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黒い瞳
転校生
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九月の初め。
夏休みが終わり、新学期最初の登校日になった。まだしばらく続きそうな厳しい暑さで、歩く度に汗が吹き出してくる。
教室に寄る前にトイレに寄り、登校するだけで大量にかいてしまった汗をハンカチで拭いてから私は教室に入った。
新学期初日のせいかざわざわといつもより少し騒がしい教室、いつもと変わらないクラスメイト。私は自分の席に向かい、誰かに話しかけるわけでもなく黙々と教科書と課題を机の中に入れ替え始める。
「葵ー!おはよ!」
すぐ前の席に座っていた彼女が私の存在に気付いたらしく、いつものように声をかけてきた。
「おはよう、相変わらず元気だね」
彼女の名前は相川奏。
彼女は私とクラスで1番仲良くしているクラスメイトだ。
夏休み明けのくせに真っ白な肌、大きくて切れ長な目、血色のいい唇、整った顔立ちを持つ奏は男子達に結構ファンがいる。
少し長めの綺麗な髪をかきあげながら、何やら嬉しそうにニコニコしながら彼女はこちらを見ている。
「ねぇ、聞いてる?」
「え?なんだっけ」
「葵やっぱり聞いてなかった!転校生が来るらしいよ?」
それは初耳。
転校生か、夏休み明けだもんな。
私たちの学校は、この辺の地域では珍しく転入生を受け入れている公立高校。私立では転入生を受け入れている学校がいくつかあるらしいが、学費が高かったり制服などがいちいち高い。だから家の事情とかで転校が必要になった人とかは結構この学校にくる。
そのせいでこの学校で転校生というのはそこまで珍しいことではない、だけど私たちの代に入ってくる転校生はこれが初めてだった気がする。
あぁ、どうりで……。
「だからちょっとクラスが騒がしいのね」
「そりゃうちらの学年に転校生が来るのは初めてだもん!このクラスのトレンドだよ!」
私は奏のはしゃぎっぷりに呆れながら笑みを浮かべた。
奏は高校一年生の時に同じクラスになって、今は二年生だから二年目の付き合いになる。
奏は容姿がいいのはもちろん、成績もかなり良い。学内試験ではいつも1位、全国模試でもトップ争いをするほどの秀才ぶりだ。
しかし典型的な優等生やガリ勉なのかと聞かれればそうではない。一年生の時からクラスの話題とか流行によく食いつくところが少しミーハーで、こういうところを見ると普通の同い年の人間なんだと思うと共に相変わらずだなと思う。
「はい、みんな席についてー!」
気づけば教壇には担任が立っていた。みんなまだ話し足りなそうにしながら席に戻っていく。
いつも騒がしい新学期初日。
しかし今日は既にクラスのほぼ全員が知っている重大なニュースを控えているので、静かになるのにそう時間はかからなかった。
「今日はなんと転校生を紹介しま……」
「どんな子だろ~」「男?女?」「イケメンだといいなぁ」
「こら!聞きなさーい!」
「めぐみちゃんそんなに怒ってるとシワ増えるよ~?」
「もう、橋元先生でしょ?」
担任の橋元めぐみ先生、まだ教師になって三四年目の若い女の先生だ。
歳がまだそこまで離れていないのもあり親しみやすく、生徒から人気がありよく下の名前で呼ばれている。
でも教頭とかは頭が固いらしいから、噂を聞いて怒ってるみたいだけどね。教師としてどうなんだって。
「もうっ!じゃあ月白さん入って」
めぐみちゃんにそう呼ばれて、教室の前のドアが開いた。
転校生を見た時。
私は……いや、恐らくクラス全員が失礼かもしれないが驚いた。
教壇の横に立つ女の子は、少なくとも私は見た事のない目をしていた。
「月白若葉です、よろしくお願いします」
とても綺麗な笑顔を浮かべる彼女の顔立ちはとても綺麗で、その分みんなは自分たちとは違うところに目がいった。
「月白さんの目は、生まれつき白目の部分が真っ黒です。日常生活には全く支障がないようなので……」
遠くで先生が説明している声が聞こえる。
