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●追放された侯爵令息と秘密の島●
プロローグ
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空は夕暮れ。島の砂浜には少年がふたり座っていた。夏の名残のある潮風が、少年たちの髪をなびかせている。
「おい、セリム」
「言うなよ、僕も驚いている」
「アルフォンスさん、戻ってこないかな……」
抱えた膝の間におでこをつけた金髪の少年ノエルがつぶやいた。
「無理でしょ、さっき出ていったばっかりじゃないか」
冷静に返事を返した黒髪の少年セリムが、ため息をついた。
アルフォンスは、この島まで連れてきてくれた船頭である。彼は10日後までやってこない。
「セリム、お前のスキルで家とか建てられねぇの」
ノエルが左頬を膝頭につけたまま、セリムの方を見てきた。
「壊すことはできそうだけど」
セリムはノエルの方を向かず、正面を見据えたまま答えた。
スキルというのは、人より優れた才能みたいなもので、この国では5歳になると、国教であるディーベ教が教えてくれる。
すべての人が持っているわけではなく、主に貴族階級の人間に多いとされている。
このふたりも、貴族階級であり、スキルを持っていた。
視線の先には落ち行く太陽。日が落ちれば、夜行性の魔物や動物が行動を始める。それまでに今日の寝床をみつけなければならない。
「だよなー。でも、どうすんの。家もねぇ、水もねぇ、食べ物も草しかねぇ」
島についてすぐに、島の外周を歩いてみたが、小屋らしきものはなく、見つけた井戸から汲み上げた水をノエルのスキルで見てみると、毒が検出された。
簡単に島を調べながら、食べられるものを探したが、湯がいて食べるポポンタという野草しか見つけられなかった。
「水は飲む分ぐらいは僕のスキルで作れるし、パンと干し肉ならあるよ」
セリムは、この島に来る前に立ち寄った港町で冒険者用の食料品を買い込んでいた。
「お前はえらいなぁ」
「鍋しか買わないノエルがおかしいんだよ」
「はは!そりゃそーだ」
「まぁ、陽が落ちきるまでに寝床を探さないと」
「だなー」
そう言うと、二人の少年は立ち上がり、山の中へ歩き出した。
「おい、セリム」
「言うなよ、僕も驚いている」
「アルフォンスさん、戻ってこないかな……」
抱えた膝の間におでこをつけた金髪の少年ノエルがつぶやいた。
「無理でしょ、さっき出ていったばっかりじゃないか」
冷静に返事を返した黒髪の少年セリムが、ため息をついた。
アルフォンスは、この島まで連れてきてくれた船頭である。彼は10日後までやってこない。
「セリム、お前のスキルで家とか建てられねぇの」
ノエルが左頬を膝頭につけたまま、セリムの方を見てきた。
「壊すことはできそうだけど」
セリムはノエルの方を向かず、正面を見据えたまま答えた。
スキルというのは、人より優れた才能みたいなもので、この国では5歳になると、国教であるディーベ教が教えてくれる。
すべての人が持っているわけではなく、主に貴族階級の人間に多いとされている。
このふたりも、貴族階級であり、スキルを持っていた。
視線の先には落ち行く太陽。日が落ちれば、夜行性の魔物や動物が行動を始める。それまでに今日の寝床をみつけなければならない。
「だよなー。でも、どうすんの。家もねぇ、水もねぇ、食べ物も草しかねぇ」
島についてすぐに、島の外周を歩いてみたが、小屋らしきものはなく、見つけた井戸から汲み上げた水をノエルのスキルで見てみると、毒が検出された。
簡単に島を調べながら、食べられるものを探したが、湯がいて食べるポポンタという野草しか見つけられなかった。
「水は飲む分ぐらいは僕のスキルで作れるし、パンと干し肉ならあるよ」
セリムは、この島に来る前に立ち寄った港町で冒険者用の食料品を買い込んでいた。
「お前はえらいなぁ」
「鍋しか買わないノエルがおかしいんだよ」
「はは!そりゃそーだ」
「まぁ、陽が落ちきるまでに寝床を探さないと」
「だなー」
そう言うと、二人の少年は立ち上がり、山の中へ歩き出した。
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