落ちそうになった私を抱え上げたアーロンがちょっと眉をひそめながら私の顔を覗き込んだ。
うわ、この距離はちょっと近すぎだ。
折角引っ張り上げてくれたけど、距離を取ろうとしてまた落ちそうになる。
「お前は馬鹿か? なぜ今掴まってろっていたのに後ろに落ちる!」
そう言って今度こそがっしりと抱きかかえられてしまった。
「ほらもうすぐ着くぞ」
強制近距離接近に慌てる私を他所にアーロンが前方を指さした。
その先には今までより一回り大きなテントが広がっていた。
テントの中に入るとそこは幾つもの小さなブースが切り分けられていて、それぞれのブースの中にマーケットの様に幾つもの違うテーブルが並んでいた。
その間をアーロンは真っすぐに一つのテーブルに歩み寄っていく。
「入場だ」
アーロンがそう言うとテーブルの主が手に持っていた水晶を前に押し出す。
アーロンはその水晶に手をかざして、何やら魔力を放出した。
途端、世界が歪んで私はアーロンごと暗い大きな大きなテントの片側に来ていた。
「し、師匠? 何だったんですか今のは?」
「定点固定の転移点だ。魔法陣とは違い、同じ水晶石からとれた二つの水晶球に同時に全く同じ魔力で魔晶石化を行う事によって作る事が出来る。この様な一般には人を入れたくない催しに良く使われる物だ」
うわ、やっぱり流石アーロン。魔術だけじゃなくて魔晶石にも詳しいんだ。
「それで私達、どこに来たんでしょうか?」
「どこって今日の会場だ」
アーロンの返事が終わるか終わらないかの所でテントの中に大きな声が響き渡った。
「さあ、皆様、準備はよろしいでしょうか? 本日のメイン・イベント、タッグ戦が始まります。ご来場のお客様は全て当イベントの参加者として自動登録させていただきました。こちらから勝手にルートを振らせて頂きます。それでは皆様、良いイベントを!」
訳の分からないアナウンスが終わった途端、テントの中なのにズズズっと壁が床から競り上がり、私たちは細い道の真ん中に取り残された。
「これってまさか……」
「迷宮だ」
「で、出れるんですよね?」
「……お前次第だな」
私の心配をよそに、アーロンはいつもの意地悪な笑いを浮かべている。
「今朝の訓練に遅刻した罰だ。ここを自力で抜けて見ろ」
「え!」
「俺は後ろからついていく。基本お前が一人で抜けるんだ」
無茶苦茶だ。さっきのアナウンスではタッグ戦って言ってた。って事は本来二人で戦う物なんじゃないのこれ? しかも戦うって一体何と戦うの!?
アーロンにポイっと降ろされた私はちょっと青くなりながらも仕方なく前に進み始めた。
何かこのテント変だ。前に進んでも進んでも進んだ気がしない。
さっきっから一本道をずっと歩いているはずなのに前にも後ろにも真っすぐに一本道が続くのみだ。
ちょっと不安になって後ろを歩いていたアーロンを見上げれば、無表情に前を指さされた。
うう、前に行くしかないのか。
私は仕方なく真っすぐに進む。
5分程進んだ所で突然何かが私の目の前を横ぎった。
「ほら何してる、とっとと撃て」
「へ?」
何が通り過ぎたのかと目を凝らす間に後ろからアーロンの激が飛んできた。
何事かと目の前を良く見れば、そこには陽炎の様に漂うなにか薄っすらと青い存在が浮かんでる。どうやら人の形をしている様だがボケた写真の様に輪郭がぼやけていて細かい事が分からない。
ゆらゆらと揺れるそれはだけどどこも地面についていない。
足が無い……
ぞわっと鳥肌が全身に立った。
「ししし、師匠、こ、これ、まさか、幽霊さんですか!???」
「幽霊? ああ、そうとも言えるな。これは時空の間に閉じ込められた過去の残像だ。生きてはいないのだから幽霊と言えないことも無い。ただ、このまま増えると周りに影響が出る。だから今のうちになるべく多く狩っておくんだ」
「そ、そういう事は早くいて置いてください! それに師匠、撃つって何を撃てばいいんですか!?」
「ぁあ? 戦闘魔法に決まっているだろうが」
何当たり前の事を聞いているんだっという顔でそんな事言われたって!
「そんな物、知りません!!」
「はぁあ?」
「そ、そんな物、今まで一度も習た事無いです!」
「お前、一体学校で何習ってたんだ!?」
「そんな事言ったって学校では戦闘魔法なんて教えてくれません!」
「学校で教えないでどうするんだ」とアーロンが一人でブチブチ文句を言っているけど、そんなのアーロンの勝手な思い込みだ。
「それでよく魔道騎士団に応募なんてしたな?」
「だって、魔力量自体には結構自信あったんです」
指導員の先生より私の方があったし。
あの先生以外の魔術師なんて私の居た辺境では見かける事さえなかった。
私がそんな馬鹿な事に思いを馳せている間に、目の前の幽霊さんが私に突進してきた。
「おい、危ないぞ!」
アーロンが声を掛けてくれた時には既に手遅れだった。
飛んできた幽霊さんに思いっきり跳ね飛ばされて……いや、身体の中を通り過ぎられてしまった。
途端、体中が凍り付いた様に冷たくなってどんどん周りが暗くなっていく。
「師匠、し、しょう、こわ、い」
「真正面から受ける奴があるか! このばか……」
師匠の文句が終わらないうちに私は完全に意識を失った。
────
作者より:
思っていた以上にほど新しい話を書くのに時間がかかっています。
後2話明日明後日と見直しをしてから出して、その後はまたしばらく未定になります。
どうぞよろしくお願いいたします。
追記:やはり本文中にあるのはみっともないので登場人物のまとめをブログに移しました。
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