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決戦のグレイス城編
第201話 再戦、復讐の弾丸vs覚醒した神
しおりを挟むネギッチャは高速で動くモンスターマシンを巧みなテクニックで操る。
ゼウスも帯電状態を解かず、眩い速度で大庭園の花々を散らしている。
カナメル「へぇ~やるじゃん」
カナメルは機械を軽視していた。
しかし今目の前で繰り広げられているのは魔法を使えない一人の男と最強の敵の一騎打ちである。
手助けをするのは良いが、どこに入る隙があるのだろうか。
ネギッチャはゼウスの攻撃のたびに円盤の機械を使ってシールドを張っているが、ゼウスの魔力を防ぎ切ることは難しく、身体に傷を負っていた。
しかしメラメラと湧き出る黄色いオーラがその傷を瞬時に癒している。
カナメルは未だに赤のオーラを発動出来ずにいた、試行錯誤してみたものの、意図的に発動することは今のカナメルには出来ないらしい。
ゼウス「厄介だな、そのオーラとやらは」
ネギッチャ「オーラとやらが発動する予定はなかったんだけどな、お前の前に立つとどうやら殺気がオーラに変わるらしい」
ゼウス「人間の再生能力には限界がある、再生の女神の歌声とは訳が違うはずだ。傷つけ続ければ再生が遅くなるか再生不可の状態になると仮説を立てていたところだ」
ネギッチャ「その仮説を証明しないと俺には勝てないからな、頑張れよ」
ネギッチャは興味なさそうにショットガンに弾を込めた。
ネギッチャ「おい、なに突っ立ってんだ」
カナメル「俺は炎の魔術師だよ、あんたの機械をショートさせる可能性があるから慎重にならざるを得ないんだけど?」
ネギッチャ「それもそうか。機械ってのは劣化するものだ、流石にこのスピードで動き続けるのは無理がある。あいつを倒すチャンスは必ず来るからその時に加勢してくれ」
ネギッチャはそのチャンスとやらを確信している様子だった。
ネギッチャ「そもそも、短期決戦しか勝ち目はないと踏んでいる。そのチャンスで奴を倒せなければ俺の負けだ」
カナメル「まぁ、いずれにしてもあんたの戦略に乗るよ。準備をしているらしいからね」
ネギッチャ「もう少し奴に設置する必要がある」
カナメル「設置?」
ネギッチャ「これはただの弾じゃねぇ、神様を殺す弾丸だ」
カナメル「一日に二人も神を殺そうとする輩に出会えるとは、どうやら俺は神殺しに加担する運命らしい」
カナメルはニヤリと笑った。
ネギッチャ「やるか」
ネギッチャは煙草を吐き捨て、大きなショットガンを肩に担いだ。
再度黄色いオーラと雷光の残像がフィールドを駆け巡る。
激しい撃ち合いの中、突然ゼウスの動きが明らかに遅くなった。
ゼウス「、、、、?」
ネギッチャは適切な距離を取り、ショットガンに何やら細工をしている。
ゼウス「ショットガンの弾にライトニングチャージャーでも仕込んだか?」
ネギッチャ「流石は元科学者だな。ゴッドタワーで神の裁きの砲台にふんだんに使われていたライトニングチャージャーを改良した。その弾の粉末はお前の身体に付着しお前の雷を吸収する、よってお前はもう高速移動することが出来ない」
ゼウス「また小賢しい真似を」
ネギッチャ「これでお前はただの的になったわけだ、もう一度あの痛みを味わってもらう」
ネギッチャのショットガンはガチャガチャと変形をし、固定砲台となった。
ゼウスは表情ひとつ変えずに固定砲台を見つめている。
ゼウス「今はもう生身ではないぞ、この鋼鉄の皮膚を貫くことが出来るだろうか?」
ネギッチャ「こっちもそれを見越して改良してあるんでね、改良するための材料はゴッドタワーに余るほどあったからな」
ゼウス「俺の集めた資源で俺に勝てると思っているのか?残念ながら神の裁きを超える兵器を作ることは不可能だ。そして今の俺の身体は神の裁きをも超える力を持っている。この事実がお前の敗北を決定付けている」
