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十一月は波乱の季節
51話 大丈夫、あれは色ボケよ
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次の日、私は全く使い物にならなかった。
一日中心がフワフワしてて頭が働かない。
「ちょっと塔子それ銀紙だから食べられないから」
「あ、本当だ」
「塔子がとうとうボケちゃった、どうしよう暁子」
「大丈夫、あれは色ボケよ」
心配するエッちゃんにアッコちゃんがきっぱりと答える。
色ボケはひどいよ、そう言い返そうとしてはたと気づいた。
待って、もしかすると合ってるかも。
だって先輩の顎とか、赤面した顔とか思い出してはハァってため息出るし、先輩の声で言われた「会いたい」って言葉が脳内再生される度に胸までいっぱいになるし。
私、保険体育で習ったいわゆる『思春期の第二次性徴』でそういう方向にボケてきてるのかな。
「そっかこれは色ボケなのか──」
「塔子ごめん、冗談だから。お願い、変な方向につっ走らないで」
私がポロリとこぼした言葉をアッコちゃんが大慌てで全否定した。
「え、違うの?」
「どうしてそっちには素直に納得できるのに、当たり前の答えは出てこないのよ」
呆れた様子で、アッコちゃんがため息混じりに肩を落とす。
でもすぐに私に向きなおり、我慢出来ないって様子で口を開いた。
「塔子、あなたのそれはどう考えたって──」
「市川さん、三年の先輩が呼んでるよー」
アッコちゃんが言いかけた言葉は、教室の入口から叫ばれた声に遮られ、結局最後まで聞くことは出来なかった。
一日中心がフワフワしてて頭が働かない。
「ちょっと塔子それ銀紙だから食べられないから」
「あ、本当だ」
「塔子がとうとうボケちゃった、どうしよう暁子」
「大丈夫、あれは色ボケよ」
心配するエッちゃんにアッコちゃんがきっぱりと答える。
色ボケはひどいよ、そう言い返そうとしてはたと気づいた。
待って、もしかすると合ってるかも。
だって先輩の顎とか、赤面した顔とか思い出してはハァってため息出るし、先輩の声で言われた「会いたい」って言葉が脳内再生される度に胸までいっぱいになるし。
私、保険体育で習ったいわゆる『思春期の第二次性徴』でそういう方向にボケてきてるのかな。
「そっかこれは色ボケなのか──」
「塔子ごめん、冗談だから。お願い、変な方向につっ走らないで」
私がポロリとこぼした言葉をアッコちゃんが大慌てで全否定した。
「え、違うの?」
「どうしてそっちには素直に納得できるのに、当たり前の答えは出てこないのよ」
呆れた様子で、アッコちゃんがため息混じりに肩を落とす。
でもすぐに私に向きなおり、我慢出来ないって様子で口を開いた。
「塔子、あなたのそれはどう考えたって──」
「市川さん、三年の先輩が呼んでるよー」
アッコちゃんが言いかけた言葉は、教室の入口から叫ばれた声に遮られ、結局最後まで聞くことは出来なかった。
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