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決戦のグレイス城編
第171話 決戦へと向かう者達
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超合理主義な男カナメルの提案でグレイス城付近まで鳳凰に乗って最速で進み、近場で数日休養した後、魔力を回復してから場内に攻め入るというプランで二人は動き出した。
リキッドと二人で数週間かけて歩いた道のりだったが、空から行けばたった数日でグレイス城付近の寂れた街へと辿り着くことが出来た。
途中魔力を回復するために地上で休憩を挟んだものの、無駄のないこの計画はカナメル無しでは思いつかなかっただろう。
寂れた街の無人の建物に二人は立て籠った。
外には自我失をしている騎士やその先へと逝ってしまったモンスター達が徘徊している。
カナメル「二日もらう。体調を整えてグレイス城へ突入する」
カナメルは以前ここの家主が読んでいたのであろう書物を読みながらベッドに横たわっている。
ツグル「分かった」
ツグルは食べ物を探して家の中を物色していた。
倉庫の中にはいくつかの穀物と未開封の缶詰が沢山あった。
料理が得意ではないツグルは缶詰を開けて頬張った。
ツグル「カナメルも何か食うか?缶詰なら沢山あるぞ」
カナメル「そうだな、確かに腹減った」
カナメルは本を閉じ、倉庫へとやってきた。
食糧を眺め、まだ食べられそうな食材を選んで運び出した。
ツグル「どうするつもりだ?」
カナメル「何か作る、こう見えて料理は結構得意でね」
ツグル「ふーん、意外だな」
素人には出来ない手際の良さで次々と調理をしている姿を見るに、結構得意どころか相当得意なのだろう。
あっという間に考えられないくらい豪勢な料理がテーブルに並べられた。
カナメル「多めに作ったから食っても良いよ」
明らかに一人分の量ではなく、ちゃんと二人分お皿に取り分けられていた。
ツグル「おう、じゃあもらうわ」
ツグルはまずスープを一口啜った。
ツグル「美味いな」
カナメル「そりゃ良かった」
並べられている料理の名は分からなかったが、食べるもの全てが美味しかった。
ツグル「四天王になる前は料理人だったのか?」
カナメル「まさか」
ツグル「本当に美味しい」
カナメル「俺が作ったんだから当たり前だろ」
カナメルはドヤ顔でスプーンを回していた。
~~~~~~~~~~~~~~
グレイス領東方面。
ダイスとモモはモンスターに襲われている街の手伝いをしながらグレイス城を目指していた。
ほとんどの集落が無人となっていたが、その理由としては小さな村や街の住民が大きな街に逃げ込んでいたからである。
その街では外壁を固め、モンスターの侵入を防いでいた。
武装した街人や傭兵稼業を生業にしていた戦える者達が何とか街を守っている状態だった。
その人々にとって魔法を使えるダイスとモモは救世主のように見えていたことだろう。
この旅で自分達は強くなっている。
そう確信した。
二人は街を救って、グレイス城を目指した。
「本当に行くんですかい?」
モモ「はい、この地獄のような日々を打ち払うために」
ダイス「皆はここで生きていてくれ!俺達がグレイスを取り戻すその日まで」
街を出ると途端に心細さに襲われた。
ダイス「あ~本当に行かなきゃダメかなぁ~。。。もうあの街で平和に暮らしてぇよ~」
モモ「気持ちは分かるけどね、ツグルやトゥールさん達が今もセリアを助けるために戦ってるかもしれない。私達だけが平和に暮らすわけにはいかないよ」
ダイス「だよなぁ~。それに思えば平和じゃねぇな。元々人だったモンスターが毎日誰かしらを襲って怪我人や死人を出す世界なんて、平和じゃねぇや」
モモ「うん、やっぱり無の神を倒して本当の平和を取り戻さなきゃ」
とは言うものの、グレイス城に近付くにつれてモンスターは凶悪になっていた。
遠くに見えるグレイス城の周りを黒い粒々がグルグルと徘徊している様子が見えた。
ダイス「なぁ、あれ全部モンスターだよな?」
モモ「そうだね、流石にあれは突破出来ないよね。どうしよう」
すると、ダイスは閃いたように指を鳴らした。
ダイス「、、、、、水路だ!」
モモ「え?」
ダイス「グレイスの城下町に水路があるだろ?あれは外から城に繋がってるんだよ。幼い頃に忍び込んだことがある!あそこからならモンスターと戦わずに場内へと忍び込める!!!」
モモ「でもそんな簡単に入れるものなの?」
ダイス「俺が忍び込んだせいで鉄製の格子で塞がれた!!」
モモ「何やってんの?じゃあダメじゃん」
ダイス「いやいやいや」
ダイスはわざとらしくその場で転んだ。
モモ「え?」
ダイス「鉄製ならお前がどうとでも出来るだろ!!」
モモ「お、なるほど!」
ダイス「いや~俺って頭良いなぁ」
モモ「たまーにこういうアイデア出すよね~ダイスって」
ダイス「まぁね、更に障害があっても俺達は魔法使いだからさ。その障害を取り除けてしまうという。マジかっけぇ~」
モモ「ツッコミたいところだけど事実なんだよねぇ~私達魔法使いだから。強いって、罪ね」
