171 / 229
決戦のグレイス城編
第171話 決戦へと向かう者達
しおりを挟む
超合理主義な男カナメルの提案でグレイス城付近まで鳳凰に乗って最速で進み、近場で数日休養した後、魔力を回復してから場内に攻め入るというプランで二人は動き出した。
リキッドと二人で数週間かけて歩いた道のりだったが、空から行けばたった数日でグレイス城付近の寂れた街へと辿り着くことが出来た。
途中魔力を回復するために地上で休憩を挟んだものの、無駄のないこの計画はカナメル無しでは思いつかなかっただろう。
寂れた街の無人の建物に二人は立て籠った。
外には自我失をしている騎士やその先へと逝ってしまったモンスター達が徘徊している。
カナメル「二日もらう。体調を整えてグレイス城へ突入する」
カナメルは以前ここの家主が読んでいたのであろう書物を読みながらベッドに横たわっている。
ツグル「分かった」
ツグルは食べ物を探して家の中を物色していた。
倉庫の中にはいくつかの穀物と未開封の缶詰が沢山あった。
料理が得意ではないツグルは缶詰を開けて頬張った。
ツグル「カナメルも何か食うか?缶詰なら沢山あるぞ」
カナメル「そうだな、確かに腹減った」
カナメルは本を閉じ、倉庫へとやってきた。
食糧を眺め、まだ食べられそうな食材を選んで運び出した。
ツグル「どうするつもりだ?」
カナメル「何か作る、こう見えて料理は結構得意でね」
ツグル「ふーん、意外だな」
素人には出来ない手際の良さで次々と調理をしている姿を見るに、結構得意どころか相当得意なのだろう。
あっという間に考えられないくらい豪勢な料理がテーブルに並べられた。
カナメル「多めに作ったから食っても良いよ」
明らかに一人分の量ではなく、ちゃんと二人分お皿に取り分けられていた。
ツグル「おう、じゃあもらうわ」
ツグルはまずスープを一口啜った。
ツグル「美味いな」
カナメル「そりゃ良かった」
並べられている料理の名は分からなかったが、食べるもの全てが美味しかった。
ツグル「四天王になる前は料理人だったのか?」
カナメル「まさか」
ツグル「本当に美味しい」
カナメル「俺が作ったんだから当たり前だろ」
カナメルはドヤ顔でスプーンを回していた。
~~~~~~~~~~~~~~
グレイス領東方面。
ダイスとモモはモンスターに襲われている街の手伝いをしながらグレイス城を目指していた。
ほとんどの集落が無人となっていたが、その理由としては小さな村や街の住民が大きな街に逃げ込んでいたからである。
その街では外壁を固め、モンスターの侵入を防いでいた。
武装した街人や傭兵稼業を生業にしていた戦える者達が何とか街を守っている状態だった。
その人々にとって魔法を使えるダイスとモモは救世主のように見えていたことだろう。
この旅で自分達は強くなっている。
そう確信した。
二人は街を救って、グレイス城を目指した。
「本当に行くんですかい?」
モモ「はい、この地獄のような日々を打ち払うために」
ダイス「皆はここで生きていてくれ!俺達がグレイスを取り戻すその日まで」
街を出ると途端に心細さに襲われた。
ダイス「あ~本当に行かなきゃダメかなぁ~。。。もうあの街で平和に暮らしてぇよ~」
モモ「気持ちは分かるけどね、ツグルやトゥールさん達が今もセリアを助けるために戦ってるかもしれない。私達だけが平和に暮らすわけにはいかないよ」
ダイス「だよなぁ~。それに思えば平和じゃねぇな。元々人だったモンスターが毎日誰かしらを襲って怪我人や死人を出す世界なんて、平和じゃねぇや」
モモ「うん、やっぱり無の神を倒して本当の平和を取り戻さなきゃ」
とは言うものの、グレイス城に近付くにつれてモンスターは凶悪になっていた。
遠くに見えるグレイス城の周りを黒い粒々がグルグルと徘徊している様子が見えた。
ダイス「なぁ、あれ全部モンスターだよな?」
モモ「そうだね、流石にあれは突破出来ないよね。どうしよう」
すると、ダイスは閃いたように指を鳴らした。
ダイス「、、、、、水路だ!」
モモ「え?」
ダイス「グレイスの城下町に水路があるだろ?あれは外から城に繋がってるんだよ。幼い頃に忍び込んだことがある!あそこからならモンスターと戦わずに場内へと忍び込める!!!」
モモ「でもそんな簡単に入れるものなの?」
ダイス「俺が忍び込んだせいで鉄製の格子で塞がれた!!」
モモ「何やってんの?じゃあダメじゃん」
ダイス「いやいやいや」
ダイスはわざとらしくその場で転んだ。
モモ「え?」
ダイス「鉄製ならお前がどうとでも出来るだろ!!」
モモ「お、なるほど!」
ダイス「いや~俺って頭良いなぁ」
モモ「たまーにこういうアイデア出すよね~ダイスって」
ダイス「まぁね、更に障害があっても俺達は魔法使いだからさ。その障害を取り除けてしまうという。マジかっけぇ~」
モモ「ツッコミたいところだけど事実なんだよねぇ~私達魔法使いだから。強いって、罪ね」
ダイス「よーし!!水路からドバババー!!!ってセリアを救うぞ!!」
モモ「おー!!!!」
二人は回り込んで水路を目指した。
リキッドと二人で数週間かけて歩いた道のりだったが、空から行けばたった数日でグレイス城付近の寂れた街へと辿り着くことが出来た。
途中魔力を回復するために地上で休憩を挟んだものの、無駄のないこの計画はカナメル無しでは思いつかなかっただろう。
