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第三章 ここは彼方の理想郷

その4 これは! 残念な!

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 町へ帰ると早速、負傷者の手当てが行われた。
 あれ、あの消毒に使われているものの匂いはアルコール!?
 そして、傷口には包帯が巻かれている。

 「神様、あれは超すごいお酒です。何度も何度もお酒を蒸留して作ります」

 おお! こいつら蒸留をちゃんと身につけていた。

 「うむ、その施設を後で見たい」
 「はい、神様! ご先祖のシリー様が晩年完成させたと言う、すごいお酒の家をご覧になって下さい」
 「あの包帯は木綿の布か?」
 「はいそうです、 私たちはすごい布の家で布を作ります」
 
 そうか、木綿の量産も無事に軌道に乗ったようだな。
 あとは、石集めだな。

 「モモ―、石集めはどうなった?」
 「はい、各地からさまざまな色、味の石を集めました。すごい石の家に置いてあります」
 「地図はどうなっている?」
 「それはお見せした方が早いでしょう。どうぞこちらに」

 モモ―は俺を神殿の奥へ案内する。

 「こちらが地図になります。ここがモモ―たちの町です」

 それは半島の地図だった。
 町から大河まで、徒歩で約3時間かかった。
 おそらく10km 程度になるだろう。
 縮尺が正しいとすれば、 縦300km,横100km程度の大きさだろうか。
 南のには山脈がある。
 この町の崖はその一部だ。

 「人の縄張りはここです。ちょろーたちは北です」

 半島の上半分がトカゲ人たちの縄張りということになる。

 「神様こちらはどういたしましょうか?」

 別の女官が俺の前に花束と鉢植えを持ってくる。
 あーそういえば、老婆にもらった花束と鉢植えも、この世界に来ていたのか。
 バラや白菊、ヒマワリで構成された美しい花束だ。

 「地面に植えて水をいっぱいやっといておくれ」

 運が良ければ、繁殖するだろう。
 それに、持って帰ると重い。
 そして、女官はモモ―に何やら耳打ちをする。

 「神様、おまつりの準備が整いました。中央の広間にどうぞ」

 やったー! おまつりーだ!
 今回の異世界転移は最初っから働きっぱなしだったから腹が減っていたのだ。

 「モモ―たちの、新しいおっぱいを神様に捧げます」

 やったー!
 俺はこの忙しい中でも、チェックを欠かしてはいなかった。
 モモ―は貧乳だが、他の女官や町の女性のおっぱいは俺の心を揺さぶるに十分な成長をしていた。
 しかも、前回と違い、柔らかい布で保護されている。
 これは期待が持てますぞ!

 ◇◇◇◇◇

 「さあ、みなのもの! 勝利のおまつりじゃ! 飲め! 食え! 歌え! 踊れ! そして、神様におっぱいを捧げるのだー!」

 宴が始まった。
 いくさに参加してくれた兵士、ガルガーと獣人たち、負傷者の手当てをしてくれた女性、戸板四角楯制作に協力してくれた住人たち、みんなでのおまつりだ!

 俺の尻の下は、今までの石畳に動物の皮を敷いた固い床ではなく、布袋に綿が詰め込まれた座布団のような物が敷かれている。
 うーん、座り心地がパワーアップ。
 料理も以前よりパワーアップしている。
 基本はナツメヤシとパンと肉と魚だが、魚は 植物の葉で包まれて蒸し焼きにされている。
 塩味が効いて美味しい、さらに 笹の香りが食欲を増進させる……
 ん? 笹! いや、このサイズは竹か!?

 「おい、モモ―、これは!?」

 俺は竹の葉を手に問いかける。

 「ちょろーの弁当包みですわ。中の生肉は捕まえたちょろーが食べましたが、良い香りのする葉っぱは神様にささげましたの」

 なんとちょろーの縄張りには竹が生えているのか!
 竹の有用性は絶大だ。
 食器からザルといった竹細工、弓、家の補強材、竹炭、紙、文明レベルが上がれば、電球のフィラメントにもなる。 
 
 「神様、それでは、モモ―たちの、超すごーい、おっぱいダンスをお楽しみ下さい」

 待ってました! 今日のメインイベント!

 「かみさまー、ありがとうー、おっぱい! おっぱい!」

 おお! 今までにない激しいダンス!

 「すごーいおさけと、おいしいたべもの、べんりなどうぐー! おっぱい! おっぱい!」

 軽業芸にも似た、バック転や側転、トンボ返り。

 「きれいなふくー、やわらかいふとんー、おっぱい! おっぱい! ささげよ! おっぱい!」

 そして、彼女たちは踊りの最後に胸の布を取る!
 伝統的なクライマックスだ! 
 ありがとう! 伝統!

 ……なあ……クーパー靭帯って知ってるか?

 女の子のおっぱいの土台は大胸筋だ。
 そこからおっぱいを吊り上げる役割を果たしているのが、クーパー靭帯だ。
 この靭帯はおっぱいの内側に張り巡らされていて、おっぱいの形や位置を保つのに重要な役割を果たしている。
 
 だが! 
 このクーパー靭帯はとてもデリケートで!
 激しい運動によるおっぱいの上下運動で伸びてしまったり、断裂してしまうと!
 元に戻らないのだ!

 激しい運動の結果! 
 傷ついたクーパー靭帯は元に戻らない!

 とても大切な事だから二度言いました!
 
 俺は絶望した……
 きっと、彼女たちは来るべきこの日に備えて激しい練習を重ねたのであろう。
 見事なダンスだった。
 その結果、クーパー靭帯は傷つき、そして!
 彼女たちのおっぱいは垂れてしまった!
 貧乳の約1名は除く。

 俺は誓う!
 彼女たちのために! おっぱいのために!
 ブラジャーを! スポーツブラをこの地にもたらさん事を! 



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