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決戦のグレイス城編
第177話 勝率0%
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ツグル「よし、行くぞ」
呼吸を整えてツグルは立ち上がった。
カナメル「行くか」
火の玉を指先で転がして遊んでいたカナメルは立ち上がり、火の玉を握り潰した。
カナメル「この先にゼウスかオダルジョーがいたら撤退する。それはここに来る前に言ったよね?」
ツグル「トルコネで聞いた」
カナメル「、、、、」
ツグル「俺は行くぞ」
カナメル「そう言うと思ったよ。でも冷静に考えてみなよ、勝率0%の戦いに意味があると思うか?そんな無謀な賭けをするくらいなら勝率を上げるために時間を使った方が良いと思わないか?」
ツグル「そんな時間はない。もうここまで来てしまったし、ズミやさっきの男も命をかけてくれている。今更止まれない」
カナメル「そう言って勝てない相手に挑んでお前が死んだら、それこそもうこの世界を救う手段はなくなる。皆が今戦っている意味もなくなる」
カナメルは俯きながら言葉をかける。
ツグル「どうした、カナメルらしくないぞ。お前はいつも強気で、生意気で、どんな時も活路を見出す。俺が思うカナメルって奴はそういう奴だ。何を弱気になってるんだ?」
カナメル「これは感情の話じゃない。勝率、いや理論値の話だよ。お前が死ねば全てが0になる。無の神には死んでも勝つしかない。でもその前に死ぬなんてもっと許されない。でも実際ゼウスが相手だったら二人で束になったところで勝率は0だ。それなら一旦引くべきだ、例え仲間を置き去りにすることになろうとも」
ツグル「あの女魔術師の空間転送、、魔法?だったか。この迷宮は戻ることが出来ると思うか?進めば無の神に辿り着くことが出来ると言っていたが、あの儀式の間には進むための扉しかなかった。要するに戻ることは出来ないってことだ」
カナメルは大きくため息をついた。
カナメル「俺としたことが、そんな簡単なことを見落としていたなんてね」
ツグル「もう俺たちは進むしかないんだよ。だったらこれから先どんな敵が立ちはだかっても、勝つだけだ」
カナメル「確かに、ツグルの言うことが正論に思えてきたよ。BBの空間転送魔法は誤算だった。俺は弱気になっていたのか」
ツグルはカナメルの肩に手を置いた。
ツグル「カナメル、俺は死ぬつもりはない。俺が背負ってるものは出来ませんでしたで済まされるものじゃない。トゥール達の、全ての人達の想いを背負ってここまで来た。そんな俺の隣にいてくれるのがお前で良かった」
カナメル「、、、、、、」
ツグル「勝率は本当に0か?カナメル、俺はお前がいれば勝てない相手はいないと思っている。逆に俺は力不足か?だったら戦いの最中に成長してやる。相手の力、お前の頭脳、何だって良い。勝つためならなんだって盗むさ、俺にはそれが出来る。俺は怪物だからな、怪物の可能性をその理論値とやらに加算してくれよ」
カナメル「ふっ」
カナメルはニヤリと笑った。
カナメル「じゃあ微々たるものだろうけど、加算しておくよ」
ツグル「よし、じゃあ行こう」
ツグルは重い、大きな扉を開けた。
そこはグレイス城中心に位置する大庭園だった。
普段は綺麗な花が咲き誇り、壮大な景色を見ることが出来る。
グレイス城の中心に位置するため、城内の人々は皆その花を見て心を癒していた。
だが、今目の前に広がる花々は全て焼け焦げている。
雷が直撃したかのような光景にツグルは息を呑んだ。
大庭園の中心が光り輝いている。
バチバチと音をたて、そこに胡座をかいて座っているのは最も出会いたくない敵だった。
ゼウス「ようやく来たか。お前達が侵入者第一号だ、随分と待たされた」
ツグル「ゼウス!!!!、、、、」
カナメル「、、、、、」
カナメルは顔を顰めている。
ゼウス「どうやら俺は侵入者を全て殲滅しなきゃいけないらしい。奴の命令に従うのは癪だが、強者と戦うチャンスという誘い文句には一理ある。この身体を試させてくれ」
バキバキと音をたててゼウスの筋肉が膨れ上がる。
そこには魔術刻印がしっかりと刻み込まれている。
ツグル「カナメル」
カナメル「、、、、、」
ツグル「カナメル!!!!」
ツグルはカナメルの肩を叩いた。
カナメル「なんだよ」
ツグル「ビビってんじゃねぇだろうな?」
カナメル「まさか。戦略を練っていたところだよ」
カナメルはニヤリと笑った。
