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第九章 夢想する物語とハッピーエンド
八百比丘尼とクワイ(その4) ※全4部
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それは枯れたクワイの葉が広がる、冬の沢。
そこにお八さんと緑乱お兄さんがふたりっきりで立っていた。
『……行ってしまうの? 緑乱』
『ああ、行基の弟子だんなんて嘘をついちまったし、それに……』
『それに?』
『お八が、いや八百比丘尼がやった救世の旅ってのを俺が代わりにやんなきゃならねぇって思ったからさ』
『何言ってるの? 私は緑乱みたいに学がないからわからないよ』
『いや、気にしないでくれ。こっちの話さ。それより良かったじゃねぇか、おとっつあんも次の郷長になれてさ』
『前の郷長は私たちの意見なんか聞かずに郡司の言いなりだったからね。郷の人望がなかったんだよ』
『おとっつあんは村の男が雑徭に行ってる間、田や畑を人の分まで手入れして、残された女子供にクワイを与えて飢えさせなかったもんな』
『そう。あと、あの”人魚の肉”が偽物だったって話を聞いたよ。食べても不老不死なんかにならなかったってさ』
『うえ~、国司様とやらどうやって確かめたのかは想像したくねぇな。ま、悪行を行えば仏罰が下るに違いないけどよ』
そう言って緑乱お兄さんはカカカッと笑う。
うん、不老不死になったかどうかを確かめる方法はあたしも想像したくないわ。
『有名なお坊さんの弟子だ、なーんて嘘を吐いた人が言ってもねぇ』
『それもそうか』
緑乱お兄さんは笑うのを止め、そして真面目な顔でお八さんに、八百比丘尼になるはずだった少女に向き合う。
『これでお別れだ。八百……、お八と過ごした時は楽しかったぜ。身体に気を付けてな。いい夫を見つけて幸せに暮らせよ』
『私も連れてって、貴方が好きなの。私の幸せは貴方の隣よ!』
お八さんの大胆な告白と当時に、彼女は緑乱お兄さんに抱き付く。
おおっ、おじさんの時を超えたロマンス!
『だめだ』
『どうして?』
『それはな……』
緑乱お兄さんの顔が何かを決意したかのように真剣になる。
『俺の正体は”あやかし”さ。かの八岐大蛇の息子、”不的の大蛇”とは俺のことよ』
そして大胆な告白と共に、その姿が変貌した。
山のような大蛇の姿に。
そして、大蛇と化した緑乱お兄さんは大地を揺らし山へと昇る。
お八さんは一瞬の硬直の後、我を取り戻して大蛇が消えていく山の向かって叫ぶ。
『私、忘れないから。ここに来るたびに思い出すから、郷を救ってくれた貴方のことをー! ずっと伝えるからー!』
お八さんは何度も叫び続けた。
大蛇の姿が見えなくなるまで、見えなくなっても、ずっと。
そして、風景は一変し、ふたたび峠の茶屋に戻る。
「あら? ここって最初のお店かしら」
「みたいですね。あの峠の茶屋です。でも、あのカッコイイお兄さんと違って、今ではすっかりおじさんですけど」
ボサボサの髪に無精ひげ、所々がダランと緩んだ着流し姿。
それが今の緑乱さん。
「そう言うなよ。千年以上も経てば誰だってこうなるさ。だけどそんなに悲しい結末じゃなかっただろ。俺は使命を抱いて旅立ち、お八はそれを見送ったってのは」
「そうね、緑乱さんはあの後、奈良時代からずっと今まで誰かを助ける旅に出ていたって事よね。それって素敵だわ。とっても立派よ」
「あんがとよ」
焼きクワイが網の上でジジジ、プシュと音を立て、緑乱おじさんは少し照れたようにそれを摘まむ。
「緑乱おじさんは、あれから八百比丘尼さんの代わりになったって事ですよね。やっぱ歴史を変えたくなかったから?」
SF小説や映画で何度か見たことがある。
タイムマシンや特殊能力で過去の出来事を変えると、そこから歴史が変わることを。
「違うね。歴史が変わるかもなんて俺っちは思わなかったさ。ただ……」
「ただ?」
「俺が八百の結末を、いいや八百比丘尼の始まりを変えちまったせいで、八百が救った者たちが不幸のままになっちまうのが嫌だったのさ。ひとりの女のハッピーエンドにために、他のやつらをバッドエンドにしちまいたくなかったのさ。ま、八百と同じように救えたかはわからねぇ。なんせ俺はちっとばかし名を変えて、八の尾、八尾比丘尼って名乗ってたし、あいつほど繊細じゃねぇからよ」
