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第3章 夢よもういちど
3-7.計画の綻び 鈴成 凛悟
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岐阜でグッドマンと別れた凛悟と蜜子は伊吹山近くの県道を進んでいた。
「グッドマンさん、無事に着いたかしら」
「着いているさ。保証する」
「センパイったらスゴイ自信ですね。まるで何でも知っているみたい」
「そうでもないさ、ただこの”本”に載っているだけだ」
「あ、そっか! グッドマンさんも元祝福者だから”本”で位置がわかるんだ」
「その通り! 彼は今頃シンガポールでケビンを探しているはずさ」
「じゃあ、もうすぐあたしたちハッピーエンドかもしれないのね。イヤッフー!」
「イヤッフー!」
ふたりが上機嫌なのは遠くに見える伊吹山の雄大さと遠くに広がる琵琶湖の美しさだけが理由ではない。
もう少しでこの”祝福ゲーム”が勝利で終わろうとしているからだった。
「えっと、エゴルトさんが検討中で、実ちゃんは藤堂さんがお願いするんでしょ。そしてケビン君にはグッドマンさん。このどれかが当たればあたしたちの、ううん、みんなの勝ちなのよね」
「そう、しかも俺たちの提案は”祝福者”にとってはメリットしかない。なんせ”祝福者”全員が幸せになるんだからな。断る方がおかしい」
「ですよねー」
凛悟の案は”祝福”を3つ使って死んだ人間を生き返らせた上で全ての”祝福者”が幸せになるよう運命を固めること。
普通に考えれば、その申し出を断るはずがないと彼は考えていた。
「センパイ、エゴルトさんの所に集まろうとしている”祝福者”って何人でしたっけ?」
「全てがそうだとは言い切れないが、残った祝福者で日本に来ようとしているのが5人だ」
「残りの”祝福者”が10人。あたしと藤堂さんと実ちゃんが日本。日本へフライト中が5人。動いていないのが2人ですよね」
「ああ」
”本”をパラパラとめくりながら凛悟は残りの祝福者の位置を確認する。
祝福者の現在位置がわかる”本”は、移動速度で彼らが何に乗っているかまで示してくれる。
飛行機は特にわかりやすい。
「金と権力ってのはスゴイですね。エゴルトさんの話に5人もノッてくるんですもの」
「うらやましいか?」
「ぜーんぜん。あたしはお金よりセンパイの方が好きだもの」
「奇遇だな。俺もだ」
そう言いながらも凛悟の心にはわずかな不安があった。
殺してでも”祝福”を奪い取ろうとするエゴルト。
実に気を付けろというダイダロスのメール。
自分の案はメリットしかないといえども、それがふたりに受け入れられる確証はない。
だから、彼は予備の策としてグッドマンに頼んだのだ。
移動していない人物の片方、シンガポールの少年、ケビンを説得してくれと。
「あ、センパイ、電話ですよ。藤堂さんから」
「ちょっと待ってくれ、車を停める」
路肩にレンタカーを停め、凛悟はスマホを手にする。
「凛悟だ。どうだった?」
『とりあえず中間報告や。目論見通り実ちゃんとは話が出来た。せやけど話に乗るかは保留にさせといてっていうのが結論や』
「保留っていつまでだ?」
『明日のコンサートが終わるまで。せやからワイはこのままこっちにおることにするわ。リンゴはんたちもこっちに来るか?』
「いや、俺たちはここに留まろうと思う。離れても計画は実行できるしな」
『おーう、そいつはまあ、お楽しみってことやね。ええで、こっちはいつでもええよう備えとく』
お楽しみという藤堂の言葉を受けて蜜子が凛悟の背中をやだもーとばかりにバンバン叩いたが、当の凛悟は冷静に話を続ける。
「別の”祝福者”の賛同を得られたら合図を送る。それを受けたら願ってくれ」
『はいな、ワイか実ちゃんか新しい仲間で最初と次の願いを叶えて、最後はミッコはんってわけやね。夢の、いや最初に決めた通りってわけや』
「ああ、場合によっては藤堂が最後のケースもありえる。その場合は臨機応変に頼むぞ」
『りんき、おーへん、とー!! ってやつやな。わかったで』
会話を終え、凛悟はスマホを見ながら軽く溜息を吐く。
