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三 タケルの話
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「あら~どうしたの?二人そろって。若い子が揃うといいわねえ。二人ともイケメンっていうのかしら……今どきの顔っていうの?おばちゃん若返るわぁ」
「あの、子犬見ませんでしたか?」
「ワンちゃん?どうかしたの?うちにはきてないけど」
「そうですか。見かけたら教えてください」
大家さんにお礼を言ってアパートから道路に出た時、道の向こうからちょこちょこ歩いてくる黒い子犬の姿が目に入ってきた。
「……ポメ」
ほっとして足元から崩れ落ちそうになる。
見つかって良かった。
ポメは俺の姿に気づいて、こちらに走ってきた。
「……ポメ!気をつけろよ」
幸い道路には一台も車は走っていなかった。
俺もポメに向かって走り、黒い毛玉のような子犬は弾丸のように腕の中に飛び込んできた。
「良かった。心配したぞ……お前どこ行ってたんだよ」
多分一匹にした俺のせいだけど、ポメが無事で本当に良かった。
「ワフワフ!」
「イテテテ……」
ポメの愛情表現的な頭突きが痛いけど嬉しい。
「ワフワフ!」
「あれ?……お前、言葉は?」
ポメが犬の言葉を話してる。当然といえば当然なんだけど、なんだかひどく違和感が残る。
「よかった。見つかったみたいだね」
大家さんに捕まっていた春樹さんが、俺たちに気づいて話しかけてきてくれた。
「あっ、春樹さん。子犬見つかりました!ありがとうございます!」
「いや、僕は何もしてないから」
「そんなことないです。一緒に探してくれて助かりました……あっ、触ってみます?」
春樹さんも犬好きだといいな。
最近はアレルギーとかいろいろあるけど、坂本さんの所の猫のミケとは仲良くしてたから、動物好きだと思うんだけど。
「じゃあ少し、撫でて見ようかな」
そして春樹さんは手を出そうとしたけと、それはすぐに引っ込められた。
「ヴゥーーー」
という、地を這うよな低い唸り声に阻まれて。
「ポメ?」
俺の腕の中で、ポメが全身の毛を逆立てて、春樹さんを威嚇してる。
「どうした?ポメ、春樹さんは怖い人じゃないから……」
背中を撫でても無駄だった。ポメの怒りがおさまらない。
「嫌われちゃったみたいだね」
「すみません、春樹さん」
「いや、いいよ。じゃあまた」
飛びかかって噛みつかないように、必死に押さえている間に、春樹さんはアパートに戻って行ってしまった。
「どうしたんだよ、ポメ、落ち着けって!」
春樹さんがいなくなっても、ポメはずっと威嚇してる。
「ポメ!痛っ……」
少し強く怒ると、ポメは俺の指に噛みつき、腕の中から飛びおりた。
ポメに噛みつかれたのが軽くショックで、数秒出遅れている間にポメは道路の向こうへと走り出していく。
「待て!どこに行くんだ」
俺がどんなに叫んでも、ポメは振り返らない。
一直線に走っていくポメに付いていくのは大変だった。
対向車にぶつからないようにビクビクしながら道路を走って住宅街を抜け、狭い公園を通り抜ける。
公園の先には小さな神社が存在していた。
近くに住んでいても気づかない程の小さな神社だ。古い鳥居をくぐり抜け、見失いかけた黒い子犬を探していると、小さな本殿の縁の下でこっちを見ているポメの姿を見つけた。
「ポメ!」
「ワフン……」
なぜかその声に、別れを告げられているような気がして、ひどく胸騒ぎがする。
ポメはそのまま踵を返し、床下に潜り込んでいった。
「待て!戻って来い……!」
やっぱり出遅れた。
俺には動物を飼う覚悟が足りなかったのかもしれない。
だからポメに愛想を尽かされたのか?
「待ってくれ……ポメ」
俺はポメを追いかけて、狭い床下に潜り込んだ。
「あの、子犬見ませんでしたか?」
「ワンちゃん?どうかしたの?うちにはきてないけど」
「そうですか。見かけたら教えてください」
大家さんにお礼を言ってアパートから道路に出た時、道の向こうからちょこちょこ歩いてくる黒い子犬の姿が目に入ってきた。
「……ポメ」
ほっとして足元から崩れ落ちそうになる。
見つかって良かった。
ポメは俺の姿に気づいて、こちらに走ってきた。
「……ポメ!気をつけろよ」
幸い道路には一台も車は走っていなかった。
俺もポメに向かって走り、黒い毛玉のような子犬は弾丸のように腕の中に飛び込んできた。
「良かった。心配したぞ……お前どこ行ってたんだよ」
多分一匹にした俺のせいだけど、ポメが無事で本当に良かった。
「ワフワフ!」
「イテテテ……」
ポメの愛情表現的な頭突きが痛いけど嬉しい。
「ワフワフ!」
「あれ?……お前、言葉は?」
ポメが犬の言葉を話してる。当然といえば当然なんだけど、なんだかひどく違和感が残る。
「よかった。見つかったみたいだね」
大家さんに捕まっていた春樹さんが、俺たちに気づいて話しかけてきてくれた。
「あっ、春樹さん。子犬見つかりました!ありがとうございます!」
「いや、僕は何もしてないから」
「そんなことないです。一緒に探してくれて助かりました……あっ、触ってみます?」
春樹さんも犬好きだといいな。
最近はアレルギーとかいろいろあるけど、坂本さんの所の猫のミケとは仲良くしてたから、動物好きだと思うんだけど。
「じゃあ少し、撫でて見ようかな」
そして春樹さんは手を出そうとしたけと、それはすぐに引っ込められた。
「ヴゥーーー」
という、地を這うよな低い唸り声に阻まれて。
「ポメ?」
俺の腕の中で、ポメが全身の毛を逆立てて、春樹さんを威嚇してる。
「どうした?ポメ、春樹さんは怖い人じゃないから……」
背中を撫でても無駄だった。ポメの怒りがおさまらない。
「嫌われちゃったみたいだね」
「すみません、春樹さん」
「いや、いいよ。じゃあまた」
飛びかかって噛みつかないように、必死に押さえている間に、春樹さんはアパートに戻って行ってしまった。
「どうしたんだよ、ポメ、落ち着けって!」
春樹さんがいなくなっても、ポメはずっと威嚇してる。
「ポメ!痛っ……」
少し強く怒ると、ポメは俺の指に噛みつき、腕の中から飛びおりた。
ポメに噛みつかれたのが軽くショックで、数秒出遅れている間にポメは道路の向こうへと走り出していく。
「待て!どこに行くんだ」
俺がどんなに叫んでも、ポメは振り返らない。
一直線に走っていくポメに付いていくのは大変だった。
対向車にぶつからないようにビクビクしながら道路を走って住宅街を抜け、狭い公園を通り抜ける。
公園の先には小さな神社が存在していた。
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「ポメ!」
「ワフン……」
なぜかその声に、別れを告げられているような気がして、ひどく胸騒ぎがする。
ポメはそのまま踵を返し、床下に潜り込んでいった。
「待て!戻って来い……!」
やっぱり出遅れた。
俺には動物を飼う覚悟が足りなかったのかもしれない。
だからポメに愛想を尽かされたのか?
「待ってくれ……ポメ」
俺はポメを追いかけて、狭い床下に潜り込んだ。
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