八百比丘尼の伝説は日本各地に残っている。
だけど、中には八尾比丘尼の名で残っている伝説もあることをあたしは思い出した。
「その八尾比丘尼の旅も明治までさ、明治の終わりごろに妖怪王代理として俺は喜界島で夷狄妖怪と戦った」
うーん、喜界島って九州の島よね。
あの時に見た”あやかし”大戦争とは場所が違う。
だとすると、歴史は大幅に変わっちゃったってことかしら。
「そこで、俺っちの旅は終わり。ま、大勝利ってやつかな。今は惰性で生きてる。これがまた楽しくってねぇ」
ハフハフと焼きクワイを口にして、緑乱おじさんがこっちを見る。
「はいはい、わかってますよ。お酒でしょ」
「さっすが嬢ちゃん。話が早いねぇ」
あたしは想像力を働かせて、あるお酒を創り出す。
「じゃーん! 人類の叡智! 『炭水化物なら酒に出来るはずだ』シリーズ! クワイだって例外じゃありません! クワイの名産地大阪吹田の、吹田くわいを使ったクワイ焼酎”芽吹き”!」
これは限定発売であたしも一度しか飲んだことはない。
だけど、芋焼酎よりスッキリしていて、ほんのりと甘く、日本酒のようなフルーティさを併せ持つこの味は忘れようがない。
「おっ、さすがだねぇ嬢ちゃん。俺っちもこいつはまだ飲んだことがねぇ。八尾比丘尼時代に各地の名物は食べ尽くしたって思ってたのにさ」
「このクワイ焼酎の誕生は2009年ですから、では緑乱さん約1300年間おつかれさまでした」
あたしはどこからともなく、ではなく、心の中から蕎麦猪口を取り出し、おじさんに渡す。
そしてトトトと酌をした。
「あんがとよ、んじゃクイッっと」
緑乱おじさんはキュッっとそれを一気に飲み干すと、フゥーと大きく息を吐いた。
「いいねぇ、こいつはクワイのアクの味なんてなくって、芋焼酎にも似た風味が活きているのに甘ったるくない。スッキリとした味の中に葡萄のような果実の香りがスゥーっと鼻に抜ける」
「吹田クワイはエグ味の少ない最上のクワイとして平安時代より有名なブランドでしたから。味はお墨付きです」
おじさんに続けて、あたしも手酌でクワイ焼酎を頂く。
うーん、米とも芋とも麦とも違う、どこか懐かしさを思い起こさせる風味。
これは、日本人がクワイの芽が出る姿を”才能が芽吹く”という縁起物としておせちで食べ続けきただけじゃない。
きっと不作の時の救荒作物、重要な栄養源として食べ続けてきたクワイだからこそ、身体になじむ味。
「うわぁー、とってもおいしそう。いいなぁ、あたしも大人だったらお酒飲めるのに」
「飲んでもいいと思いますよ。だって、ここは夢の世界ですから」
「え、そうなの、いいの?」
「いいですよ。夢の中くらい羽目を外しましょ。最初からストレートはキツイですから、水割りで……」
あたしは小さ目のグラスを創り出し、その中でクワイ焼酎の水割りを作ってアリスさんに渡す。
クンクン
「あっ、これってザ・お酒って匂い。でも、嫌な感じじゃないわ。お水で割ったからかしら」
アリスさんはひとしきり水割りの香りを堪能すると、それをひと口、コクっと飲む。
「あっ、これそんなに嫌じゃない。ううん、むしろ好きかも」
アリスさんはそう言って、さらにひと口、またひと口、続けてひと口、チビチビと焼酎を飲む。
「あ、慣れてくると美味しいわ。へー、お酒ってこういう味なんだ」
「塩を多めにかけた焼きクワイを間に挟むともっとうめぇぞ」
「そう? うわっ、しょっぱ」
おじさんが差し出した焼きクワイ(塩多め)を食べ、少し顔をしかめたアリスさんは、その塩っけを消そうと今度は一気に水割りを飲む。
「あっ!? これっておいしい! クワイの後味が綺麗に消えていって、お酒の風味が際立って! お酒ってこんなに美味しかったのね」
塩とアルコールはポテトフライのような塩と脂に匹敵するくらい禁断の組み合わせ。
それは大人だけに許された18禁、ではなく20禁の味。
この誘惑に慣れるとヤバいのよね、主にウエスト周りが。
初めての大人の誘惑に負け続け、アリスさんは焼きクワイと水割りを交互に食べ続ける。
「世界のお酒はこれだけじゃありません。この前のビールだけでもありません。まだまだアリスさんの知らないお酒がいっぱいあります。この旅の間、あたしが知る限り、美味しいお酒を教えてあげますね。それに、世界にはあたしが知らないお酒もまだまだいっぱいあるんですよ」
