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第1章 夢のおわり
1-5.出会いの朝 花畑 蜜子(はなばたけ みつこ)
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恋する少女のように花畑 蜜子は全方位学園の校門に立つ。
まだかなセンパイ。
左手に刻まれた”21”の文字を眺めながら蜜子は考える。
もう願っちゃった人がいるんだ、あたしは何にしよう。
素敵な服? 綺麗なアクセサリー? それとも憧れのラブロマンス?
どれにしようかな、迷うな―。
とりあえずおこずかいをパーっと使って、甘いものをセンパイと食べながら考えよーっと。
頭をスイートな香りで満たしながら蜜子は周囲を見る。
だが、神の座で見たはずの先輩、鈴成 凛悟の姿は見えない。
まだ約束の時間には少し早い。
高鳴る鼓動を抑えながら、もう一度蜜子は左手の聖痕を見る。
夢……じゃないよね、あの神様もこの聖痕も、どんな願いでも叶う権利も本当だよね。
少し不安を覚えた蜜子の目にひとりの男の姿が移る。
小太りでチェックのシャツを着てリュックに缶バッチをいくつも付けた男。
なにあれ? ひと昔前の典型的なオタクファッション!?
男と目が合った蜜子は無意識に左手の甲を隠すと、男がニヤリと笑った。
そして男はツカツカと近づくと蜜子の手を握り歓声を上げる。
「見つけたで! ワイの幸せの女神!」
蜜子は悲鳴を上げた。
まだかなセンパイ。
左手に刻まれた”21”の文字を眺めながら蜜子は考える。
もう願っちゃった人がいるんだ、あたしは何にしよう。
素敵な服? 綺麗なアクセサリー? それとも憧れのラブロマンス?
どれにしようかな、迷うな―。
とりあえずおこずかいをパーっと使って、甘いものをセンパイと食べながら考えよーっと。
頭をスイートな香りで満たしながら蜜子は周囲を見る。
だが、神の座で見たはずの先輩、鈴成 凛悟の姿は見えない。
まだ約束の時間には少し早い。
高鳴る鼓動を抑えながら、もう一度蜜子は左手の聖痕を見る。
夢……じゃないよね、あの神様もこの聖痕も、どんな願いでも叶う権利も本当だよね。
少し不安を覚えた蜜子の目にひとりの男の姿が移る。
小太りでチェックのシャツを着てリュックに缶バッチをいくつも付けた男。
なにあれ? ひと昔前の典型的なオタクファッション!?
男と目が合った蜜子は無意識に左手の甲を隠すと、男がニヤリと笑った。
そして男はツカツカと近づくと蜜子の手を握り歓声を上げる。
「見つけたで! ワイの幸せの女神!」
蜜子は悲鳴を上げた。
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