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ダブルデートの感想は

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 オズワルドが薔薇のコサージュを買って、アナベルの所に戻ってから一時間後。
 ようやくロザリアのドレスデザインが決まったようで、リュドウィックがアクセサリーコーナーへ顔を出した。

「おーい、オズ!アナベル嬢!やっとロザリア嬢のドレスデザインが決まったよ。いやぁ、デザイン沢山あって困ったよ。なはは~」
「おっ、そうか。ここで待った甲斐あったな」

 リュドウィックからの朗報に少し嬉しそうな声を出したオズワルドを見て、アナベルはまた胸がツキンと痛み、首を傾げた。

 それから、アナベルは楽しそうに笑うロザリアと一緒に、くっつきながら馬車へと向かい、オズワルドのエスコートを受けて馬車に乗った。
 やはり、オズワルドの手に軽く触れると、心臓の鼓動が速くなって煩くなる。
 けれど、女嫌いなオズワルドのこの行動自体が演技だと思っているため、アナベルは『期待するな』と自分自身にそう念じたのだった。

「…ふぅ。これで『銀の繭』に関する事は全て終わりだな。あとは俺とリオく…ではなくメリオダス宰相補佐が御用達しているパティスリーで軽いランチとケーキを食べて解散って所か」
「そうだね、オズ。あのパティスリーが、まさかランチも出す所だとは思ってなかったよ」
「正確には、カフェと繋がってるってだけなんだけどな。あそこのシーザーサラダは結構美味くてな。熟成された生ハムとベーコンがふんだんに使われているから、肉好きな俺もペロリといくんだ。まぁ他にもハンバーグやビーフシチューも置いてあるけどな。味については…平民のシェフが作る家庭的な味と言うべきか…。とにかく食べてみてくれ」

 そう言いながら、オズワルドはリュドウィックが座った長椅子の隣に腰掛ける。
 そして、アナベルが座っている長椅子の隣にいたロザリアは、ニヤニヤしながら彼女の耳元でこう囁いた。

「ねぇ、アナベル。ウェリントン騎士団長とは仲良くなったかしら?」
「ひぃえ!?な、仲良く!?えっえっ!?」

 唐突にオズワルドの事を訊かれて、アナベルは耳まで茹でダコのように赤くして動揺する。
 すると、ロザリアはまるでイタズラが成功した子供のように、声を出して笑った。

「あはははは!そんなに驚く必要ないじゃない!ただ私は、今日のダブルデートの感想を聞きたかっただけよ」
「だ、ダブルデートの感想…」
「そうよ。途中でマリィ様や浮気二股…ではなく副騎士団長も乱入してきたけど、いい思い出にはなったんじゃないかって思ったの。…まだ、最後にランチが残っているけれど、私的には、それを抜きにしても結構刺激的だったわ。アナベルとデート出来るってだけでも嬉しかったけれどね」
「ロザリア…。うん。私も色々あったけど、楽しかったよ。マリィ様にも出会えたし、オズワルド様とも一緒に居れて、騎士団の話も聞けたしね」
「ええ!デートというものは楽しんだもの勝ちよね!ふふっ。これからもアナベルとデート出来たらいいのにね…」
「……」

 段々とロザリアの声が震え始めているのに気付き、アナベルは眉根を下げて困った顔をした。

 アナベルが女性としていられるのは、きっと今日が最後。
 明日になればアナベルは執事のアンディへと変わってしまう。
 それが悲しいロザリアは、涙を堪えようと下唇を噛む。
 しかし、アナベルはそんなロザリアの肩を優しく抱き、彼女にこう囁いた。

「ロザリア様。きっとまた、いつか会えますよ。これが永遠の別れではありませんので。また一緒にデートしましょうね」
「…ええ…ええ。そうね、また今度デートしましょうね!」

 こうして、しばらくして目的地に着いて食事を楽しんだアナベルたちは、ゆっくりとした馬車に揺られながら帰路に着いたのだった。
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