「うわぁ、楽しみ! 夢が広がっちゃう!」
そう言いながら、まずはこれを堪能しちゃお、とばかりにアリスさんは水割りをグイッと呑む。
「おっ、いい飲みっぷりだねぇ。しかしまあ、嬢ちゃんたちには恥ずかしいとこ見られちまったな。いや、夢って怖いねぇ。自分の思い通りに心が動かないなんてさ。途中から”これは夢だ”って気付いてるのによ。この事は兄弟たちには内緒で頼むぜ」
「この事って、おじさんの尼僧コスプレの趣味のことですか」
「ハハハッ、そうだな、それも内緒で頼むわ」
「でも、すごかったですね、あの大蛇の姿。あれがおじさんの真の姿なんですか?」
自分を撮ったホームビデオでも見たように懐かしくも複雑な表情を浮かべている緑乱おじさんに、あたしは尋ねる。
「そうさ、腹が減るからいつもはこの姿でいるけどよ」
「あら、いともあっさり言い切るんですね」
「隠すこっちゃねぇからよ。それに、あっちの俺もいい男だろ」
「ええ、立派です。図体だけは。あの姿で夷狄妖怪と戦えば良かったのに」
「こいつは手厳しいね。でも、その通りだったかもな」
どれが正解だったかは今となってはわからない。
それが俺の本質だとばかりに、緑乱おじさんは笑う。
立派ですよ、八百比丘尼さんのために、千年以上も彼女の代わりを、彼女が助けるはずの人や”あやかし”を救う旅を続けていただなんて。
あたしはそう思ったけど、なんだか恥ずかしいから、そう言うのを止めた。
「しかし何だな。こう思い出してみるとお八のやつも薄情だな」
「ん? どういうことですか?」
「俺っちが大蛇の姿になって去った時にお八は言ったろ『ずっと伝えるから』って」
「うん、そんな素敵なことを言ってたわ」
「言ってましたね」
「でもよ、あの若狭のあたりのどこにも俺っちの伝説って残ってないのさ。村を飢饉から救ってくれた大蛇とか沼地を開拓した大蛇の話とかがよ。感謝のひとつでも伝承にして残してくれても良かったのにさ」
まるで”英雄になり損ねちまったぜ”みたいに緑乱おじさんはクワイをじっと見つめる。
「うーん、それはちょっと素敵じゃないかも」
「いいえ、お八さんはちゃんと伝えましたよ。素敵でロマンチックなものを」
言い切るようにあたしはふたりに言い放つ。
「どういうことだ?」
「なになに? 珠子ちゃんってば、何か知ってるの?」
アリスさんの言う通り、あたしは知っている。
彼女がの残したかった、ううん伝えたかった本当の想いを。
その歌を。
「万葉集って知ってます?」
「名前くらいは」
「教科書で読んだわ」
「万葉集は飛鳥時代から奈良時代の和歌を集めた現存する最古の和歌集です。これの凄い所は、帝や貴族だけでなく、名も無き一般庶民の歌も入っている所なんです。なんと4500首以上の歌が! その中に”ゑぐ”を詠った歌がふたつあります」
「ゑぐ? それって、お八さんたちが呼んでたこのクワイのことじゃない?」
「そうです。この”ゑぐ”はクログワイの事を指すのが定説ですが、このクワイを指している可能性もあります。時代的に混同していたのかもしれません。そして、その歌がこれです。名も無き庶民が詠った歌です」
そしてあたしは想像力を働かせて、空中に歌を描く。
===========================================================
為君 山田之澤 恵具採跡
雪消之水尓 裳裾所沾
君がため 山田の沢に ゑぐ摘むと
雪消の水に 裳の裾濡れぬ
あなたのために、山の田の沢でゑぐを摘み取っていると
雪解け水に 裳の裾が濡れてしまった
===========================================================
「ひとつがこれです。万葉集、巻の10、1839番」
あたしは国語の教師のように空に文字と解説を描く。
「んー、なんか普通」
「だねぇ」
当時の庶民の暮らしを詠った歌に、ふたりりは『ふーん』な感じ。
「もうひとつがこれです。万葉集、巻の11、2760番」
そんなふたりを横目にあたしはもうひとつの歌を描く。
===========================================================
足檜之 山澤徊具乎 採将去
