上 下
8 / 229
始まりの歌声編

第8話 殺戮の宴

しおりを挟む
その日の夜、酒場にて

ダイス「ツグルの勇姿と俺たちの絆に、、、乾杯!!!!!!」

ダイスの音頭で一勢にグラスを合わせる。
その後ダイスは樽の上に立ち、何やら歌を歌っていた。

今日の酒場はやけに騒がしい、でもこれは悪くないと思える。

モモ「ツグル」

ツグル「なんだ」

モモ「私ね、お父さんのようになりたかったんだ。でもお父さんはセレスティア様と、この国を守るために戦ってたの」

ツグル「そうだろうな」

モモ「私が騎士になりたい理由は、お父さんのようになりたいってだけで、そこには憧れしかなくって、今日ツグルの言ったことをずっと考えてたんだけど、私このまま騎士になりたくないって思ったの」

ツグル「そうか」

モモ「いや、辞めるとかってわけじゃないけど。本当にやるべきこと、まだ見つかってないけれど。
探していきたいって思った、ごめんね、何かまとまってなくて」

ツグル「いや、こっちこそありがとう、そう言ってくれたら勇気を出した甲斐があるよ」

セリア「ふぁあ~」

セリアがオレンジジュースを片手にあくびをしている。

モモ「あらセリア、眠そうね」

セリア「なんか今日は身体がだるくて~」

モモ「寝坊した日って最後まで調子でないよね」

セリア「そ~だよ、、ねぇ、、Zzz」

モモ「え?もしかして寝た?」

中央には樽が積まれ、その頂点でダイスが決めポーズをしている。
あの一帯は過激に盛り上がっている。

「くるかくるかくるか~ダイスの五杯一気飲み!」

「いや、今日は十杯いっちゃうんじゃないか?」

「一気、一気、一気!!!」

ダイス「いや、お前らなぁ、俺も人間だよ?
もうかなり飲んでるし流石にそれは~十杯いきまーー!!!!!」

「きたぁぁぁ!!!!!」

ダイスへの一気コールは酒場全体を盛り上げていた。

ツグル「あいつ酒弱いのに大丈夫か?」

モモ「また調子こいて、どーせ後で後悔するよ」




不意に肩を叩かれ、振り返るとそこにはシンカイがいた。


シンカイ「よっ、ツグル。飲んでるかい?」

ツグル「シンカイ」

シンカイ「いやぁ~今日の君はイケメン過ぎだよ~。思わず僕も叫んじゃったからね」

ツグル「あの時お前が勇気を出してくれなかったら、どーなっていたことか、、、」

シンカイ「そんなことないよ、僕が言わなかったら誰かが言ってたよ」

モモはニヤニヤしながらシンカイを見つめている。

シンカイ「あれ、何か僕の顔についてる?」

モモ「可愛すぎだろぉぉぉ!!」

モモはそう叫びながらカウンターにある大きな樽に入った酒を一気飲みして、その場に倒れた。

シンカイ「あれ、何か僕やらかしちゃったかなぁ」

ツグル「ほっとけ」

シンカイ「それにしても、この国は何か変だよね。僕もずっと思ってたよ」

ツグル「実は皆思ってるのかもな」

シンカイ「僕のお兄さんが去年騎士になったんだけどね、騎士になったら王から指輪を贈呈されるじゃん。指輪って!結婚じゃないんだからさぁ、何か忠誠心を強制されてるようで嫌になっちゃうって兄さんも言ってたんだ」

ツグル「指輪、、」

シンカイ「小手つけるときも邪魔だしねぇ、どーせもらうなら僕はネックレスが良いなぁ」

ツグル「トゥールの指輪と関係があるのか?」

シンカイ「ん?何の話?」

ツグル「いや、何でもない」

セリアを見ると、何かにうなされるように眠っていた。

ダイスは案の定酔いつぶれているようだった。



ガタッーーーーーン!!!



入り口から何かが爆発する音がして、酒場は一瞬で静まり返る。

黒煙がもくもくと宙に上がり、その中に人影が見える。



ガシャン、ガシャン、ガシャン



その人影は一歩一歩、酒場の中に侵入した。

姿を現した人影は、黒い鎧を纏っていた。



あれは、、、、王とは外見が違うが、あの感じ。
王と同じ禍々しさを感じる。



「あ、あの~すみません、騒ぎ過ぎましたよね。ごめんなさい!!」


候補生の一人が申し訳なさそうに黒い鎧に躙り寄る。

次の瞬間、候補生の背中から剣先が飛び出した。

血が吹き出し、酒場はパニックに陥る。



シンカイ「な、なんだよあいつ!!他の国の者か!?」

ツグル「おそらくはこの国の者だ、皆逃げろ!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

2回目チート人生、まじですか

ゆめ
ファンタジー
☆☆☆☆☆ ある普通の田舎に住んでいる一之瀬 蒼涼はある日異世界に勇者として召喚された!!!しかもクラスで! わっは!!!テンプレ!!!! じゃない!!!!なんで〝また!?〟 実は蒼涼は前世にも1回勇者として全く同じ世界へと召喚されていたのだ。 その時はしっかり魔王退治? しましたよ!! でもね 辛かった!!チートあったけどいろんな意味で辛かった!大変だったんだぞ!! ということで2回目のチート人生。 勇者じゃなく自由に生きます?

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第二章シャーカ王国編

クラス転移したからクラスの奴に復讐します

wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。 ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。 だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。 クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。 まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。 閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。 追伸、 雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。 気になった方は是非読んでみてください。

無能と追放されたおっさん、ハズレスキルゲームプレイヤーで世界最強になった上、王女様や聖女様にグイグイ迫られる。え?追放したの誰?知らんがな

島風
ファンタジー
万年Cランクのおっさんは機嫌が悪かったリーダーからついにパーティーを追放される。 金も食べ物も力もなく、またクビかと人生の落伍者であることを痛感したとき。 「ゲームが始まりました。先ずは初心者限定ガチャを引いてください」 おっさんは正体不明だったハズレ固有スキル【ゲームプレイヤー】に気づく。 それはこの世界の仕様を見ることができるチートスキルだった。 試しにウィキに従ってみると、伝説級の武器があっさりと手に入ってしまい――。 「今まで俺だけが知らなかったのか!」 装備やスキルの入手も、ガチャや課金で取り放題。 街の人や仲間たちは「おっさん、すげぇ!」と褒めるが、おっさんはみんなの『勘違い』に苦笑を隠せない。 何故かトラブルに巻き込まれて美少女の王女や聖女に好意を寄せられ、グイグイと迫られる。 一方おっさんを追放したパーティはおっさんの善行により勝手に落ちぶれていく。 おっさんの、ゆるーいほのぼのテンプレ成り上がりストーリー。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~

鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!  詳細は近況ボードに載せていきます! 「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」 特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。 しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。 バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて―― こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

処理中です...