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三 タケルの話
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勇者の一味って……。夢の世界の設定に笑ってしまう。
「いえ、春樹さんは高校の時の先輩で、誘われて同じアパートに住んでるだけです。誘われたっていうか、俺が押しかけたっていうか」
「アパートというのはあの一見みすぼらしいが、その実なかなか頑丈な住居の事だろう。勇者が信者と金を集めるために拠点にしている隠れ家の一つであろうな」
違うと思うけど。
「でも春樹さんが勇者っていうのは俺の都合のいい夢だから。ポメが魔王っていうのは驚いたけど、顔もすごく俺好みだし潜在意識ってすごいよな」
一人で頷いていると、ポメは俺にいきなり突進してきた。胸にぶつかってちょっと痛い。
「ポメ?何するんだよ」
「愚か者め。夢などではないわ」
夢じゃない?
じゃあこの長くて田舎っぽい夢は現実なのか?神社の境内の下を通って別の世界に来たっていうのか?
「異世界……!?」
「そうだ。貴様の頭は飾り物か。少し考えれば分かる事だろう。ここはかつて私が支配していた土地だ。今では人間たちが占領している」
ポメの口の悪さ健在だな。
「じゃああの春樹さんは異世界に住む春樹さんのそっくりさんで、ポメは神様の使いじゃなくて本当に魔王なのか?」
「ハルキは勇者だ。あのような憎たらしい顔をした男が二人もいるはずがなかろう。私は貴様の忠誠心をはかるため、神の使いとやらのフリをしていただけだ。魔力をなくしてはいるが、本来なら先ほどの姿が……どうしたタケル。聞いているのか」
春樹さんが勇者だなんて、ポメの考えすぎじゃないかな。顔は似てるけど春樹さんは金髪でも青い目でもないし。
でも、と言うことは、春樹さんのそっくりさんとキスしてしまったって事に……。
それにポメも犬じゃなくてあの男の人が本来の姿って。心臓に悪すぎる。夢の中だし本当は犬だと思って心を許してたのに。
「貴様、顔が赤いぞ。熱でもあるのか」
くぅ……首をかしげる姿が可愛い。
こんなに可愛いから騙されたんだ。
「じゃあポメは……いや、魔王様はこれからどうするんですか?俺は出来ればアパートに帰りたいんですけど」
ポメは俺に背を向けた。尻尾とお尻の毛がふさふさで触りたい。でもさっきの男の人が本来の姿なら触ったらまずいよな。立派なセクハラだ。
そういえば一緒にお風呂はいったり同じ布団で寝たりしていたけど、あれも本当はまずかったんじゃないだろうか。
「タケル、私は魔王だ。だから勇者を倒す。たとえこの命が消滅しようとも」
「ポメ……」
「貴様は私のしもべとして、私に魔力をよこすのだ。分かったな」
いや、アパートに帰りたいんですけど。
「いえ、春樹さんは高校の時の先輩で、誘われて同じアパートに住んでるだけです。誘われたっていうか、俺が押しかけたっていうか」
「アパートというのはあの一見みすぼらしいが、その実なかなか頑丈な住居の事だろう。勇者が信者と金を集めるために拠点にしている隠れ家の一つであろうな」
違うと思うけど。
「でも春樹さんが勇者っていうのは俺の都合のいい夢だから。ポメが魔王っていうのは驚いたけど、顔もすごく俺好みだし潜在意識ってすごいよな」
一人で頷いていると、ポメは俺にいきなり突進してきた。胸にぶつかってちょっと痛い。
「ポメ?何するんだよ」
「愚か者め。夢などではないわ」
夢じゃない?
じゃあこの長くて田舎っぽい夢は現実なのか?神社の境内の下を通って別の世界に来たっていうのか?
「異世界……!?」
「そうだ。貴様の頭は飾り物か。少し考えれば分かる事だろう。ここはかつて私が支配していた土地だ。今では人間たちが占領している」
ポメの口の悪さ健在だな。
「じゃああの春樹さんは異世界に住む春樹さんのそっくりさんで、ポメは神様の使いじゃなくて本当に魔王なのか?」
「ハルキは勇者だ。あのような憎たらしい顔をした男が二人もいるはずがなかろう。私は貴様の忠誠心をはかるため、神の使いとやらのフリをしていただけだ。魔力をなくしてはいるが、本来なら先ほどの姿が……どうしたタケル。聞いているのか」
春樹さんが勇者だなんて、ポメの考えすぎじゃないかな。顔は似てるけど春樹さんは金髪でも青い目でもないし。
でも、と言うことは、春樹さんのそっくりさんとキスしてしまったって事に……。
それにポメも犬じゃなくてあの男の人が本来の姿って。心臓に悪すぎる。夢の中だし本当は犬だと思って心を許してたのに。
「貴様、顔が赤いぞ。熱でもあるのか」
くぅ……首をかしげる姿が可愛い。
こんなに可愛いから騙されたんだ。
「じゃあポメは……いや、魔王様はこれからどうするんですか?俺は出来ればアパートに帰りたいんですけど」
ポメは俺に背を向けた。尻尾とお尻の毛がふさふさで触りたい。でもさっきの男の人が本来の姿なら触ったらまずいよな。立派なセクハラだ。
そういえば一緒にお風呂はいったり同じ布団で寝たりしていたけど、あれも本当はまずかったんじゃないだろうか。
「タケル、私は魔王だ。だから勇者を倒す。たとえこの命が消滅しようとも」
「ポメ……」
「貴様は私のしもべとして、私に魔力をよこすのだ。分かったな」
いや、アパートに帰りたいんですけど。
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