寂れた街の無人の建物に二人は立て籠った。
外には自我失をしている騎士やその先へと逝ってしまったモンスター達が徘徊している。
カナメル「二日もらう。体調を整えてグレイス城へ突入する」
カナメルは以前ここの家主が読んでいたのであろう書物を読みながらベッドに横たわっている。
ツグル「分かった」
ツグルは食べ物を探して家の中を物色していた。
倉庫の中にはいくつかの穀物と未開封の缶詰が沢山あった。
料理が得意ではないツグルは缶詰を開けて頬張った。
ツグル「カナメルも何か食うか?缶詰なら沢山あるぞ」
カナメル「そうだな、確かに腹減った」
カナメルは本を閉じ、倉庫へとやってきた。
食糧を眺め、まだ食べられそうな食材を選んで運び出した。
ツグル「どうするつもりだ?」
カナメル「何か作る、こう見えて料理は結構得意でね」
ツグル「ふーん、意外だな」
素人には出来ない手際の良さで次々と調理をしている姿を見るに、結構得意どころか相当得意なのだろう。
あっという間に考えられないくらい豪勢な料理がテーブルに並べられた。
カナメル「多めに作ったから食っても良いよ」
明らかに一人分の量ではなく、ちゃんと二人分お皿に取り分けられていた。
ツグル「おう、じゃあもらうわ」
ツグルはまずスープを一口啜った。
ツグル「美味いな」
カナメル「そりゃ良かった」
並べられている料理の名は分からなかったが、食べるもの全てが美味しかった。
ツグル「四天王になる前は料理人だったのか?」
カナメル「まさか」
ツグル「本当に美味しい」
カナメル「俺が作ったんだから当たり前だろ」
カナメルはドヤ顔でスプーンを回していた。
~~~~~~~~~~~~~~
グレイス領東方面。
ダイスとモモはモンスターに襲われている街の手伝いをしながらグレイス城を目指していた。
ほとんどの集落が無人となっていたが、その理由としては小さな村や街の住民が大きな街に逃げ込んでいたからである。
その街では外壁を固め、モンスターの侵入を防いでいた。
武装した街人や傭兵稼業を生業にしていた戦える者達が何とか街を守っている状態だった。
その人々にとって魔法を使えるダイスとモモは救世主のように見えていたことだろう。
この旅で自分達は強くなっている。
そう確信した。
二人は街を救って、グレイス城を目指した。
「本当に行くんですかい?」
モモ「はい、この地獄のような日々を打ち払うために」
ダイス「皆はここで生きていてくれ!俺達がグレイスを取り戻すその日まで」
街を出ると途端に心細さに襲われた。
ダイス「あ~本当に行かなきゃダメかなぁ~。。。もうあの街で平和に暮らしてぇよ~」
モモ「気持ちは分かるけどね、ツグルやトゥールさん達が今もセリアを助けるために戦ってるかもしれない。私達だけが平和に暮らすわけにはいかないよ」
ダイス「だよなぁ~。それに思えば平和じゃねぇな。元々人だったモンスターが毎日誰かしらを襲って怪我人や死人を出す世界なんて、平和じゃねぇや」
モモ「うん、やっぱり無の神を倒して本当の平和を取り戻さなきゃ」
とは言うものの、グレイス城に近付くにつれてモンスターは凶悪になっていた。
遠くに見えるグレイス城の周りを黒い粒々がグルグルと徘徊している様子が見えた。
ダイス「なぁ、あれ全部モンスターだよな?」
モモ「そうだね、流石にあれは突破出来ないよね。どうしよう」
すると、ダイスは閃いたように指を鳴らした。
ダイス「、、、、、水路だ!」
モモ「え?」
ダイス「グレイスの城下町に水路があるだろ?あれは外から城に繋がってるんだよ。幼い頃に忍び込んだことがある!あそこからならモンスターと戦わずに場内へと忍び込める!!!」
モモ「でもそんな簡単に入れるものなの?」
ダイス「俺が忍び込んだせいで鉄製の格子で塞がれた!!」
モモ「何やってんの?じゃあダメじゃん」
ダイス「いやいやいや」
ダイスはわざとらしくその場で転んだ。
モモ「え?」
ダイス「鉄製ならお前がどうとでも出来るだろ!!」
モモ「お、なるほど!」
ダイス「いや~俺って頭良いなぁ」
モモ「たまーにこういうアイデア出すよね~ダイスって」
ダイス「まぁね、更に障害があっても俺達は魔法使いだからさ。その障害を取り除けてしまうという。マジかっけぇ~」
モモ「ツッコミたいところだけど事実なんだよねぇ~私達魔法使いだから。強いって、罪ね」
ダイス「よーし!!水路からドバババー!!!ってセリアを救うぞ!!」
モモ「おー!!!!」
二人は回り込んで水路を目指した。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
【文庫化】室長を懲らしめようとしたら、純愛になりました。
ひなの琴莉
恋愛
同棲中の恋人が親友と浮気をして、子供を作っちゃいました。結婚のために貯金していたのに、出産費用に当てると言われお金がないヒロイン。札幌で暮らしているのが辛すぎて、大好きな仕事をやめて、心機一転北海道から東京へやってきた。お金がないので、とりあえずボロボロの安いアパートに住んだが、隣からは甘い声が夜な夜な聞こえてくる。しかも、いつも違う女の人が出てきて、取っ替え引っ替えしているらしい……。チャンスがあれば、お隣さんを懲らしめたい!!! お隣さんは、なんと……!
