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「お前は俺の最高の番(つがい)だ」「番(つがい)?私の番は別にいる」

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「ハッ、ハッ、ハッ、、クソッ出すぞっ」

耳の先から尻尾の先まで痺れるような快感。ひと月ぶりに会う女の、無駄を削ぎ落としたしなやかな背中に覆いかぶさり欲求を解放した余韻に浸る。

汗ばんだ女の背中をひと舐めすると女はピクリと反応し俺の下から抜け出した。

「アリエル、もう一戦いくか?」

「忙しいから湯を浴びて帰る」

「チッ、お前相変わらず……いや、いい」

アリエルはベッドから降りるとそのまま浴室へ向かう。
俺がアリエルと知り合ったのはもう五年も前だ。何時ものようにギルドに完了報告をしいい女を物色するために酒場へ行った。

珍しい暗灰色の細身でしなやかな体の女は、騎士のようで派手な装飾の剣を腰から下げていた。
カウンターにひとりでいたアリエルをその日のうちに持ち帰り事に及んだ。

俺とアリエルの相性は最高だった。肉付きはあまり良くないが鍛えられた体は何度抱いてもよく締まる。獣人特有の硬いはずの肌は、手入れがいいのか柔らかく滑らかだ。
ただ、体質なのか濡れにくいのが……いや、そんなことはいい。
こういった関係は詮索はしちゃならないもんだ。お互い名前しか知らない。素性を調べることもしない。まぁ、俺は有名だから知ってんだろうが。

アリエルは度々酒場に現れた。何度か関係を持った頃、他の獣人の男といるのを見てその場で奪い取ってやった。
やりたいなら相手をしてやるから予定を教えろと。
これでも俺は街でも名の通ったA級冒険者、高ランクで稼ぎもいい。女なんてほっといたって寄ってくる。
うっかり、本当にうっかりアリエルにハマっちまった。

俺もそろそろ身を固めてもいいかもしれない。

そう思ってんのになかなか言い出せない。番契約結ぼう結婚しようと。


「使うならどうぞ」

「ああ」

アリエルが風呂から出て、俺は柄にもなく緊張した。素っ裸で頭を拭き、魔法でサッと乾かす。
何度抱いても見惚れちまうアリエルの体。

やべぇ、一発じゃ足りねぇな。

慣れた手つきで黒いシャツを羽織り細身のトラウザーズを身につけ長い髪を編んでゆく。
上着を羽織るアリエルに俺は意を決して声を掛けた。

「なあ、話があるんだ」

「なに?手短に」

「俺はあんまりロマンチストって訳じゃない。運命の番なんてのも信じてない。けどな、その、お前となら、やれそうだ」

アリエルの手がピタリと止まるが俺の方を見ることは無い。

「お前は最高の番だって事だ」

「・・・・・私が番?」

「ああ、お前を俺の番だと感じる。だから、俺のものになれ」

言った!
やっとだ。
知り合って五年、やっと言えた。


アリエルは俺に顔を向けるが、その顔に喜びや興奮は無い。

「アリ、エル?」

「悪いけど、私の番は別にいる。あんたがそうゆう気持ちになってしまったならこの関係はこれで終わり」

「・・・・・・・・・・は?」


アリエルはサッと荷物を手にすると振り返ることなく部屋を出ていった。

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