日谷毛相為 母者責十方
あしひきの 山沢ゑぐを 摘み行かむ
日だにも逢はせ 母は責むとも
山の沢のゑぐを摘みに行く
その日だけでもどうか逢って下さい
たとえ母に責められようとも
===========================================================
「あっ、これ素敵な歌ね。恋の歌だわ」
そう、この歌は恋の歌。
これはきっと、山の沢に行けば、あのクワイの生えている沢に行けば、再び緑乱さんに逢えるのではと思って、沢へ通い続けたお八さんの歌。
もう諦めなさいと母に言われようとも、その気持ちをどうにかして遺したくて、伝えたくて、歌に残した恋の歌。
それが郷長となった父を通じて、都に伝わり、万葉集に収められたとあたしは思うのだ。
「この歌のポイントは”恵具”と”徊具”で字が違う所です。同じ”ゑぐ”という読みで、このふたつは同じクログワイを指すのが定説ですが、似て異なる物を指している説もあります。ひとつ目はクログワイで、ふたつ目はこのクワイとかを」
「……」
あたしは想像力で創り出した、クログワイとクワイを両手に持ち、歌の解説をする。
「……嬢ちゃんも人が悪いな。焦点はそこじゃねぇだろ”ゑぐ”が何を指してるだなんて。いや、俺の口から言わせたかったのかい? この2番目の歌がお八が残した”伝えたかった”ことじゃないかって」
「おや、おわかりいただけましたか」
「わかるさ、それくわいは」
少し冗談っぽくおじさんは言う。
「だが、ありがとよ」
そして、緑乱おじさんは、ちょいと照れくさそうな笑顔をあたしに向けた。
□□□□
「おいしかったー! 焼きクワイもクワイ焼酎も! 気分はもう最高ー!」
「ふいーくったくった。んじゃま、当初の目的を果たすとするか。助けにきたぜ嬢ちゃん」
料理をひとしきり堪能した後、緑乱おじさんがあたしに向かってサムズアップを決める。
「それじゃぁ!」
「ああ、現実世界での嬢ちゃんの最後の記憶を教えてくれ。その情報から寝ている嬢ちゃんの場所を割り出して保護する」
やったー! これで一安心!
あたしも現実世界のあたしがどうなっているか心配だったのよね。
えっと、あたしの最後の記憶は……
「あたしは岡山から高知を目指して特急南風に乗って、ビール買って瀬戸大橋と瀬戸内海を眺めながら、むにゃむにゃ」
「おいおい、緩みきってるなぁ。西日本には大悪龍王ってヤツがいて危ねぇって聞いてなかったのかよ」
「聞いてましたよ。でも、ご安心下さい。この前、大悪龍王さんとはお友達になりましたから」
「へ? あー、うん、そうか、まあ、嬢ちゃんだからな」
半ばあきれたかのように緑乱おじさんはそう言う。
「でもま、どの電車に乗ったかわかりゃ大丈夫さ。これを慈道か築善のやつに伝えりゃ、駅のカメラと街の防犯カメラから行方を割り出してくれるだろ。んじゃ待ってな。俺っちはこの情報を伝えに戻るからよ」
「助かりますっ、あたしの身体を見つけたら優しく起こして下さいね」
「おう、王子様のキスでも期待しておくんだな」
「やだもー、緑乱さんったら」
いつものセクハラ発言だけど、今日はそれが頼もしく思える。
うんうん、これであたしは目が覚めてハッピーエンドね。
「さて……と?」
…
……
「どうしました?」
片手を上げて別れのポーズを取った緑乱さんの動きが”何か変だぞ”というように止まる。
「なあ、嬢ちゃん」
「はい」
「この夢の世界からどうやったら出れるか知らないかい?」
「現実世界で目を覚ませばいいって大悪龍王さんは言ってました」
「そっか……」
そう言って、またおじさんは動きを止める。
「なあ、嬢ちゃん」
「なんですか?」
「どうやったら目が覚めるのかな?」
……やっぱり頼りにならない。
ふりだしに戻る。
□□□□
◇◇◇◇
「なあ、聞いたか」
「うん、緑乱兄さんの心を読んだ。南風だって」
僕は隣に座る覚の佐藤に向かって発言。
珠子姉さんが失踪して、僕たちは緑乱兄さんとその行方を探す旅に出発。
ホテルの一室で赤好兄さんから珠子姉さんが夢の世界に居るって聞いて、緑乱兄さんは『んじゃ、俺っちが寝て探してみるわ』と言って寝たのが12時間前。
その心を読み続けて、色々衝撃的な事実はあったけど、やっと手がかりを掌握。
列車は南風、目的地は高知。
