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ヘイスレイブ奪還編
第102話 負の作用
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ナオティッシモ先生はオーラの副作用について語り始めた。
ナオティッシモ「基本的にはオーラの力と反対に作用するんだ。無限の魔力だとしたら魔力切れの日々が続くだろうね。オーラの発動時間と副作用の時間は各々違うってことも覚えておくと良い」
カナメル「なるほどな」
徐々に魔力が回復してはいるものの、明らかに回復速度が遅い。
これは赤のオーラの副作用なのだろう。
ナオティッシモ「オーラを使いこなすことが出来れば、どんな戦いでも勝機を見出せるだろうね」
ナオティッシモはコーヒーを飲み干し、ティーカップを置いた。
ナオティッシモ「副作用の話の流れで聞こうか、そこのお嬢さんは不思議な力を持っているようだね」
ナオティッシモはドラを見ながら話し始めた。
ナオティッシモ「上手くは言えないが、人間の魔力ではないように感じる」
ドラ「え?あ、そ、そうっすか?」
明らかな焦りを見せるドラ。
カナメル「彼女は竜の力を持っているんだ」
ドラ「え!!あ、はい、そうです」
マツとドラは驚いてカナメルを見ている。
ナオティッシモ「竜の力、、、ほう、確かにそんな文献を読んだことが、えーと、あれだ、、」
ナオティッシモはまた本の山を漁り始めた。
ナオティッシモ「あった、これだ」
ナオティッシモは本を開き、読み語るようにゆるりと話し始めた。
ナオティッシモ「かつてこの大陸には竜に化ける民族がいた、竜はとてつもない力をもち、人々に恐れられた。戦争の道具として扱われた竜族は徐々に数を減らし、遂には絶滅した。。。。ふむ、しかしこうして生き残っていたというわけだ。お嬢さん、竜化が出来るということで間違いないかな?」
ドラは躊躇いながらも頷いた。
ナオティッシモは眉間に皺を寄せながら、諭すように言葉を発した。
ナオティッシモ「だとしたら、もう竜化は使わない方が良い」
突拍子もない助言に、一同は驚いた。
カナメル「どういうことだ?」
ナオティッシモ「私は様々な文献を読んできた、どの書物にも等しく書いてあることは、竜族の末路だ。竜族は竜化を繰り返すほどに自我を失い、言葉を忘れ、竜となってしまうらしい。とある大陸の出身者は魔視という魔力を見る力があるらしいが、それがない私でも分かる。もう既にお嬢さんの魔力は人間のものではない」
ドラ「マジっすか、、、、」
ドラは落胆した。
マツ「、、、、、」
ドラ「せっかく授業して、扱える能力になったのに。。ムーさんやツグルに申し訳ないっす」
カナメル「その文献は確かな情報なのか?」
ナオティッシモ「信憑性はかなり高い。そもそも、竜族というのは人間が竜化の能力を手に入れたのではなく、竜が人間に化ける力を手にしたことが始まりらしい。竜の姿が本来の姿なんだ」
マツ「ドラ、人間じゃないの!?」
ドラ「いやいやいや、人間だよ!」
ナオティッシモ「もちろん、もうほとんど人間の血が勝り、人間であることは間違いないけれど。それほどに竜の血の力は強いということだ。もう二度と、竜化を使わない方が良い、お嬢さん。君は自分が思っているよりも、竜へと近付いていることを忘れてはいけない」
ドラ「、、、、分かりました、ありがとうございます」
ドラは俯いた。
マツ「でも、大丈夫だよ。竜にならなくたって魔法が使えるわけだし、まだまだ私達は強くなれるよ」
ドラ「うん、、ありがとう」
カナメル「、、、、、」
大きな古時計が、勝手に時を刻んでいく。
カナメル「最後に質問がある、ヘイスレイブは今どういう状況だ?」
ナオティッシモ「ふむ、オガリョくんが王として実権を握ろうとしている。アンチェアくんは囚われているようだね」
カナメル「何故オガリョはアンチェアを殺さない?」
ナオティッシモ「法としてはアンチェアくんが王となる予定だった。もし予想外の出来事が起きた場合の交渉のカードとして手中に収めているのかもしれないね。例えば、炎のマントがヘイスレイブに姿をあらわしたりなんかしたら、オガリョくんは黙っていないだろうね」
