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テスト勉強編

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ということで、その日の放課後から俺たちは猛勉強を進めることになった。
少し唯の家が遠いのでお金がすぐに減っていきそうで不安だった。
なので、それを最寄駅から唯の家までの道でみんなに相談することにした。
「はい!一個質問です。毎日ここまでくるとお金かかりそうなんですけどどうしますか?」
「あ~確かにそうだね。どうしようか。」忍も共感してくれた。
「別にあたしが全額払ってもいいええで。」と、唯が太っ腹なことを言ってくれた。
「まじで!?」と、みんなで驚いた。
「あたしのお父さんが結構お金くれてさ。正直使い切られへんからこういうところで使いたいんよ。」
羨ましいの一言しか出ない話だが、俺たちにとってはおいしい話だ。
「ほな、今度みんなで定期作ろ。」
と、そんなこんな話していると、唯の家に着いた。
家に着くと、遊ぶ暇もなく早速ワークを開かされた。
「はい、じゃあ唯、ワーク開いて。ほら、勝太郎も。」
「はーい...。」俺たちはしぶしぶワークを開く。
読んでみると確かにこんなのだったなと言う感じもする。
が、バカの俺にそんなのを一瞬で覚える能力などないので次のページをめくった頃には忘れていた。
嫌いなものに必死に向き合って頑張るのは好きなことをする10倍ぐらいはしんどい。
でも、頑張らないと留年してしまうという恐怖から手を止めることはできなかった。
結局必死に食らいついて、3時間ほど勉強した。
「よし、今日はこんなところで終わりでいいでしょう。」
と言う忍の一言に、俺たちは心の底で狂喜乱舞した。
一気に息を吸い込み、「っしゃー!」と叫んだ。
「お疲れ様。」宏太がそう言ってくれた。
「いやーマジで、疲れるわこれ。忍と宏太よくこれに耐えれるな。」
「唯も勝太郎もよく頑張ったよ。」
「ほんまに、おたくら鬼畜すぎるやろ。めっちゃ疲れたわ。」
「よく頑張ったよ。」宏太はそう言いながら、唯の頭を撫でた。
20cmほど身長差があるので、サイズ感的にはちょうどいい。
「お、宏太もたまにはイケメンなことできるやん。」
唯がニヤニヤしながら、宏太をあおるような眼で見つめた。
すると、宏太は急にあわあわしながら、
「あ、あ、あごめんごめん!つい...」
「別に謝らんでいいええのに。」
「え?あぁ...ごめん。」
「ほら、また謝った。」
「あぁ...ごめん。」
「無限ループやん。」と、唯はニコニコ話していた。
俺と忍はその会話を見て、親の様に見守りながらシャーペンやワークなどを片していた。
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