一応、慈道にも連絡するけど、彼らの助けを待つ気はない。
僕の名は橙依。
これから、大切な人を救いに行く。
待ってて、珠子姉さん。
僕が今、助けに行くから。
そこにお八さんと緑乱お兄さんがふたりっきりで立っていた。
『……行ってしまうの? 緑乱』
『ああ、行基の弟子だんなんて嘘をついちまったし、それに……』
『それに?』
『お八が、いや八百比丘尼がやった救世の旅ってのを俺が代わりにやんなきゃならねぇって思ったからさ』
『何言ってるの? 私は緑乱みたいに学がないからわからないよ』
『いや、気にしないでくれ。こっちの話さ。それより良かったじゃねぇか、おとっつあんも次の郷長になれてさ』
『前の郷長は私たちの意見なんか聞かずに郡司の言いなりだったからね。郷の人望がなかったんだよ』
『おとっつあんは村の男が雑徭に行ってる間、田や畑を人の分まで手入れして、残された女子供にクワイを与えて飢えさせなかったもんな』
『そう。あと、あの”人魚の肉”が偽物だったって話を聞いたよ。食べても不老不死なんかにならなかったってさ』
『うえ~、国司様とやらどうやって確かめたのかは想像したくねぇな。ま、悪行を行えば仏罰が下るに違いないけどよ』
そう言って緑乱お兄さんはカカカッと笑う。
うん、不老不死になったかどうかを確かめる方法はあたしも想像したくないわ。
『有名なお坊さんの弟子だ、なーんて嘘を吐いた人が言ってもねぇ』
『それもそうか』
緑乱お兄さんは笑うのを止め、そして真面目な顔でお八さんに、八百比丘尼になるはずだった少女に向き合う。
『これでお別れだ。八百……、お八と過ごした時は楽しかったぜ。身体に気を付けてな。いい夫を見つけて幸せに暮らせよ』
『私も連れてって、貴方が好きなの。私の幸せは貴方の隣よ!』
お八さんの大胆な告白と当時に、彼女は緑乱お兄さんに抱き付く。
おおっ、おじさんの時を超えたロマンス!
『だめだ』
『どうして?』
『それはな……』
緑乱お兄さんの顔が何かを決意したかのように真剣になる。
『俺の正体は”あやかし”さ。かの八岐大蛇の息子、”不的の大蛇”とは俺のことよ』
そして大胆な告白と共に、その姿が変貌した。
山のような大蛇の姿に。
そして、大蛇と化した緑乱お兄さんは大地を揺らし山へと昇る。
お八さんは一瞬の硬直の後、我を取り戻して大蛇が消えていく山の向かって叫ぶ。
『私、忘れないから。ここに来るたびに思い出すから、郷を救ってくれた貴方のことをー! ずっと伝えるからー!』
お八さんは何度も叫び続けた。
大蛇の姿が見えなくなるまで、見えなくなっても、ずっと。
そして、風景は一変し、ふたたび峠の茶屋に戻る。
「あら? ここって最初のお店かしら」
「みたいですね。あの峠の茶屋です。でも、あのカッコイイお兄さんと違って、今ではすっかりおじさんですけど」
ボサボサの髪に無精ひげ、所々がダランと緩んだ着流し姿。
それが今の緑乱さん。
「そう言うなよ。千年以上も経てば誰だってこうなるさ。だけどそんなに悲しい結末じゃなかっただろ。俺は使命を抱いて旅立ち、お八はそれを見送ったってのは」
「そうね、緑乱さんはあの後、奈良時代からずっと今まで誰かを助ける旅に出ていたって事よね。それって素敵だわ。とっても立派よ」
「あんがとよ」
焼きクワイが網の上でジジジ、プシュと音を立て、緑乱おじさんは少し照れたようにそれを摘まむ。
「緑乱おじさんは、あれから八百比丘尼さんの代わりになったって事ですよね。やっぱ歴史を変えたくなかったから?」
SF小説や映画で何度か見たことがある。
タイムマシンや特殊能力で過去の出来事を変えると、そこから歴史が変わることを。
「違うね。歴史が変わるかもなんて俺っちは思わなかったさ。ただ……」
「ただ?」
「俺が八百の結末を、いいや八百比丘尼の始まりを変えちまったせいで、八百が救った者たちが不幸のままになっちまうのが嫌だったのさ。ひとりの女のハッピーエンドにために、他のやつらをバッドエンドにしちまいたくなかったのさ。ま、八百と同じように救えたかはわからねぇ。なんせ俺はちっとばかし名を変えて、八の尾、八尾比丘尼って名乗ってたし、あいつほど繊細じゃねぇからよ」
八百比丘尼の伝説は日本各地に残っている。
だけど、中には八尾比丘尼の名で残っている伝説もあることをあたしは思い出した。