浮気が絶対に許せないちょっぴり暴走気味のヒロインと、真面目な上司の不器用な恋模様をお楽しみください。
書籍化していただき、本当にありがとうございました。
応援してくださった皆様のおかげです。
この感謝の気持ちを忘れずに、これからも精進してまいります。
2022/9/7
『室長を懲らしめようとしたら、純愛になりました。』がタイトルも新たになって、
文庫化されました。
★御曹司を懲らしめようとしたら、純愛になりました。
文庫には、番外編が付いているので
ぜひ買って読んで頂けるとすごく嬉しいです。
婚約破棄されまして・裏
竹本 芳生
恋愛
婚約破棄されまして(笑)の主人公以外の視点での話。
主人公の見えない所での話になりますよ。多分。
基本的には本編に絡む、過去の話や裏側等を書いていこうと思ってます。
後は……後はノリで、ポロッと何か裏話とか何か書いちゃうかも( ´艸`)
我関せずな白蛇の亜人が恋に落ちる
伊織愁
恋愛
15歳の成人の儀式で、アンガスの手の甲に番の刻印が刻まれた。 15歳までに番に出会っていれば、儀式の時に現れるらしい。 期待もせず、我関せずな態度で儀式に参加していたが、アンガスの番は幼馴染のローラだった。 今まで友達以上に思ったことがない相手で、アンガスは困惑するばかりだった。 しかも、アンガスは15歳まで異性と触れ合って来なかった為、ローラにどう接すればいいか分からずにいた。 一方、ローラの方も思ってもいない相手で、同じように困惑していた。 周囲が盛り上がり、アンガスが周囲から置いてきぼりになっている中、ローラのいとこが番の話を聞きつけ乗り込んで来た。 自身の気持ちを自覚する前に、物事がもの凄い速さで進んで行く。 周囲に流されまいと足掻くアンガスだが……。
ごめんなさい、全部聞こえてます! ~ 私を嫌う婚約者が『魔法の鏡』に恋愛相談をしていました
秦朱音@アルファポリス文庫より書籍発売中
恋愛
「鏡よ鏡、真実を教えてくれ。好いてもない相手と結婚させられたら、人は一体どうなってしまうのだろうか……」
『魔法の鏡』に向かって話しかけているのは、辺境伯ユラン・ジークリッド。
ユランが最愛の婚約者に逃げられて致し方なく私と婚約したのは重々承知だけど、私のことを「好いてもない相手」呼ばわりだなんて酷すぎる。
しかも貴方が恋愛相談しているその『魔法の鏡』。
裏で喋ってるの、私ですからーっ!
*他サイトに投稿したものを改稿
*長編化するか迷ってますが、とりあえず短編でお楽しみください
ここは会社なので求愛禁止です!
森本イチカ
恋愛
中途採用で入社してきたのは喫茶店で女性に水をぶっかけられてたあの男性だった。
瞬く間に唇を奪われて!?
☆.・*・.☆.・*・.☆.・*・.☆
真面目に仕事をしてたらいつの間にか三十歳。
恋の仕方を忘れました。
水野真紀
×
好きになると一途で重すぎる男。
俺、水野さんが好きです。
松田大雅
☆.・*・.☆.・*・.☆.・*・.☆
もう一度人生をやり直し中のおばあちゃんの恋の物語
ももね いちご
恋愛
95歳で幸せに亡くなった木村多恵子は、天国に行く途中にブラックホールに巻き込まれて、小学生に転生しました。懐かしい人々と、多恵子のちょっと甘くて切ないラブストーリー
木村多恵子
95歳で亡くなり、もう一度人生を謳歌中
佐々木次郎丸
多恵子の前世の旦那で、幼馴染
花田美津子
多恵子の親友。次郎丸が好きで好きでたまらない
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる