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世界の終わり編

第227話 託されし者達

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地上付近で、ツグルの身体をアイスロードに乗ったリキッドが受け止めた。

リキッド「やはり最後に大切なのは、勢い、だっただろ?」

ツグル「うん、間違いない」

グレイス城屋上にある空中庭園に皆集まり、ツグルを讃えていた。

多少の損壊はあるものの、リキッドやカナメルのおかげでグレイス城は崩れることなくそこにあった。

ようやく地に足をつけたツグルの元に、真っ先に飛び込んで来たのはセリアだった。

セリア「!!、、、、」

セリアは涙を流しながら笑っている。

ツグル「ただいま」

ツグルはセリアを強く抱きしめた。

「おかえり!!!」

続いてモモとダイスがツグルに飛びかかった。

ツグル「皆!!、、、生きていてくれて、ありがとう」

ダイス「こっちのセリフだぁ!!!ばかやろー!!!」

モモ「本当に、、皆無事で良かったよぉおお!!!」

四人は号泣しながら、各々を称えていた。

少し離れた場所でネギッチャはその光景を眺めていた。

ネギッチャ「お前は行かなくても良いのか?」

そう問いかけられたカナメルは鼻で笑って答えた。

カナメル「別に。まぁ今は流石に入れないよね」

ネギッチャ「そうだな」

ネギッチャはタバコに火をつけた。

ネギッチャ「ツグルとは後々語り合うとするか、もちろんお前とも」

カナメル「あんたと語ることなんてないよ」

ネギッチャ「まぁそう言うなよ。俺はフォールドーンに戻る、前皇帝のせいで国がめちゃくちゃでやることが山積みだからな」

ネギッチャはゼウスを睨みつけた。

カナメル「ふーん、まぁお元気で」

ネギッチャ「何か用があればいつでも来い、歓迎する」

カナメル「用があればね」

ブルンブルン!!!

ネギッチャはバイクと共に去っていった。

ゼウスは何も言わず、その場から立ち去ろうとした。

そこへムーがやってきた。

ムー「ブルーフォレスト、僕の故郷に行くつもりか?」

ゼウス「そのつもりだ、もうこの大陸に興味がないからな」

ムー「ふん、せいぜい死なないように気をつけるが良い」

ゼウス「そうさせてもらおう、少しは生きながらえたいと思えたからな」

ゼウスはカナメルをジッと見つめた。

カナメル「どうせ生きるなら、人に迷惑をかけないようにして欲しいね」

ゼウス「生意気な小僧だ」

ゼウスは雷鳴と共にその場から一瞬で姿を消した。

気が付けばカナメルの身体から赤のオーラは消えていた。

ムー「おいカナメル、てめぇは赤のオーラを二度と使わない方が良い」

カナメル「何で?」

ムー「時系列がバグる可能性があるからだ」

カナメル「どういうこと?」

ムー「分かっていないようだから言っておく、それは無限の魔力なんてものじゃねぇ。時空を超えてどこかから魔力を引っ張ってきているだけだ」

カナメル「そんなことが可能なのか?」

ムー「その謎を解明してやりてぇところだが、僕には時間がない」

ムーは透過する身体でユラユラと浮いている。

カナメル「そうみたいだね」

ムー「この世界の大魔術師の座は一旦てめぇに託してやる」

カナメル「有り難く頂いておくよ」

そこへツグルがやってきた。

ツグル「カナメル、俺はやったぞ」

カナメル「おつかれ」

ツグル「、、、、、」

カナメル「、、、、、」

ツグル「色々と助かった」

カナメル「お前は怪物から英雄となった。その英雄様の手助けをしたってことだからこちらこそ光栄だよ」

ツグル「何言ってんだか」

カナメル「ハグはやめてくれよ?流石に」

ツグル「するかよ」

「よくやった!!!ツグル!!!」

微妙な空気を断ち切るように強引に肩を組んだのは傷だらけのトゥールだった。

三人で肩を組む形になり、カナメルはトゥールの腕を振り払った。

カナメル「そういうのは二人でやってくれってことで」

ツグル「トゥール!!傷だらけじゃん!!」

トゥール「治癒限界?ってやつで黄色のオーラが途中で消えちゃったんだよ、でもまぁどうせこの身体もそろそろ消えるからどうでも良いか!!」

ツグル「そうか、トゥールもムーもリキッドも、、六人は消えちゃうのか」

リキッド「おそらくな、ミッションコンプリートだ」

いつの間にかツグルの元に六人が集まっていた。

リリ「色々あったけど、なんだかんだ楽しかったねぇ~」

タカ「一族の悲願は果たされなかったが、この世界の脅威は去った」

タクティス「平和が訪れて良かった。家族に会いたいが、それは叶わないのだろうな」

六人の身体は徐々に透明になっていく。

ムー「平和?なに寝ぼけたこと言ってやがる。聖属性が消えたことで海や空からモンスターが接近するだろう、想いの残滓の地の扉は開いたままだ、いつまた脅威がやってくるか読めたものじゃない。その時にはもう僕達はいない」

トゥール「そうだ、でも大丈夫さ。この世界の人間は強い!!」

ツグル「俺が何とかする」

トゥール「お、言ったな?また重いものを背負うつもりか」

ツグル「今まで背負ってたものに比べたら随分と軽いよ」

トゥール「はっはっは!!それもそうか」

トゥールはツグルの頭に手を置いた。

トゥール「俺達が愛し、守った、この世界を頼んだぞ。ツグル」

ツグル「うん、今度は俺がこの世界を守る」

トゥール「約束だ」

遂に六人の身体は見えなくなった。

トゥール「ありがとう皆、楽しかったよ」

その声を最後に、六人は消えた。

ツグル「ありがとう、、、、ありがとう!!、、、」

ツグルは胸から言葉にならない感情が込み上げ、ただひたすらにありがとうと呟いていた。




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