ネギッチャ「力の強さだけで物事を判断する神様らしい見解だな。だからお前は俺に足元を掬われるんだよ」
ゼウスは神の裁きを手から放つつもりなのか、両手をネギッチャへと向けた。
ゼウス「雷を纏うことを封じたのかもしれんが放つことは出来る」
ネギッチャの固定砲台が音を立て振動し出した。
それと同時にゼウスは苦しそうにもがき出す。
ゼウス「ぐっ、、、」
ネギッチャ「ライトニングチャージャーの粉末は皮膚に付着した後、この砲台から発せられる放射能によって体内へと浸透する。そしてお前の強力な雷属性と結合し、容量を超えると大爆発を引き起こす。お前の体内でな」
ゼウスが初めて苦悶の表情を見せた。
ゼウス「バカな、そんなこと不可能だ」
ネギッチャ「お前よりも優秀な科学者がいるってことだ、神様は自分が一番だと思っているんだろうけどな。ゾンビが作った兵器で神を殺すのも悪くねぇ」
ネギッチャは横目でカナメルに合図した。
カナメル「はいはい、出番ですよっと」
カナメルは多量の魔力を消費して長い炎の槍を形成した。
カナメル「近づくと危なそうだから遠距離から最も貫通力のある攻撃で援護でもしようか、神様の皮膚に刺さるとは思えないけど」
ネギッチャは真剣な眼差しでカナメルへと語りかける。
ネギッチャ「奴の動きを止められるのはほんの数分だ、それに爆発を起こせばライトニングチャージャーは無効化される。要するに、、、」
カナメル「この一撃で仕留めるってことね」
ネギッチャは眉を上げ、静かに笑った。
ネギッチャ「お前ともビジネスパートナーになれそうだな」
カナメル「遠慮しておくよ」
ネギッチャ「そうかい」
ネギッチャは迷わずに引き金を引いた。
続いてカナメルの合図で炎の槍が空を飛ぶ。
高圧力の光線がゼウスに直撃し、体内に浸透していたライトニングチャージャーが爆発する。
そしてボロボロになったゼウスの皮膚にカナメルの炎の槍がグサリと刺さった。
カナメル「あ、刺さった」
カナメルの槍は刺さった後に爆散し、炎の渦が空へと立ち昇る。
これほどの猛攻を受けて生きていられる生物はこの世にいないだろう、二人はそう確信していた。
しかし、まだそこに立つ影を見て、その確信はすぐに消え失せた。
ネギッチャ「、、、俺の負けだ」
ネギッチャはすぐに砲台をショットガンに変形させ、バイクに跨った。
カナメル「撤退は出来ないよ、先に進むしかない」
ネギッチャ「分かっている、だがこのエリアから脱出する。もう奴を倒す手段がないからな」
そうしても良いのであればカナメルも早々にそうしていただろう。
だがここで逃げたとしてツグルのもとにゼウスを連れて行ってしまえばゲームオーバー。無の神を倒す可能性がゼロになる。
カナメル「俺はここであのバケモノを食い止める、そうすればあんたの逃げる時間を稼ぐことが出来る。ビジネスパートナーだとしたら流石に先方に不利な契約なんじゃない?」
ネギッチャ「何が言いたい?」
ネギッチャは撤退の準備をしながら聞き返した。
カナメル「見返りは二つ、先に進んで、もしツグルが苦戦していたら加勢すること。そして二つ目はこれだよ」
カナメルは懐から一丁の短銃を手渡した。
ネギッチャ「これはアンチマジック?」
マスターリョウがカナメルに残した最後の希望である。
カナメル「銃なんて使ったことがないんでね、これをあいつに撃ち込んで欲しい、出来れば頭か心臓に。今なら刺さるんじゃないかな?」
ネギッチャはすぐにそれを受け取り、手慣れた手つきで標準を合わせた。
バン!!
放たれた針は見事にゼウスの心臓に刺さった。
ネギッチャ「簡単な仕事だな。じゃあな」
ネギッチャはそのまま先へと進んだ。
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