「センパイ、どうかしましたか? 何か心配でも? あ、ひょっとして今晩のホテルでも心配されていますか? あたしはそこのシンデレラ城みたいなところでもオールオッケーですよ」
蜜子の冗談に、いや冗談ではなく本気と思われる声を聞いても凛悟の顔は冴えない。
「本当にどうかしましたか? センパイの計画は完璧ですよ。だって誰も得しかしないんですから。絶対当たる宝くじがあったらみんな買いますって」
「俺もそう思う。だが、現実は違った。エゴルトも実ちゃんも結果は保留だ。となると何か足りないものが……」
凛悟は思考を巡らすが結論は出ない。
そんな時、再びスマホに着信があった。
発信者の名前は”エゴルト”。
『やあ、凛悟君。元気しているか』
「おかげさまで」
『わかっているじゃないか』
含みを持たせたエゴルトの口調に凛悟の悪い予感が増大する。
「電話をくださったということは、俺の案に賛同してくれるということでしょうか?」
『まあ、待ちたまえ。結論を急ぐ必要はない。時に聞くが蜜子君も一緒かな?』
「あたしはいつでもセンパイと一緒ですよー」
凛悟の顔に自分の顔をピタリと寄せ、蜜子も会話に入る。
『それはよかった。僕も考えてみたよ。凛悟君、結論として君の案は素晴らしい』
「ありがとうございます。それでは具体的な手順を……」
『急ぐ必要はないと言ったろ。君の案は素晴らしいが、決定的に欠けている所がある』
「それは……何でしょうか?」
「そんなものあるはずないでしょ。センパイの案は完璧なんですから」
その時、凛悟は電話口の先の相手が、エゴルトが鼻で笑ったような音を感じた。
『あるのさ、それはね……”信頼”だよ。ありていに言えば、君の言葉が信じられるかだ』
「センパイが嘘を言っているっていうの!? そんなことあるわけないわ」
『そうかね。君とは違い、僕は凛悟君のことを信頼する要素がこれっぽっちもないのだよ』
”信頼”、その単語に凛悟の頭のパズルがカチッと組み合う。
実が賛同しなかった理由。
それもそこにあると気付いたからだ。
「おっしゃる通りです。でしたら」
『でしたら?』
「こちらには”祝福”で手に入れた”本”を差し出す用意があります」
『センパイ!?』
”本”を持つこと、それはこの”祝福ゲーム”で大きなアドバンテージを持つ。
それを差し出すという凛悟の申し出に蜜子は驚きの声を上げる。
『少しは話がわかるじゃないか。だがそれでは足りないね。”本”と蜜子君を差し出したまえ、そうすれば君の案に乗ってあげよう』
「できるわけないだろ!!」
そう、できるわけなかった。
大切な存在を差し出す。
エゴルトの要求が意味するのは”僕に屈服しろ”ということに等しい。
そうなればもう利害の取引というビジネス的なものではない。
人として、男として出来るわけがなかった。
『なら、交渉は決裂だな』
電話口の先で指がパチンと鳴る音が響き、凛悟は”本”を慌てたようにめくり始めた。
「貴方、いや、テメエやりやがったな」
『ハハハ、もう気付いたのか! 素晴らしい! 信頼度が上がったぞ! 君の”本”の信頼度がね!』
今までの紳士的な口ぶりとは違い、愉悦の混じった声をスマホは奏でる。
「センパイ、どうしたんですか!? あの人、何をやったんですか!?」
蜜子からの問いに凛悟は無言で”本”のページを開く。
そこには、こう記されていた。
──”祝福者”ゴート・A・ワーレー、搭乗していた車の爆発により死亡──
さらに凛悟はページをめくりエゴルトのページを確認する。
彼のプロフィールの最後には、
──”祝福者”ゴートの死亡により”祝福”がひとつ移動──
と追記されていた。
「殺したんですか!? あの人が!?」
「そうだ。こうならないようにと思っていたんだがな」
『ハハハ、君が悪いんだよ。僕の要求を呑まないから!』
高笑いするエゴルトに凛悟は低い声で語りかける。
「どうしてここまでする。ここまでしなくても貴様の誘いに乗った”祝福者”がいるだろうに」
凛悟の台詞は宣告でもあった。
こっちは”本”でそこまでわかっているぞという宣戦布告にも似た。
『必要だからさ。君と敵対した時、こっちにもカードが必要だからね。金で買収した”祝福”ではない自分自身の”祝福”がね』
