30 / 229
ヘイスレイブ王国編
第30話 最後の試練
しおりを挟む
二週間後にヘイスレイブ玉座の間にてムーの指輪の破壊をお願いされたセリアは快く承諾した。
ヘイスレイブの総戦力で挑むことにおいて、誰も不満を持つ者はいなかった。
ツグルも当日同行することを約束するとより一層修行に励んだ。
そんなある日のこと。
ムーに呼び出され、四人はヘイスレイブ城を目指していた。
ムーの住処からは徒歩一時間くらいで到着する。歩いて来いと言い残し、自分は転送魔術で消えてしまった。
ジメジメした樹海を奇妙な植物達に見送られると、黄金のお城が見えてきた。
道中ヘイスレイブの魔導師達があちこちに見受けられるが、仕掛けてくる様子はなく、城門前の検問もなくそのまま場内へ入ることが出来た。
初めてここを訪れた時は光の檻の中だったため、自らの足でこの黄金の門をぐぐるのはなんだか心踊る体験である。
ヘイスレイブ城は不思議な造りをしていて、大扉を開けるとすぐに玉座の間に出る。
玉座の間から上階へも違う部屋へも行ける仕組みになっており、行き交う人々は皆ローブを纏いフードを目深に被っている。
手には皆同じ杖を持っていた。
玉座の間に出るとヘイスレイブ王マキニウム、四天王、ムーが待ち構えていた。
改めて見上げると、強者の風格が滲み出ていて、恐ろしい程に威圧感が感じられる。
二週間後にムー様の指輪を破壊する旨を畏まって伝えられ、ヘイスレイブ王直々に深々と頭を下げられる。それに合わせて四天王、そしてムーも会釈程度に頭を動かす。
それに伴い、ヘイスレイブでの修行の集大成として今日ここに四人を呼んだという。
ムーとの修行もここまでとのことで、四人は嬉しいような寂しいような複雑な気持ちを感じていた。
ムー「よくもまぁ三ヶ月弱、僕のスパルタ指導に耐えてきたもんだ。最後の仕上げとしてヘイスレイブの超エリート達に見極めてもらおうってわけだ」
三ヶ月間共に過ごし、分かったことは、この男はサラッととんでもないことを口にするということだ。
突然の発表に驚きはするものの、慣れたものだった。
ムー「ほう、特に異論はないらしいな。まぁてめぇら四人が勝つことはあり得ないとは思うが、修行の成果を存分に発揮して一矢報いてみてくれ。今から一人一人をこのヘイスレイブ城の各広間へ飛ばす。壁には王直々に魔術結界を張ってもらってるから存分に暴れてくれ。同じく同室に四天王の一人を飛ばす」
ツグルは分かっていた、おそらく自分の場所へ飛んでくるのはカナメルだろうと。
カナメルもそれを望んでいた。
二人はあれから一度も会ってはいないものの、お互いへの興味は尽きることがなかった。
ムー「目の前の超エリートに、殺るつもりで挑め。四天王の四人も殺さない程度に遊んでやってくれ」
ムーがそう言い終わるか終わらないかのタイミングで転送魔術を発動する。
八人を飛ばすにはかなりの時間を要するのか、それから数分間、誰も言葉を発さなかった。
ツグル、ダイス、モモ、セリア、四人は緊張とワクワクを目を閉じて味わっていたに違いない。
四天王の四人はどんな気持ちでツグル達の相手をしてくれるのだろうか?ムーの権力は底知れないなぁと考えるくらいの余裕はあった。
そのうち足元に浮き出る魔法陣がより一層色味を帯び、あたりは光に包まれる。。。。
~~~~~~~~~~~~~
目を開けるとそこには、待ち望んだ再戦、カナメルがいた。
赤いマントをヒラヒラさせながら、失った右腕を隠しているように見える。
ツグル「俺が右腕を掻っ攫っちまったみたいだな」
カナメル「みたいってことは、やっぱり記憶がないのか」
ツグル「ああ、あの時の俺はお前に完敗したらしい」
カナメル「完敗か。とは言うものの、今のお前は五体満足、俺は右腕を失った。結果論で言えば俺の負けみたいなものだ」
ツグル「謙遜はやめろよ。悪いけど、今日失うのは腕どころじゃ済まないかもしれないぞ」
カナメル「ふっ、それは楽しみだな。お前なんて片腕で十分だってことを証明してやるさ」
二人の男が片方の口角だけをあげて、生意気に笑った。
ヘイスレイブの総戦力で挑むことにおいて、誰も不満を持つ者はいなかった。
ツグルも当日同行することを約束するとより一層修行に励んだ。
そんなある日のこと。
ムーに呼び出され、四人はヘイスレイブ城を目指していた。
ムーの住処からは徒歩一時間くらいで到着する。歩いて来いと言い残し、自分は転送魔術で消えてしまった。
ジメジメした樹海を奇妙な植物達に見送られると、黄金のお城が見えてきた。
道中ヘイスレイブの魔導師達があちこちに見受けられるが、仕掛けてくる様子はなく、城門前の検問もなくそのまま場内へ入ることが出来た。
初めてここを訪れた時は光の檻の中だったため、自らの足でこの黄金の門をぐぐるのはなんだか心踊る体験である。
ヘイスレイブ城は不思議な造りをしていて、大扉を開けるとすぐに玉座の間に出る。
玉座の間から上階へも違う部屋へも行ける仕組みになっており、行き交う人々は皆ローブを纏いフードを目深に被っている。
手には皆同じ杖を持っていた。
玉座の間に出るとヘイスレイブ王マキニウム、四天王、ムーが待ち構えていた。
改めて見上げると、強者の風格が滲み出ていて、恐ろしい程に威圧感が感じられる。
二週間後にムー様の指輪を破壊する旨を畏まって伝えられ、ヘイスレイブ王直々に深々と頭を下げられる。それに合わせて四天王、そしてムーも会釈程度に頭を動かす。
それに伴い、ヘイスレイブでの修行の集大成として今日ここに四人を呼んだという。
ムーとの修行もここまでとのことで、四人は嬉しいような寂しいような複雑な気持ちを感じていた。
ムー「よくもまぁ三ヶ月弱、僕のスパルタ指導に耐えてきたもんだ。最後の仕上げとしてヘイスレイブの超エリート達に見極めてもらおうってわけだ」
三ヶ月間共に過ごし、分かったことは、この男はサラッととんでもないことを口にするということだ。
突然の発表に驚きはするものの、慣れたものだった。
ムー「ほう、特に異論はないらしいな。まぁてめぇら四人が勝つことはあり得ないとは思うが、修行の成果を存分に発揮して一矢報いてみてくれ。今から一人一人をこのヘイスレイブ城の各広間へ飛ばす。壁には王直々に魔術結界を張ってもらってるから存分に暴れてくれ。同じく同室に四天王の一人を飛ばす」
ツグルは分かっていた、おそらく自分の場所へ飛んでくるのはカナメルだろうと。
カナメルもそれを望んでいた。
二人はあれから一度も会ってはいないものの、お互いへの興味は尽きることがなかった。
ムー「目の前の超エリートに、殺るつもりで挑め。四天王の四人も殺さない程度に遊んでやってくれ」
ムーがそう言い終わるか終わらないかのタイミングで転送魔術を発動する。
八人を飛ばすにはかなりの時間を要するのか、それから数分間、誰も言葉を発さなかった。
ツグル、ダイス、モモ、セリア、四人は緊張とワクワクを目を閉じて味わっていたに違いない。
四天王の四人はどんな気持ちでツグル達の相手をしてくれるのだろうか?ムーの権力は底知れないなぁと考えるくらいの余裕はあった。
そのうち足元に浮き出る魔法陣がより一層色味を帯び、あたりは光に包まれる。。。。
~~~~~~~~~~~~~
目を開けるとそこには、待ち望んだ再戦、カナメルがいた。
赤いマントをヒラヒラさせながら、失った右腕を隠しているように見える。
ツグル「俺が右腕を掻っ攫っちまったみたいだな」
カナメル「みたいってことは、やっぱり記憶がないのか」
ツグル「ああ、あの時の俺はお前に完敗したらしい」
カナメル「完敗か。とは言うものの、今のお前は五体満足、俺は右腕を失った。結果論で言えば俺の負けみたいなものだ」
ツグル「謙遜はやめろよ。悪いけど、今日失うのは腕どころじゃ済まないかもしれないぞ」
カナメル「ふっ、それは楽しみだな。お前なんて片腕で十分だってことを証明してやるさ」
二人の男が片方の口角だけをあげて、生意気に笑った。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる