斎藤先輩はSらしい

十月、ハロウィンはいつどこで？

３７話 いいご両親だね

　それから一週間。
　先輩は毎日我が家を訪れた。
　仕事から帰ってきた父にも挨拶したけど、あんまりしっかりしてる先輩を見て、酔い気味だった父のほうが真顔でたじろいでた。

「いいご両親だね」

　先輩はそう言ってくれたけど、会社帰りにお酒飲んでちょっと鼻歌まじりだった父はあまりそうは見えなかったんじゃなかろうか。

　そしてついに中間試験。
　なんと私、クラスで十番以内に入っちゃいました。
　信じられない。

　そんな特殊な勉強をしたわけでもなく、初日先輩が添削してくれたノートをベースに、添削してくれた場所を重点的に復習しただけ。

　私的に大きかったのはいつでも質問できる人が隣にいてくれた事かな。
　ちょっと詰まっても、尋ねれば先輩がしっかり教えてくれる。しかも私がわかってない部分は遡って、系統立てて説明してくれるからすんなり覚えられた。
　頭のいい人って、教え方も上手いんだね。

「塔子、先輩の読み凄かったね」

　返ってきた答案を見つつ、エッちゃんが満面の笑みで私に話しかけてきた。
　私のノートを一部写してたエッちゃんも、かなり効果があったらしい。

　アッコちゃんはちょっと不服そう。どうやら前回より成績が上がってないみたい。
　そりゃ、学年で上から数えられる成績の人にはそんな劇的な違いなんてないでしょうよ。