エゴルトの言葉を凛悟は頭では納得した。
戦略的には正しいと。
だが、心では許せなかった。
「グッドマンさん、無事に着いたかしら」
「着いているさ。保証する」
「センパイったらスゴイ自信ですね。まるで何でも知っているみたい」
「そうでもないさ、ただこの”本”に載っているだけだ」
「あ、そっか! グッドマンさんも元祝福者だから”本”で位置がわかるんだ」
「その通り! 彼は今頃シンガポールでケビンを探しているはずさ」
「じゃあ、もうすぐあたしたちハッピーエンドかもしれないのね。イヤッフー!」
「イヤッフー!」
ふたりが上機嫌なのは遠くに見える伊吹山の雄大さと遠くに広がる琵琶湖の美しさだけが理由ではない。
もう少しでこの”祝福ゲーム”が勝利で終わろうとしているからだった。
「えっと、エゴルトさんが検討中で、実ちゃんは藤堂さんがお願いするんでしょ。そしてケビン君にはグッドマンさん。このどれかが当たればあたしたちの、ううん、みんなの勝ちなのよね」
「そう、しかも俺たちの提案は”祝福者”にとってはメリットしかない。なんせ”祝福者”全員が幸せになるんだからな。断る方がおかしい」
「ですよねー」
凛悟の案は”祝福”を3つ使って死んだ人間を生き返らせた上で全ての”祝福者”が幸せになるよう運命を固めること。
普通に考えれば、その申し出を断るはずがないと彼は考えていた。
「センパイ、エゴルトさんの所に集まろうとしている”祝福者”って何人でしたっけ?」
「全てがそうだとは言い切れないが、残った祝福者で日本に来ようとしているのが5人だ」
「残りの”祝福者”が10人。あたしと藤堂さんと実ちゃんが日本。日本へフライト中が5人。動いていないのが2人ですよね」
「ああ」
”本”をパラパラとめくりながら凛悟は残りの祝福者の位置を確認する。
祝福者の現在位置がわかる”本”は、移動速度で彼らが何に乗っているかまで示してくれる。
飛行機は特にわかりやすい。
「金と権力ってのはスゴイですね。エゴルトさんの話に5人もノッてくるんですもの」
「うらやましいか?」
「ぜーんぜん。あたしはお金よりセンパイの方が好きだもの」
「奇遇だな。俺もだ」
そう言いながらも凛悟の心にはわずかな不安があった。
殺してでも”祝福”を奪い取ろうとするエゴルト。
実に気を付けろというダイダロスのメール。
自分の案はメリットしかないといえども、それがふたりに受け入れられる確証はない。
だから、彼は予備の策としてグッドマンに頼んだのだ。
移動していない人物の片方、シンガポールの少年、ケビンを説得してくれと。
「あ、センパイ、電話ですよ。藤堂さんから」
「ちょっと待ってくれ、車を停める」
路肩にレンタカーを停め、凛悟はスマホを手にする。
「凛悟だ。どうだった?」
『とりあえず中間報告や。目論見通り実ちゃんとは話が出来た。せやけど話に乗るかは保留にさせといてっていうのが結論や』
「保留っていつまでだ?」
『明日のコンサートが終わるまで。せやからワイはこのままこっちにおることにするわ。リンゴはんたちもこっちに来るか?』
「いや、俺たちはここに留まろうと思う。離れても計画は実行できるしな」
『おーう、そいつはまあ、お楽しみってことやね。ええで、こっちはいつでもええよう備えとく』
お楽しみという藤堂の言葉を受けて蜜子が凛悟の背中をやだもーとばかりにバンバン叩いたが、当の凛悟は冷静に話を続ける。
「別の”祝福者”の賛同を得られたら合図を送る。それを受けたら願ってくれ」
『はいな、ワイか実ちゃんか新しい仲間で最初と次の願いを叶えて、最後はミッコはんってわけやね。夢の、いや最初に決めた通りってわけや』
「ああ、場合によっては藤堂が最後のケースもありえる。その場合は臨機応変に頼むぞ」
『りんき、おーへん、とー!! ってやつやな。わかったで』
会話を終え、凛悟はスマホを見ながら軽く溜息を吐く。
「センパイ、どうかしましたか? 何か心配でも? あ、ひょっとして今晩のホテルでも心配されていますか? あたしはそこのシンデレラ城みたいなところでもオールオッケーですよ」
蜜子の冗談に、いや冗談ではなく本気と思われる声を聞いても凛悟の顔は冴えない。
「本当にどうかしましたか? センパイの計画は完璧ですよ。だって誰も得しかしないんですから。絶対当たる宝くじがあったらみんな買いますって」
「俺もそう思う。だが、現実は違った。エゴルトも実ちゃんも結果は保留だ。となると何か足りないものが……」
凛悟は思考を巡らすが結論は出ない。
そんな時、再びスマホに着信があった。
発信者の名前は”エゴルト”。
『やあ、凛悟君。元気しているか』
「おかげさまで」
『わかっているじゃないか』
含みを持たせたエゴルトの口調に凛悟の悪い予感が増大する。
「電話をくださったということは、俺の案に賛同してくれるということでしょうか?」
『まあ、待ちたまえ。結論を急ぐ必要はない。時に聞くが蜜子君も一緒かな?』
「あたしはいつでもセンパイと一緒ですよー」
凛悟の顔に自分の顔をピタリと寄せ、蜜子も会話に入る。
『それはよかった。僕も考えてみたよ。凛悟君、結論として君の案は素晴らしい』
「ありがとうございます。それでは具体的な手順を……」
『急ぐ必要はないと言ったろ。君の案は素晴らしいが、決定的に欠けている所がある』
「それは……何でしょうか?」
「そんなものあるはずないでしょ。センパイの案は完璧なんですから」
その時、凛悟は電話口の先の相手が、エゴルトが鼻で笑ったような音を感じた。
『あるのさ、それはね……”信頼”だよ。ありていに言えば、君の言葉が信じられるかだ』
「センパイが嘘を言っているっていうの!? そんなことあるわけないわ」
『そうかね。君とは違い、僕は凛悟君のことを信頼する要素がこれっぽっちもないのだよ』
”信頼”、その単語に凛悟の頭のパズルがカチッと組み合う。
実が賛同しなかった理由。
それもそこにあると気付いたからだ。
「おっしゃる通りです。でしたら」
『でしたら?』
「こちらには”祝福”で手に入れた”本”を差し出す用意があります」
『センパイ!?』
”本”を持つこと、それはこの”祝福ゲーム”で大きなアドバンテージを持つ。
それを差し出すという凛悟の申し出に蜜子は驚きの声を上げる。
『少しは話がわかるじゃないか。だがそれでは足りないね。”本”と蜜子君を差し出したまえ、そうすれば君の案に乗ってあげよう』
「できるわけないだろ!!」
そう、できるわけなかった。
大切な存在を差し出す。
エゴルトの要求が意味するのは”僕に屈服しろ”ということに等しい。
そうなればもう利害の取引というビジネス的なものではない。
人として、男として出来るわけがなかった。
『なら、交渉は決裂だな』
電話口の先で指がパチンと鳴る音が響き、凛悟は”本”を慌てたようにめくり始めた。
「貴方、いや、テメエやりやがったな」
『ハハハ、もう気付いたのか! 素晴らしい! 信頼度が上がったぞ! 君の”本”の信頼度がね!』
今までの紳士的な口ぶりとは違い、愉悦の混じった声をスマホは奏でる。
「センパイ、どうしたんですか!? あの人、何をやったんですか!?」
蜜子からの問いに凛悟は無言で”本”のページを開く。
そこには、こう記されていた。
──”祝福者”ゴート・A・ワーレー、搭乗していた車の爆発により死亡──
さらに凛悟はページをめくりエゴルトのページを確認する。
彼のプロフィールの最後には、
──”祝福者”ゴートの死亡により”祝福”がひとつ移動──
と追記されていた。
「殺したんですか!? あの人が!?」
「そうだ。こうならないようにと思っていたんだがな」
『ハハハ、君が悪いんだよ。僕の要求を呑まないから!』
高笑いするエゴルトに凛悟は低い声で語りかける。
「どうしてここまでする。ここまでしなくても貴様の誘いに乗った”祝福者”がいるだろうに」
凛悟の台詞は宣告でもあった。
こっちは”本”でそこまでわかっているぞという宣戦布告にも似た。
『必要だからさ。君と敵対した時、こっちにもカードが必要だからね。金で買収した”祝福”ではない自分自身の”祝福”がね』
エゴルトの言葉を凛悟は頭では納得した。
戦略的には正しいと。
だが、心では許せなかった。
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