ツグル「なら良い。勝つぞ」
カナメル「ああ」
カナメルは引きつる笑顔をそっと真顔に戻した。
呼吸を整えてツグルは立ち上がった。
カナメル「行くか」
火の玉を指先で転がして遊んでいたカナメルは立ち上がり、火の玉を握り潰した。
カナメル「この先にゼウスかオダルジョーがいたら撤退する。それはここに来る前に言ったよね?」
ツグル「トルコネで聞いた」
カナメル「、、、、」
ツグル「俺は行くぞ」
カナメル「そう言うと思ったよ。でも冷静に考えてみなよ、勝率0%の戦いに意味があると思うか?そんな無謀な賭けをするくらいなら勝率を上げるために時間を使った方が良いと思わないか?」
ツグル「そんな時間はない。もうここまで来てしまったし、ズミやさっきの男も命をかけてくれている。今更止まれない」
カナメル「そう言って勝てない相手に挑んでお前が死んだら、それこそもうこの世界を救う手段はなくなる。皆が今戦っている意味もなくなる」
カナメルは俯きながら言葉をかける。
ツグル「どうした、カナメルらしくないぞ。お前はいつも強気で、生意気で、どんな時も活路を見出す。俺が思うカナメルって奴はそういう奴だ。何を弱気になってるんだ?」
カナメル「これは感情の話じゃない。勝率、いや理論値の話だよ。お前が死ねば全てが0になる。無の神には死んでも勝つしかない。でもその前に死ぬなんてもっと許されない。でも実際ゼウスが相手だったら二人で束になったところで勝率は0だ。それなら一旦引くべきだ、例え仲間を置き去りにすることになろうとも」
ツグル「あの女魔術師の空間転送、、魔法?だったか。この迷宮は戻ることが出来ると思うか?進めば無の神に辿り着くことが出来ると言っていたが、あの儀式の間には進むための扉しかなかった。要するに戻ることは出来ないってことだ」
カナメルは大きくため息をついた。
カナメル「俺としたことが、そんな簡単なことを見落としていたなんてね」
ツグル「もう俺たちは進むしかないんだよ。だったらこれから先どんな敵が立ちはだかっても、勝つだけだ」
カナメル「確かに、ツグルの言うことが正論に思えてきたよ。BBの空間転送魔法は誤算だった。俺は弱気になっていたのか」
ツグルはカナメルの肩に手を置いた。
ツグル「カナメル、俺は死ぬつもりはない。俺が背負ってるものは出来ませんでしたで済まされるものじゃない。トゥール達の、全ての人達の想いを背負ってここまで来た。そんな俺の隣にいてくれるのがお前で良かった」
カナメル「、、、、、、」
ツグル「勝率は本当に0か?カナメル、俺はお前がいれば勝てない相手はいないと思っている。逆に俺は力不足か?だったら戦いの最中に成長してやる。相手の力、お前の頭脳、何だって良い。勝つためならなんだって盗むさ、俺にはそれが出来る。俺は怪物だからな、怪物の可能性をその理論値とやらに加算してくれよ」
カナメル「ふっ」
カナメルはニヤリと笑った。
カナメル「じゃあ微々たるものだろうけど、加算しておくよ」
ツグル「よし、じゃあ行こう」
ツグルは重い、大きな扉を開けた。
そこはグレイス城中心に位置する大庭園だった。
普段は綺麗な花が咲き誇り、壮大な景色を見ることが出来る。
グレイス城の中心に位置するため、城内の人々は皆その花を見て心を癒していた。
だが、今目の前に広がる花々は全て焼け焦げている。
雷が直撃したかのような光景にツグルは息を呑んだ。
大庭園の中心が光り輝いている。
バチバチと音をたて、そこに胡座をかいて座っているのは最も出会いたくない敵だった。
ゼウス「ようやく来たか。お前達が侵入者第一号だ、随分と待たされた」
ツグル「ゼウス!!!!、、、、」
カナメル「、、、、、」
カナメルは顔を顰めている。
ゼウス「どうやら俺は侵入者を全て殲滅しなきゃいけないらしい。奴の命令に従うのは癪だが、強者と戦うチャンスという誘い文句には一理ある。この身体を試させてくれ」
バキバキと音をたててゼウスの筋肉が膨れ上がる。
そこには魔術刻印がしっかりと刻み込まれている。
ツグル「カナメル」
カナメル「、、、、、」
ツグル「カナメル!!!!」
ツグルはカナメルの肩を叩いた。
カナメル「なんだよ」
ツグル「ビビってんじゃねぇだろうな?」
カナメル「まさか。戦略を練っていたところだよ」
カナメルはニヤリと笑った。
ツグル「なら良い。勝つぞ」
カナメル「ああ」
カナメルは引きつる笑顔をそっと真顔に戻した。
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