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決戦のグレイス城編
第213話 神殺しの怪物vs無の神
しおりを挟むツグルは玉座の間に辿り着いた。
玉座に座る無の神と、ガラス張りのケースに囚われているセリアがいた。
ツグル「ようやく辿り着いた」
セリア「ツグル、、、、」
傷だらけのツグルの姿がこれまでの壮絶な戦いを物語っていた。
無の神「ほう、ここまで来たか」
ツグル「ああ」
無の神「たった一人で何が出来る?」
ツグル「お前を倒す、これは俺にしか出来ないことだ」
無の神「確かにそれは事実じゃ。しかしのぅ、その力がお主にあるかどうか」
ツグルは生意気に笑った。
ツグル「さぁな、ここまで来たからにはここで俺が死ぬか、お前が死ぬかの二択だ」
無の神「随分と簡単に言ってくれるのぅ」
ツグル「正直背負っているものが重かった。でも皆が背中を押して俺を前へと進めてくれた。今となっては重ければ重いほど、お前ごと押し潰せそうだ」
セリアは心配そうにツグルを見ていた。
ツグル「大丈夫、すぐに助ける。遅くなってごめん」
ツグルの身体が黒く染まっていく。
これが最後だ、何としても無の神を倒す!!
その想いが魔力と共に増幅されていく。
闇の魔力が渦巻いているが人間の形を留めていた。
暴走してしまうと長く戦うことが出来ない、ここにきてツグルは自分の力をコントロール出来ていることに気が付いた。
これなら戦える。
ツグルは黒い短剣を構えた。
無の神「ほう」
ちょっとした危機感を感じた無の神は魔法を展開する。
黒い槍のようなものが瞬時に空中に現れた。
それらが一斉にツグルを襲う。
ツグルはシャドウウォールを出現させ防御を試みた。
しかし黒い槍は勢いをそのままに壁を貫通した。
ツグルは咄嗟に距離を取り、そのまま無の神の背後へと高速で移動した。
着地をした瞬間に黒い槍がツグルを囲むように空中に待機していた。
無の神「安易に敵の懐に飛び込むとは、まるで素人じゃな」
ツグルは闇の魔力を拳に集め、床に叩きつける。
ツグル「はあぁぁあ!!!!!」
黒い渦が立ち昇り、全てを巻き込んでいく。
無の神「う、、、、」
無の神は転移魔法で距離をとったが判断が遅かったため腕に傷を負った。
無の神「ほう、少しはやるようじゃな」
ツグル「トルコネの時と同じだと思うなよ、こう見えていくつもの修羅場を超えてきたつもりだ」
無の神「生意気な」
無の神が手をかざすと辺りに魔法陣が出現し、数体の悪魔が姿を現した。
城の外に蠢いていた個体に形が似ている。
あの時とは違いリキッドもカナメルもズミもいない、一人で切り抜けるしかない。
ツグルは黒い剣を構える。
セリア「ツグル、私も戦うよ」
気がつくと隣にセリアがいた。
先程の黒い渦によってガラスケースが粉砕したのだ。
セリア「隠れてろなんて言わないでね、私も戦わなきゃいけないから」
ツグル「ああ、一緒にこの世界を救おう」
ツグルの周りに白い剣が出現し、ツグルを守るように回転し出した。
悪魔達は一斉にツグルに襲いかかる。
ツグルの黒い剣と浮遊するセリアの白い剣は次々と敵を斬り伏せていく。
無の神「ほう、、、」
あっという間に悪魔達はいなくなり、ツグルはその勢いのまま無の神へと飛びかかった。
無の神は不敵な笑みを浮かべている。
無の神「姫を守るのが騎士ではないのか?」
いつの間にかセリアを囲むように黒い槍が出現していた。
セリア「私は大丈夫!!そのまま突き進んで!!」
セリアは自分の周りに白い剣を出現させ黒い槍を防いだ。
ツグルは黒い剣を握りしめた。
ツグル「終わりだ!!!!」
その時、セリアを狙っていたはずの黒い槍が一本、ツグルの背後に迫っていた。
セリア「させない!!」
セリアは力を振り絞り、白い剣を飛ばして黒い槍を斬った。
そして白い剣はそのまま真っ直ぐツグルの元へと辿り着いた。
ツグル「セリア、借りるぞ」
ツグルは白い剣を受け取った。
白い剣と黒い剣を構えたツグルが無の神の前にやってきた。
無の神はニヤリと笑った。
次の瞬間、床から黒い槍が突き出した。
ツグルは空中で身を翻し、槍がツグルの頬を掠めた。
無の神「闇魔法黒槍、最も速く最も貫通力のある魔法じゃ。それを見て避けるなど人間には不可能!!貴様、、、何者だ!?」
ツグル「俺は神殺しの怪物だ」
スパン!!!!
二本の剣が無の神の首を切断した。
ボト、、、、
鈍い音を立てて首が床に転がった。
ツグル「あんたには物理も魔法も効かないらしいな、そんな状態で何千年過ごしたのか分からないが、流石に戦いを忘れるだろ」
無の神「、、、、うぅ、、、」
無の神は苦悶の表情を浮かべている。
ツグル「俺はどの攻撃も致命傷になり得る強者と戦い続けてきた。俺の闇属性とセリアの聖属性で痛みを思い出したか?でももうお前の首は斬られた、真剣勝負ってのは残酷だな」
セリア「はぁ、、はぁ、、、」
セリアは疲れた様子で膝に手をついた。
ツグル「大丈夫か?」
セリア「私も久しぶりに魔法使ったから、疲れちゃった」
ツグル「セリアはそれで良いんだよ」
セリア「ツグル、ありがとう。最初から、、最後まで。私たち勝ったんだ!!」
ツグル「ああ、皆に会いに行こう」
気が付けばBBの空間転送魔法は解けていた。
二人は扉へと歩き出した。
「儂は神じゃ。これで終わりだと思うなよ小僧」
背後からとてつもない殺気を感じ、二人は振り返った。
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