「その八尾比丘尼の旅も明治までさ、明治の終わりごろに妖怪王代理として俺は喜界島で夷狄妖怪と戦った」
うーん、喜界島って九州の島よね。
あの時に見た”あやかし”大戦争とは場所が違う。
だとすると、歴史は大幅に変わっちゃったってことかしら。
「そこで、俺っちの旅は終わり。ま、大勝利ってやつかな。今は惰性で生きてる。これがまた楽しくってねぇ」
ハフハフと焼きクワイを口にして、緑乱おじさんがこっちを見る。
「はいはい、わかってますよ。お酒でしょ」
「さっすが嬢ちゃん。話が早いねぇ」
あたしは想像力を働かせて、あるお酒を創り出す。
「じゃーん! 人類の叡智! 『炭水化物なら酒に出来るはずだ』シリーズ! クワイだって例外じゃありません! クワイの名産地大阪吹田の、吹田くわいを使ったクワイ焼酎”芽吹き”!」
これは限定発売であたしも一度しか飲んだことはない。
だけど、芋焼酎よりスッキリしていて、ほんのりと甘く、日本酒のようなフルーティさを併せ持つこの味は忘れようがない。
「おっ、さすがだねぇ嬢ちゃん。俺っちもこいつはまだ飲んだことがねぇ。八尾比丘尼時代に各地の名物は食べ尽くしたって思ってたのにさ」
「このクワイ焼酎の誕生は2009年ですから、では緑乱さん約1300年間おつかれさまでした」
あたしはどこからともなく、ではなく、心の中から蕎麦猪口を取り出し、おじさんに渡す。
そしてトトトと酌をした。
「あんがとよ、んじゃクイッっと」
緑乱おじさんはキュッっとそれを一気に飲み干すと、フゥーと大きく息を吐いた。
「いいねぇ、こいつはクワイのアクの味なんてなくって、芋焼酎にも似た風味が活きているのに甘ったるくない。スッキリとした味の中に葡萄のような果実の香りがスゥーっと鼻に抜ける」
「吹田クワイはエグ味の少ない最上のクワイとして平安時代より有名なブランドでしたから。味はお墨付きです」
おじさんに続けて、あたしも手酌でクワイ焼酎を頂く。
うーん、米とも芋とも麦とも違う、どこか懐かしさを思い起こさせる風味。
これは、日本人がクワイの芽が出る姿を”才能が芽吹く”という縁起物としておせちで食べ続けきただけじゃない。
きっと不作の時の救荒作物、重要な栄養源として食べ続けてきたクワイだからこそ、身体になじむ味。
「うわぁー、とってもおいしそう。いいなぁ、あたしも大人だったらお酒飲めるのに」
「飲んでもいいと思いますよ。だって、ここは夢の世界ですから」
「え、そうなの、いいの?」
「いいですよ。夢の中くらい羽目を外しましょ。最初からストレートはキツイですから、水割りで……」
あたしは小さ目のグラスを創り出し、その中でクワイ焼酎の水割りを作ってアリスさんに渡す。
クンクン
「あっ、これってザ・お酒って匂い。でも、嫌な感じじゃないわ。お水で割ったからかしら」
アリスさんはひとしきり水割りの香りを堪能すると、それをひと口、コクっと飲む。
「あっ、これそんなに嫌じゃない。ううん、むしろ好きかも」
アリスさんはそう言って、さらにひと口、またひと口、続けてひと口、チビチビと焼酎を飲む。
「あ、慣れてくると美味しいわ。へー、お酒ってこういう味なんだ」
「塩を多めにかけた焼きクワイを間に挟むともっとうめぇぞ」
「そう? うわっ、しょっぱ」
おじさんが差し出した焼きクワイ(塩多め)を食べ、少し顔をしかめたアリスさんは、その塩っけを消そうと今度は一気に水割りを飲む。
「あっ!? これっておいしい! クワイの後味が綺麗に消えていって、お酒の風味が際立って! お酒ってこんなに美味しかったのね」
塩とアルコールはポテトフライのような塩と脂に匹敵するくらい禁断の組み合わせ。
それは大人だけに許された18禁、ではなく20禁の味。
この誘惑に慣れるとヤバいのよね、主にウエスト周りが。
初めての大人の誘惑に負け続け、アリスさんは焼きクワイと水割りを交互に食べ続ける。
「世界のお酒はこれだけじゃありません。この前のビールだけでもありません。まだまだアリスさんの知らないお酒がいっぱいあります。この旅の間、あたしが知る限り、美味しいお酒を教えてあげますね。それに、世界にはあたしが知らないお酒もまだまだいっぱいあるんですよ」
「うわぁ、楽しみ! 夢が広がっちゃう!」
そう言いながら、まずはこれを堪能しちゃお、とばかりにアリスさんは水割りをグイッと呑む。