カナメル「そういうことか、アカデミー時代、オガリョはアンチェアに恋心を抱いていた。今でもそれが理由で殺せないなんてロマンチックなことを考えていた俺はバカみたいだ」
ナオティッシモは声を上げて笑った。
ナオティッシモ「その可能性も、ゼロではないかもね。君はアカデミーの頃から変わらず面白い人だ。凄まじい速度で強くなる君を、オガリョくんはいつも目の敵にしていたね。それでもあの頃はなんだかんだ皆仲が良くて、、、、どうしてこうなってしまったのか」
カナメル「嘆いたって仕方ない。とりあえず魔力の回復を待って、仕掛けるさ。アンチェアが生きていてくれれば、ヘイスレイブはまた立て直せる」
ナオティッシモ「君が王になるってのもアリじゃないかな?」
カナメルは鼻で笑った。
カナメル「俺はトップに立つような人間じゃない、四天王になった理由は大きな権力を手にした上で、ほとんど責任がないことに魅力を感じただけだ。その権力で魔法の研究や神の裁きの破壊方法を知った」
ナオティッシモ「なるほどね」
カナメルは立ち上がり、マツとドラをチラッと見た。
ナオティッシモ「もう行くのかい?」
カナメル「長々とお邪魔するわけにはいかない、とりあえず寝床で身体を休めるよ」
ナオティッシモ「そうだ、噂だとオダルジョーくんとホーリーくんの姿も目撃されている」
カナメル「、、、、、」
ナオティッシモ「お気をつけて」
カナメル「色々とありがとうございました」
マツ「コーヒー、ご馳走さまでした、お邪魔しました」
三人は屋敷を出た。
マツ「ナオティッシモ先生は一緒に戦ってくれないんですか?」
カナメル「無理だね、あの人は魔術や歴史に興味があるだけで、国がどうなろうが知ったこっちゃないんだ」
マツ「酷い人ですね」
カナメル「俺だって国に興味はないよ。ただ、知り合いが勝手に死んでいくのは胸糞悪いってだけだ」
マツ「失礼ですけど、カナメルさんってやっぱり変な人ですよね」
カナメル「知ってる」
マツ「ご存知でしたか」
カナメル「マツ、ドラ、これから先俺にもしものことがあったら、アンチェアのことを頼む。あと、ナミチュのこともお前達に頼んだ」
マツ「突然何言い出すんですか、王のことはもちろん守りますけど、その頼みは知ったこっちゃないってハナシです!」
カナメル「あーそうですか」
三人は湿地を抜けた。
ナオティッシモ「基本的にはオーラの力と反対に作用するんだ。無限の魔力だとしたら魔力切れの日々が続くだろうね。オーラの発動時間と副作用の時間は各々違うってことも覚えておくと良い」
カナメル「なるほどな」
徐々に魔力が回復してはいるものの、明らかに回復速度が遅い。
これは赤のオーラの副作用なのだろう。
ナオティッシモ「オーラを使いこなすことが出来れば、どんな戦いでも勝機を見出せるだろうね」
ナオティッシモはコーヒーを飲み干し、ティーカップを置いた。
ナオティッシモ「副作用の話の流れで聞こうか、そこのお嬢さんは不思議な力を持っているようだね」
ナオティッシモはドラを見ながら話し始めた。
ナオティッシモ「上手くは言えないが、人間の魔力ではないように感じる」
ドラ「え?あ、そ、そうっすか?」
明らかな焦りを見せるドラ。
カナメル「彼女は竜の力を持っているんだ」
ドラ「え!!あ、はい、そうです」
マツとドラは驚いてカナメルを見ている。
ナオティッシモ「竜の力、、、ほう、確かにそんな文献を読んだことが、えーと、あれだ、、」
ナオティッシモはまた本の山を漁り始めた。
ナオティッシモ「あった、これだ」
ナオティッシモは本を開き、読み語るようにゆるりと話し始めた。
ナオティッシモ「かつてこの大陸には竜に化ける民族がいた、竜はとてつもない力をもち、人々に恐れられた。戦争の道具として扱われた竜族は徐々に数を減らし、遂には絶滅した。。。。ふむ、しかしこうして生き残っていたというわけだ。お嬢さん、竜化が出来るということで間違いないかな?」
ドラは躊躇いながらも頷いた。
ナオティッシモは眉間に皺を寄せながら、諭すように言葉を発した。
ナオティッシモ「だとしたら、もう竜化は使わない方が良い」
突拍子もない助言に、一同は驚いた。
カナメル「どういうことだ?」
ナオティッシモ「私は様々な文献を読んできた、どの書物にも等しく書いてあることは、竜族の末路だ。竜族は竜化を繰り返すほどに自我を失い、言葉を忘れ、竜となってしまうらしい。とある大陸の出身者は魔視という魔力を見る力があるらしいが、それがない私でも分かる。もう既にお嬢さんの魔力は人間のものではない」
