上 下
99 / 229
混沌の北ゲート編

第99話 覚醒

しおりを挟む
リリ「はぁ~私は色んな魔術を忘れていたようだよ、凍結なんてリメイクしてしまえば簡単に解除出来るのに」

リリは頭を掻きながら悔しそうに機械を操作している。

セリア「身体は大丈夫なんですか?」

リリ「うん、大丈夫!!嫌な夢を見ていただけ、あ!!このままトゥールの言う通り離脱しても良いんだけどさ、ちょっと助けてやりたい奴がいるんだ」

リリは上昇させたヘリコプターをそのままの高度でとどめ、扉を開けた。

プロペラの騒音と風が一気に流れ込んでくる。

リリ「あんたも記憶が流れ込んできて、動けなくなってたんでしょ?」

リリは独り言を言いながら、手元に大型のスナイパーライフルを召喚した。

リリ「あんたは手を出すなと怒るだろうけど、あんたが死んだら皆悲しむんだよ、意外とね。それに、今あんたを助けられるのは私だけっぽいし」

リリはスナイパーライフルを覗き込んだ。

ダイス「誰と喋ってんだ?」

リリ「独り言だよ、助けてあげるのに文句言われるのシンドイから、言い訳してるの」

リリが覗き込んだ先には、ゼウスに首を掴まれ苦しむタカの姿があった。

ツグル「何も見えないが」

リリ「だろうね、だから私にしか助けられないっぽいのよ」

リリはゼウスの胸に標準を合わせる。

リリ「こんな大技を忘れていたなんてねぇ、、、見ていてよ、これが私の、最高傑作!!」

リリが引き金を引くと、反動でヘリコプターが傾いた。

そして爆音と共に遠くにクレーターのような巨大な穴が出来ていた。

ダイス「おいおいおい、ライフルの威力じゃねぇだろ!!隕石でも降ってきたか!?」

ツグル「タカは無事なのか?」

リリ「あ~、あいつは頑丈だから平気。ゼウスも仕留められやしないけど、とりあえず平等な戦いにはなったでしょう~」

リリはヘリコプターの扉を閉めた。

リリは悔しそうに唇を噛み締めている。

リリ「モモちゃん、ヘリコプターを漆黒の騎士の斬撃から守ってくれてありがとね」

モモ「いえ、、、フルネス将軍のおかげで、ほとんど破壊力はありませんでしたから」

リリ「でもモモちゃんが硬化をしてくれなかったら、今頃皆真っ二つだったよ。その、フルネス将軍って方、ちゃんとお礼を言いたかったな、、、、」

セリア「今からでも、、、私が歌えば、、、」

リリ「ダメだよ、セリアちゃん。言ってたでしょ?歌えば歌うほど、漆黒の騎士は力を増していく。今歌えば、トゥールとタクティスが死んじゃうかもしれないよ。そうだとしたら私は何を許して、何を恨めば良いのか分からなくなる。あいつらなら何とか出来るって信じてるから、私はここから遠ざかるの、分かる?」