「おっ、いい飲みっぷりだねぇ。しかしまあ、嬢ちゃんたちには恥ずかしいとこ見られちまったな。いや、夢って怖いねぇ。自分の思い通りに心が動かないなんてさ。途中から”これは夢だ”って気付いてるのによ。この事は兄弟たちには内緒で頼むぜ」
「この事って、おじさんの尼僧コスプレの趣味のことですか」
「ハハハッ、そうだな、それも内緒で頼むわ」
「でも、すごかったですね、あの大蛇の姿。あれがおじさんの真の姿なんですか?」
自分を撮ったホームビデオでも見たように懐かしくも複雑な表情を浮かべている緑乱おじさんに、あたしは尋ねる。
「そうさ、腹が減るからいつもはこの姿でいるけどよ」
「あら、いともあっさり言い切るんですね」
「隠すこっちゃねぇからよ。それに、あっちの俺もいい男だろ」
「ええ、立派です。図体だけは。あの姿で夷狄妖怪と戦えば良かったのに」
「こいつは手厳しいね。でも、その通りだったかもな」
どれが正解だったかは今となってはわからない。
それが俺の本質だとばかりに、緑乱おじさんは笑う。
立派ですよ、八百比丘尼さんのために、千年以上も彼女の代わりを、彼女が助けるはずの人や”あやかし”を救う旅を続けていただなんて。
あたしはそう思ったけど、なんだか恥ずかしいから、そう言うのを止めた。
「しかし何だな。こう思い出してみるとお八のやつも薄情だな」
「ん? どういうことですか?」
「俺っちが大蛇の姿になって去った時にお八は言ったろ『ずっと伝えるから』って」
「うん、そんな素敵なことを言ってたわ」
「言ってましたね」
「でもよ、あの若狭のあたりのどこにも俺っちの伝説って残ってないのさ。村を飢饉から救ってくれた大蛇とか沼地を開拓した大蛇の話とかがよ。感謝のひとつでも伝承にして残してくれても良かったのにさ」
まるで”英雄になり損ねちまったぜ”みたいに緑乱おじさんはクワイをじっと見つめる。
「うーん、それはちょっと素敵じゃないかも」
「いいえ、お八さんはちゃんと伝えましたよ。素敵でロマンチックなものを」
言い切るようにあたしはふたりに言い放つ。
「どういうことだ?」
「なになに? 珠子ちゃんってば、何か知ってるの?」
アリスさんの言う通り、あたしは知っている。
彼女がの残したかった、ううん伝えたかった本当の想いを。
その歌を。
「万葉集って知ってます?」
「名前くらいは」
「教科書で読んだわ」
「万葉集は飛鳥時代から奈良時代の和歌を集めた現存する最古の和歌集です。これの凄い所は、帝や貴族だけでなく、名も無き一般庶民の歌も入っている所なんです。なんと4500首以上の歌が! その中に”ゑぐ”を詠った歌がふたつあります」
「ゑぐ? それって、お八さんたちが呼んでたこのクワイのことじゃない?」
「そうです。この”ゑぐ”はクログワイの事を指すのが定説ですが、このクワイを指している可能性もあります。時代的に混同していたのかもしれません。そして、その歌がこれです。名も無き庶民が詠った歌です」
そしてあたしは想像力を働かせて、空中に歌を描く。
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為君 山田之澤 恵具採跡
雪消之水尓 裳裾所沾
君がため 山田の沢に ゑぐ摘むと
雪消の水に 裳の裾濡れぬ
あなたのために、山の田の沢でゑぐを摘み取っていると
雪解け水に 裳の裾が濡れてしまった
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「ひとつがこれです。万葉集、巻の10、1839番」
あたしは国語の教師のように空に文字と解説を描く。
「んー、なんか普通」
「だねぇ」
当時の庶民の暮らしを詠った歌に、ふたりりは『ふーん』な感じ。
「もうひとつがこれです。万葉集、巻の11、2760番」
そんなふたりを横目にあたしはもうひとつの歌を描く。
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足檜之 山澤徊具乎 採将去
日谷毛相為 母者責十方
あしひきの 山沢ゑぐを 摘み行かむ
日だにも逢はせ 母は責むとも
山の沢のゑぐを摘みに行く
その日だけでもどうか逢って下さい
たとえ母に責められようとも