ダイス「よーし!!水路からドバババー!!!ってセリアを救うぞ!!」
モモ「おー!!!!」
二人は回り込んで水路を目指した。
リキッドと二人で数週間かけて歩いた道のりだったが、空から行けばたった数日でグレイス城付近の寂れた街へと辿り着くことが出来た。
途中魔力を回復するために地上で休憩を挟んだものの、無駄のないこの計画はカナメル無しでは思いつかなかっただろう。
寂れた街の無人の建物に二人は立て籠った。
外には自我失をしている騎士やその先へと逝ってしまったモンスター達が徘徊している。
カナメル「二日もらう。体調を整えてグレイス城へ突入する」
カナメルは以前ここの家主が読んでいたのであろう書物を読みながらベッドに横たわっている。
ツグル「分かった」
ツグルは食べ物を探して家の中を物色していた。
倉庫の中にはいくつかの穀物と未開封の缶詰が沢山あった。
料理が得意ではないツグルは缶詰を開けて頬張った。
ツグル「カナメルも何か食うか?缶詰なら沢山あるぞ」
カナメル「そうだな、確かに腹減った」
カナメルは本を閉じ、倉庫へとやってきた。
食糧を眺め、まだ食べられそうな食材を選んで運び出した。
ツグル「どうするつもりだ?」
カナメル「何か作る、こう見えて料理は結構得意でね」
ツグル「ふーん、意外だな」
素人には出来ない手際の良さで次々と調理をしている姿を見るに、結構得意どころか相当得意なのだろう。
あっという間に考えられないくらい豪勢な料理がテーブルに並べられた。
カナメル「多めに作ったから食っても良いよ」
明らかに一人分の量ではなく、ちゃんと二人分お皿に取り分けられていた。
ツグル「おう、じゃあもらうわ」
ツグルはまずスープを一口啜った。
ツグル「美味いな」
カナメル「そりゃ良かった」
並べられている料理の名は分からなかったが、食べるもの全てが美味しかった。
ツグル「四天王になる前は料理人だったのか?」
カナメル「まさか」
ツグル「本当に美味しい」
カナメル「俺が作ったんだから当たり前だろ」
カナメルはドヤ顔でスプーンを回していた。
~~~~~~~~~~~~~~
グレイス領東方面。
ダイスとモモはモンスターに襲われている街の手伝いをしながらグレイス城を目指していた。
ほとんどの集落が無人となっていたが、その理由としては小さな村や街の住民が大きな街に逃げ込んでいたからである。
その街では外壁を固め、モンスターの侵入を防いでいた。
武装した街人や傭兵稼業を生業にしていた戦える者達が何とか街を守っている状態だった。
その人々にとって魔法を使えるダイスとモモは救世主のように見えていたことだろう。
この旅で自分達は強くなっている。
そう確信した。
二人は街を救って、グレイス城を目指した。
「本当に行くんですかい?」
モモ「はい、この地獄のような日々を打ち払うために」
ダイス「皆はここで生きていてくれ!俺達がグレイスを取り戻すその日まで」
街を出ると途端に心細さに襲われた。
ダイス「あ~本当に行かなきゃダメかなぁ~。。。もうあの街で平和に暮らしてぇよ~」
モモ「気持ちは分かるけどね、ツグルやトゥールさん達が今もセリアを助けるために戦ってるかもしれない。私達だけが平和に暮らすわけにはいかないよ」
ダイス「だよなぁ~。それに思えば平和じゃねぇな。元々人だったモンスターが毎日誰かしらを襲って怪我人や死人を出す世界なんて、平和じゃねぇや」
モモ「うん、やっぱり無の神を倒して本当の平和を取り戻さなきゃ」
とは言うものの、グレイス城に近付くにつれてモンスターは凶悪になっていた。
遠くに見えるグレイス城の周りを黒い粒々がグルグルと徘徊している様子が見えた。
ダイス「なぁ、あれ全部モンスターだよな?」
モモ「そうだね、流石にあれは突破出来ないよね。どうしよう」
すると、ダイスは閃いたように指を鳴らした。
ダイス「、、、、、水路だ!」
モモ「え?」
ダイス「グレイスの城下町に水路があるだろ?あれは外から城に繋がってるんだよ。幼い頃に忍び込んだことがある!あそこからならモンスターと戦わずに場内へと忍び込める!!!」
モモ「でもそんな簡単に入れるものなの?」
ダイス「俺が忍び込んだせいで鉄製の格子で塞がれた!!」
モモ「何やってんの?じゃあダメじゃん」
ダイス「いやいやいや」
ダイスはわざとらしくその場で転んだ。
モモ「え?」
ダイス「鉄製ならお前がどうとでも出来るだろ!!」
モモ「お、なるほど!」
ダイス「いや~俺って頭良いなぁ」
モモ「たまーにこういうアイデア出すよね~ダイスって」
ダイス「まぁね、更に障害があっても俺達は魔法使いだからさ。その障害を取り除けてしまうという。マジかっけぇ~」
モモ「ツッコミたいところだけど事実なんだよねぇ~私達魔法使いだから。強いって、罪ね」
ダイス「よーし!!水路からドバババー!!!ってセリアを救うぞ!!」
モモ「おー!!!!」
二人は回り込んで水路を目指した。
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