セリア「はい、、、そうですよね、、」

ツグル「これから先、誰が死んでもおかしくないんだ。あのフルネス将軍でさえ命を落とした。各々覚悟だけはしておこう」

ツグル達を乗せたヘリコプターは遠くの空へと消えていった。








タクティス「ふん!!!」

凍結はいとも簡単に解かれ、タクティスが自由を取り戻す。

タクティス「俺はいつでもやれるぞ、トゥール」

メラメラと燃え上がるように湧き出る緑のオーラが、タクティスの闘志に呼応するように揺れる。

トゥール「ああ、一瞬で決める」

トゥールの青のオーラが刀に集まりだす。

漆黒の騎士は雄叫びをあげ、また滑るように移動を開始した。

トゥールは青く輝く刀を鞘に収め、居合いの構えをとった。

トゥール「居合、、、神風、、、、」

青のオーラがギラギラと放出されている。

トゥール「夜桜」

青い花弁の形のオーラがヒラヒラと舞い上がる。
トゥールは漆黒の騎士の背後にいた。
滑るように移動していた漆黒の騎士は動きを止め、その場で動かなくなった。

タクティス「やったのか?」

数秒、時が止まったかのように、漆黒の騎士とトゥールが硬直している。

カシャン。

トゥールが刀を収めると。

漆黒の騎士「グルァァァァァァァ!!!!!」

突然漆黒の騎士が叫び声をあげ、ジタバタともがき出した。

トゥール「仕留め切れなかったか、タクティス、あとは頼んだ」

トゥールが駆け出そうとしたその時。

漆黒の騎士「トゥー、、、ル」

漆黒の騎士がトゥールを呼び止めた。

トゥール「、、、、、やっぱり、お前だったのか」

漆黒の騎士の黒い装甲が剥がれ、現れたのはトゥール達六人のうちの一人。

トゥール「リキッド、、、、」


リキッドそのものだった。

タクティス「リキッド!!生きていたのか!?」

タクティスが駆け寄ろうとしたその時。

剥がれた黒い装甲がニュルニュルと肥大化し、闇の魔力が増幅していく。

タクティス「なんだこいつは、、、」

みるみるうちに巨大化したそれは、人肉の塊のような風貌をしていた。

リキッドは力尽きたように動かなくなり、トゥールはリキッドを背負った。

街を覆うほどに巨大化した人肉は、様々な肉声で呻き声をあげている。

トゥール「頼んだ」

トゥールはリキッドを背負い、走り出した。

タクティス「任せろ」

緑のオーラを纏ったタクティスが巨大な怪物を睨み付けた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】

ちっき
ファンタジー
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!

(完)妹の子供を養女にしたら・・・・・・

青空一夏
恋愛
私はダーシー・オークリー女伯爵。愛する夫との間に子供はいない。なんとかできるように努力はしてきたがどうやら私の身体に原因があるようだった。 「養女を迎えようと思うわ・・・・・・」 私の言葉に夫は私の妹のアイリスのお腹の子どもがいいと言う。私達はその産まれてきた子供を養女に迎えたが・・・・・・ 異世界中世ヨーロッパ風のゆるふわ設定。ざまぁ。魔獣がいる世界。

女神のチョンボで異世界に召喚されてしまった。どうしてくれるんだよ?

よっしぃ
ファンタジー
僕の名前は 口田 士門くちた しもん。31歳独身。 転勤の為、新たな赴任地へ車で荷物を積んで移動中、妙な光を通過したと思ったら、気絶してた。目が覚めると何かを刎ねたのかフロントガラスは割れ、血だらけに。 吐き気がして外に出て、嘔吐してると化け物に襲われる…が、武器で殴られたにもかかわらず、服が傷ついたけど、ダメージがない。怖くて化け物を突き飛ばすと何故かスプラッターに。 そして何か画面が出てくるけど、読めない。 さらに現地の人が現れるけど、言葉が理解できない。 何なんだ、ここは?そしてどうなってるんだ? 私は女神。 星系を管理しているんだけど、ちょっとしたミスで地球という星に居る勇者候補を召喚しようとしてミスっちゃって。 1人召喚するはずが、周りの建物ごと沢山の人を召喚しちゃってて。 さらに追い打ちをかけるように、取り消そうとしたら、召喚した場所が経験値100倍になっちゃってて、現地の魔物が召喚した人を殺しちゃって、あっという間に高レベルに。 これがさらに上司にばれちゃって大騒ぎに・・・・ これは女神のついうっかりから始まった、異世界召喚に巻き込まれた口田を中心とする物語。 旧題 女神のチョンボで大変な事に 誤字脱字等を修正、一部内容の変更及び加筆を行っています。また一度完結しましたが、完結前のはしょり過ぎた部分を新たに加え、執筆中です! 前回の作品は一度消しましたが、読みたいという要望が多いので、おさらいも含め、再び投稿します。 前回530話あたりまでで完結させていますが、8月6日現在約570話になってます。毎日1話執筆予定で、当面続きます。 アルファポリスで公開しなかった部分までは一気に公開していく予定です。 新たな部分は時間の都合で8月末あたりから公開できそうです。

もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ
ファンタジー
 第15回ファンタジー大賞、奨励賞頂きました。  投票していただいた皆さん、ありがとうございます。  励みになりましたので、感想欄は受け付けのままにします。基本的には返信しませんので、ご了承ください。 「あんたいいかげんにせんねっ」  異世界にある大国ディレナスの王子が聖女召喚を行った。呼ばれたのは聖女の称号をもつ華憐と、派手な母親と、華憐の弟と妹。テンプレートのように巻き込まれたのは、聖女華憐に散々迷惑をかけられてきた、水澤一家。  ディレナスの大臣の1人が申し訳ないからと、世話をしてくれるが、絶対にあの華憐が何かやらかすに決まっている。一番の被害者である水澤家長女優衣には、新種のスキルが異世界転移特典のようにあった。『ルーム』だ。  一緒に巻き込まれた両親と弟にもそれぞれスキルがあるが、優衣のスキルだけ異質に思えた。だが、当人はこれでどうにかして、家族と溺愛している愛犬花を守れないかと思う。  まずは、聖女となった華憐から逃げることだ。  聖女召喚に巻き込まれた4人家族+愛犬の、のんびりで、もふもふな生活のつもりが……………    ゆるっと設定、方言がちらほら出ますので、読みにくい解釈しにくい箇所があるかと思いますが、ご了承頂けたら幸いです。

またね。次ね。今度ね。聞き飽きました。お断りです。

朝山みどり
ファンタジー
ミシガン伯爵家のリリーは、いつも後回しにされていた。転んで怪我をしても、熱を出しても誰もなにもしてくれない。わたしは家族じゃないんだとリリーは思っていた。 婚約者こそいるけど、相手も自分と同じ境遇の侯爵家の二男。だから、リリーは彼と家族を作りたいと願っていた。 だけど、彼は妹のアナベルとの結婚を望み、婚約は解消された。 リリーは失望に負けずに自身の才能を武器に道を切り開いて行った。 「なろう」「カクヨム」に投稿しています。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

伯爵夫人のお気に入り

つくも茄子
ファンタジー
プライド伯爵令嬢、ユースティティアは僅か二歳で大病を患い入院を余儀なくされた。悲しみにくれる伯爵夫人は、遠縁の少女を娘代わりに可愛がっていた。 数年後、全快した娘が屋敷に戻ってきた時。 喜ぶ伯爵夫人。 伯爵夫人を慕う少女。 静観する伯爵。 三者三様の想いが交差する。 歪な家族の形。 「この家族ごっこはいつまで続けるおつもりですか?お父様」 「お人形遊びはいい加減卒業なさってください、お母様」 「家族?いいえ、貴方は他所の子です」 ユースティティアは、そんな家族の形に呆れていた。 「可愛いあの子は、伯爵夫人のお気に入り」から「伯爵夫人のお気に入り」にタイトルを変更します。

悪女の指南〜媚びるのをやめたら周囲の態度が変わりました

結城芙由奈 
恋愛
【何故我慢しなければならないのかしら?】 20歳の子爵家令嬢オリビエは母親の死と引き換えに生まれてきた。そのため父からは疎まれ、実の兄から憎まれている。義母からは無視され、異母妹からは馬鹿にされる日々。頼みの綱である婚約者も冷たい態度を取り、異母妹と惹かれ合っている。オリビエは少しでも受け入れてもらえるように媚を売っていたそんなある日悪女として名高い侯爵令嬢とふとしたことで知りあう。交流を深めていくうちに侯爵令嬢から諭され、自分の置かれた環境に疑問を抱くようになる。そこでオリビエは媚びるのをやめることにした。するとに周囲の環境が変化しはじめ―― ※他サイトでも投稿中

処理中です...