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「あっ、これ素敵な歌ね。恋の歌だわ」
そう、この歌は恋の歌。
これはきっと、山の沢に行けば、あのクワイの生えている沢に行けば、再び緑乱さんに逢えるのではと思って、沢へ通い続けたお八さんの歌。
もう諦めなさいと母に言われようとも、その気持ちをどうにかして遺したくて、伝えたくて、歌に残した恋の歌。
それが郷長となった父を通じて、都に伝わり、万葉集に収められたとあたしは思うのだ。
「この歌のポイントは”恵具”と”徊具”で字が違う所です。同じ”ゑぐ”という読みで、このふたつは同じクログワイを指すのが定説ですが、似て異なる物を指している説もあります。ひとつ目はクログワイで、ふたつ目はこのクワイとかを」
「……」
あたしは想像力で創り出した、クログワイとクワイを両手に持ち、歌の解説をする。
「……嬢ちゃんも人が悪いな。焦点はそこじゃねぇだろ”ゑぐ”が何を指してるだなんて。いや、俺の口から言わせたかったのかい? この2番目の歌がお八が残した”伝えたかった”ことじゃないかって」
「おや、おわかりいただけましたか」
「わかるさ、それくわいは」
少し冗談っぽくおじさんは言う。
「だが、ありがとよ」
そして、緑乱おじさんは、ちょいと照れくさそうな笑顔をあたしに向けた。
□□□□
「おいしかったー! 焼きクワイもクワイ焼酎も! 気分はもう最高ー!」
「ふいーくったくった。んじゃま、当初の目的を果たすとするか。助けにきたぜ嬢ちゃん」
料理をひとしきり堪能した後、緑乱おじさんがあたしに向かってサムズアップを決める。
「それじゃぁ!」
「ああ、現実世界での嬢ちゃんの最後の記憶を教えてくれ。その情報から寝ている嬢ちゃんの場所を割り出して保護する」
やったー! これで一安心!
あたしも現実世界のあたしがどうなっているか心配だったのよね。
えっと、あたしの最後の記憶は……
「あたしは岡山から高知を目指して特急南風に乗って、ビール買って瀬戸大橋と瀬戸内海を眺めながら、むにゃむにゃ」
「おいおい、緩みきってるなぁ。西日本には大悪龍王ってヤツがいて危ねぇって聞いてなかったのかよ」
「聞いてましたよ。でも、ご安心下さい。この前、大悪龍王さんとはお友達になりましたから」
「へ? あー、うん、そうか、まあ、嬢ちゃんだからな」
半ばあきれたかのように緑乱おじさんはそう言う。
「でもま、どの電車に乗ったかわかりゃ大丈夫さ。これを慈道か築善のやつに伝えりゃ、駅のカメラと街の防犯カメラから行方を割り出してくれるだろ。んじゃ待ってな。俺っちはこの情報を伝えに戻るからよ」
「助かりますっ、あたしの身体を見つけたら優しく起こして下さいね」
「おう、王子様のキスでも期待しておくんだな」
「やだもー、緑乱さんったら」
いつものセクハラ発言だけど、今日はそれが頼もしく思える。
うんうん、これであたしは目が覚めてハッピーエンドね。
「さて……と?」
…
……
「どうしました?」
片手を上げて別れのポーズを取った緑乱さんの動きが”何か変だぞ”というように止まる。
「なあ、嬢ちゃん」
「はい」
「この夢の世界からどうやったら出れるか知らないかい?」
「現実世界で目を覚ませばいいって大悪龍王さんは言ってました」
「そっか……」
そう言って、またおじさんは動きを止める。
「なあ、嬢ちゃん」
「なんですか?」
「どうやったら目が覚めるのかな?」
……やっぱり頼りにならない。
ふりだしに戻る。
□□□□
◇◇◇◇
「なあ、聞いたか」
「うん、緑乱兄さんの心を読んだ。南風だって」
僕は隣に座る覚の佐藤に向かって発言。
珠子姉さんが失踪して、僕たちは緑乱兄さんとその行方を探す旅に出発。
ホテルの一室で赤好兄さんから珠子姉さんが夢の世界に居るって聞いて、緑乱兄さんは『んじゃ、俺っちが寝て探してみるわ』と言って寝たのが12時間前。
その心を読み続けて、色々衝撃的な事実はあったけど、やっと手がかりを掌握。
列車は南風、目的地は高知。
一応、慈道にも連絡するけど、彼らの助けを待つ気はない。
僕の名は橙依。
これから、大切な人を救いに行く。
待ってて、珠子姉さん。
僕が今、助けに行くから。
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