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後夜祭はマイムマイム?
25話 お話するの初めてね
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後夜祭も終って、次の日の朝。
学校についた途端、校門横から手が伸びて、校庭の脇の花壇に引っ張り込まれた。
「塔子こっち」
「うわっ」
引っ張ったのはエッちゃんだ。朝練でもしてたのか体操服を着てる。
そんなエッちゃんが私をしゃがませながら、人差し指を口に押し当てて下駄箱のあたりを指差した。
そこには十数人の女子が下駄箱の前でたむろしてるのが遠目にもしっかり見えた。
「あれ、塔子を待ち伏せしてる二、三年の先輩たち」
小声で教えてくれたエッちゃんの言葉に震え上がった。
確かにどこかで見かけた先輩が数人混じってる。
どうやら先輩方が私を見つけるよりも早く私を捕まえようと、エッちゃんはここで私を待ち伏せしてくれてたらしい。
文化祭終わっちゃったから、登校時間はみんな一緒だし、もう男子に紛れて逃げるのもムリ。
どうしようって顔に書いてエッちゃんを見れば、ついて来いって手招きされる。
私はエッちゃんに促されるまま、逃げるように裏門へと向かった。
☆ ☆ ☆
「市川さん、だっけ? お話するの初めてね」
人もまばらな裏門から人目を忍んで入り込んだ後、エッちゃんが私を引っ張って来たのは校舎裏、体育倉庫の中だった。
薄暗く、埃っぽい倉庫内は乱雑に体育道具が積まれてる。
それに混じってカビの不快な匂いが鼻をつく。
そこにはエッちゃんだけじゃなく、もう一人他に人がいた。
私も知ってるそれはエッちゃんと同じ女子バスケ部の先輩。この前斎藤先輩のクラスで受け付けやってた二人の内の一人だ。
エッちゃんより少しだけ背の低いこの先輩は、茶色がかったカールする髪を綺麗に片側にまとめ薄く口紅を引いてる。
少し大人びた顔と相まって、凄まじいプレッシャーを押し付けてくる人だ。
私はエッちゃんに連れてこられてここに入ってからこっち、ずっと緊張と恐怖で足がガクガク震えてる。
と、エッちゃんが私のすぐ横に立つ。
だから顔が見えないけど、すっと伸びたエッちゃんの手が、大丈夫だよと言うように私の肩に載った。
学校についた途端、校門横から手が伸びて、校庭の脇の花壇に引っ張り込まれた。
「塔子こっち」
「うわっ」
引っ張ったのはエッちゃんだ。朝練でもしてたのか体操服を着てる。
そんなエッちゃんが私をしゃがませながら、人差し指を口に押し当てて下駄箱のあたりを指差した。
そこには十数人の女子が下駄箱の前でたむろしてるのが遠目にもしっかり見えた。
「あれ、塔子を待ち伏せしてる二、三年の先輩たち」
小声で教えてくれたエッちゃんの言葉に震え上がった。
確かにどこかで見かけた先輩が数人混じってる。
どうやら先輩方が私を見つけるよりも早く私を捕まえようと、エッちゃんはここで私を待ち伏せしてくれてたらしい。
文化祭終わっちゃったから、登校時間はみんな一緒だし、もう男子に紛れて逃げるのもムリ。
どうしようって顔に書いてエッちゃんを見れば、ついて来いって手招きされる。
私はエッちゃんに促されるまま、逃げるように裏門へと向かった。
☆ ☆ ☆
「市川さん、だっけ? お話するの初めてね」
人もまばらな裏門から人目を忍んで入り込んだ後、エッちゃんが私を引っ張って来たのは校舎裏、体育倉庫の中だった。
薄暗く、埃っぽい倉庫内は乱雑に体育道具が積まれてる。
それに混じってカビの不快な匂いが鼻をつく。
そこにはエッちゃんだけじゃなく、もう一人他に人がいた。
私も知ってるそれはエッちゃんと同じ女子バスケ部の先輩。この前斎藤先輩のクラスで受け付けやってた二人の内の一人だ。
エッちゃんより少しだけ背の低いこの先輩は、茶色がかったカールする髪を綺麗に片側にまとめ薄く口紅を引いてる。
少し大人びた顔と相まって、凄まじいプレッシャーを押し付けてくる人だ。
私はエッちゃんに連れてこられてここに入ってからこっち、ずっと緊張と恐怖で足がガクガク震えてる。
と、エッちゃんが私のすぐ横に立つ。
だから顔が見えないけど、すっと伸びたエッちゃんの手が、大丈夫だよと言うように私の肩に載った。
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