月白さんの目は怖いくらいに綺麗で目が離せなくなった。
夏休みが終わり、新学期最初の登校日になった。まだしばらく続きそうな厳しい暑さで、歩く度に汗が吹き出してくる。
教室に寄る前にトイレに寄り、登校するだけで大量にかいてしまった汗をハンカチで拭いてから私は教室に入った。
新学期初日のせいかざわざわといつもより少し騒がしい教室、いつもと変わらないクラスメイト。私は自分の席に向かい、誰かに話しかけるわけでもなく黙々と教科書と課題を机の中に入れ替え始める。
「葵ー!おはよ!」
すぐ前の席に座っていた彼女が私の存在に気付いたらしく、いつものように声をかけてきた。
「おはよう、相変わらず元気だね」
彼女の名前は相川奏。
彼女は私とクラスで1番仲良くしているクラスメイトだ。
夏休み明けのくせに真っ白な肌、大きくて切れ長な目、血色のいい唇、整った顔立ちを持つ奏は男子達に結構ファンがいる。
少し長めの綺麗な髪をかきあげながら、何やら嬉しそうにニコニコしながら彼女はこちらを見ている。
「ねぇ、聞いてる?」
「え?なんだっけ」
「葵やっぱり聞いてなかった!転校生が来るらしいよ?」
それは初耳。
転校生か、夏休み明けだもんな。
私たちの学校は、この辺の地域では珍しく転入生を受け入れている公立高校。私立では転入生を受け入れている学校がいくつかあるらしいが、学費が高かったり制服などがいちいち高い。だから家の事情とかで転校が必要になった人とかは結構この学校にくる。
そのせいでこの学校で転校生というのはそこまで珍しいことではない、だけど私たちの代に入ってくる転校生はこれが初めてだった気がする。
あぁ、どうりで……。
「だからちょっとクラスが騒がしいのね」
「そりゃうちらの学年に転校生が来るのは初めてだもん!このクラスのトレンドだよ!」
私は奏のはしゃぎっぷりに呆れながら笑みを浮かべた。
奏は高校一年生の時に同じクラスになって、今は二年生だから二年目の付き合いになる。
奏は容姿がいいのはもちろん、成績もかなり良い。学内試験ではいつも1位、全国模試でもトップ争いをするほどの秀才ぶりだ。
しかし典型的な優等生やガリ勉なのかと聞かれればそうではない。一年生の時からクラスの話題とか流行によく食いつくところが少しミーハーで、こういうところを見ると普通の同い年の人間なんだと思うと共に相変わらずだなと思う。
「はい、みんな席についてー!」
気づけば教壇には担任が立っていた。みんなまだ話し足りなそうにしながら席に戻っていく。
いつも騒がしい新学期初日。
しかし今日は既にクラスのほぼ全員が知っている重大なニュースを控えているので、静かになるのにそう時間はかからなかった。
「今日はなんと転校生を紹介しま……」
「どんな子だろ~」「男?女?」「イケメンだといいなぁ」
「こら!聞きなさーい!」
「めぐみちゃんそんなに怒ってるとシワ増えるよ~?」
「もう、橋元先生でしょ?」
担任の橋元めぐみ先生、まだ教師になって三四年目の若い女の先生だ。
歳がまだそこまで離れていないのもあり親しみやすく、生徒から人気がありよく下の名前で呼ばれている。
でも教頭とかは頭が固いらしいから、噂を聞いて怒ってるみたいだけどね。教師としてどうなんだって。
「もうっ!じゃあ月白さん入って」
めぐみちゃんにそう呼ばれて、教室の前のドアが開いた。
転校生を見た時。
私は……いや、恐らくクラス全員が失礼かもしれないが驚いた。
教壇の横に立つ女の子は、少なくとも私は見た事のない目をしていた。
「月白若葉です、よろしくお願いします」
とても綺麗な笑顔を浮かべる彼女の顔立ちはとても綺麗で、その分みんなは自分たちとは違うところに目がいった。
「月白さんの目は、生まれつき白目の部分が真っ黒です。日常生活には全く支障がないようなので……」
遠くで先生が説明している声が聞こえる。
月白さんの目は怖いくらいに綺麗で目が離せなくなった。
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