ドラ「マジっすか、、、、」
ドラは落胆した。
マツ「、、、、、」
ドラ「せっかく授業して、扱える能力になったのに。。ムーさんやツグルに申し訳ないっす」
カナメル「その文献は確かな情報なのか?」
ナオティッシモ「信憑性はかなり高い。そもそも、竜族というのは人間が竜化の能力を手に入れたのではなく、竜が人間に化ける力を手にしたことが始まりらしい。竜の姿が本来の姿なんだ」
マツ「ドラ、人間じゃないの!?」
ドラ「いやいやいや、人間だよ!」
ナオティッシモ「もちろん、もうほとんど人間の血が勝り、人間であることは間違いないけれど。それほどに竜の血の力は強いということだ。もう二度と、竜化を使わない方が良い、お嬢さん。君は自分が思っているよりも、竜へと近付いていることを忘れてはいけない」
ドラ「、、、、分かりました、ありがとうございます」
ドラは俯いた。
マツ「でも、大丈夫だよ。竜にならなくたって魔法が使えるわけだし、まだまだ私達は強くなれるよ」
ドラ「うん、、ありがとう」
カナメル「、、、、、」
大きな古時計が、勝手に時を刻んでいく。
カナメル「最後に質問がある、ヘイスレイブは今どういう状況だ?」
ナオティッシモ「ふむ、オガリョくんが王として実権を握ろうとしている。アンチェアくんは囚われているようだね」
カナメル「何故オガリョはアンチェアを殺さない?」
ナオティッシモ「法としてはアンチェアくんが王となる予定だった。もし予想外の出来事が起きた場合の交渉のカードとして手中に収めているのかもしれないね。例えば、炎のマントがヘイスレイブに姿をあらわしたりなんかしたら、オガリョくんは黙っていないだろうね」
カナメル「そういうことか、アカデミー時代、オガリョはアンチェアに恋心を抱いていた。今でもそれが理由で殺せないなんてロマンチックなことを考えていた俺はバカみたいだ」
ナオティッシモは声を上げて笑った。
ナオティッシモ「その可能性も、ゼロではないかもね。君はアカデミーの頃から変わらず面白い人だ。凄まじい速度で強くなる君を、オガリョくんはいつも目の敵にしていたね。それでもあの頃はなんだかんだ皆仲が良くて、、、、どうしてこうなってしまったのか」
カナメル「嘆いたって仕方ない。とりあえず魔力の回復を待って、仕掛けるさ。アンチェアが生きていてくれれば、ヘイスレイブはまた立て直せる」
ナオティッシモ「君が王になるってのもアリじゃないかな?」
カナメルは鼻で笑った。
カナメル「俺はトップに立つような人間じゃない、四天王になった理由は大きな権力を手にした上で、ほとんど責任がないことに魅力を感じただけだ。その権力で魔法の研究や神の裁きの破壊方法を知った」
ナオティッシモ「なるほどね」
カナメルは立ち上がり、マツとドラをチラッと見た。
ナオティッシモ「もう行くのかい?」
カナメル「長々とお邪魔するわけにはいかない、とりあえず寝床で身体を休めるよ」
ナオティッシモ「そうだ、噂だとオダルジョーくんとホーリーくんの姿も目撃されている」
カナメル「、、、、、」
ナオティッシモ「お気をつけて」
カナメル「色々とありがとうございました」
マツ「コーヒー、ご馳走さまでした、お邪魔しました」
三人は屋敷を出た。
マツ「ナオティッシモ先生は一緒に戦ってくれないんですか?」
カナメル「無理だね、あの人は魔術や歴史に興味があるだけで、国がどうなろうが知ったこっちゃないんだ」
マツ「酷い人ですね」
カナメル「俺だって国に興味はないよ。ただ、知り合いが勝手に死んでいくのは胸糞悪いってだけだ」
マツ「失礼ですけど、カナメルさんってやっぱり変な人ですよね」
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マツ「ご存知でしたか」
カナメル「マツ、ドラ、これから先俺にもしものことがあったら、アンチェアのことを頼む。あと、ナミチュのこともお前達に頼んだ」
マツ「突然何言い出すんですか、王のことはもちろん守りますけど、その頼みは知ったこっちゃないってハナシです!」
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