32 / 129
山小屋の主
2 箱の中
しおりを挟む
真っ暗だ。
身体が石みたいに固くなって冷え切ってる。どこか動かせるところはないか探ってみるけど、狭くてうまく動かない。
息を吐いて回復魔法を使う。魔力はほんのわずかしかなかった。その少しを身体に行き渡らせる。幸い毒はもう身体からなくなっている気がした。誰かが毒を消してくれたんだろうか。何も分からない。ここがどこかも。でも身体を動かすのにエネルギーが足りない。お腹が空いてるから、何か食べないと力が出ない。
目を閉じてじっとして、魔力が少し溜まったら息を吐いて身体を回復させた。
身体の感覚が徐々に戻ってくる。まず俺は何か布に包まれている事が分かったし、嗅覚が少し戻ったので、その布からヒースの匂いがすることに気づいた。
これ、多分ヒースの着ていた服かマントだ。あと、それに混ざって俺の大好きな干し肉の匂いもする。顔を動かして干し肉を探し、口の中に入れた。かなり湿っていてあまり美味しくない。カビの生えたような変な味がする。それでも貴重なエネルギーだ。お腹の中に何か入れると、魔力がかなり復活した。目を閉じたままでも周囲の様子がモノクロで見えるあの能力が戻ってきた。これで真っ暗闇じゃなくなった。
まず俺はヒースの服に包まれて、それから使っていたかごの中に入っている。愛用のクッションもある。その外には、四角い箱がある。だけど何故か、俺が入った箱があるのはヒースの部屋でも城の中でもなかった。
周りには何もない。時々光の反応があるけど、それは人の大きさではなく、虫や小動物だ。反応も少ない。
道もないし、建物もない。近くに森があって、沢山の木々がある。
と、いうよりも……どう考えても俺は地下にいるような気がする。ここ、地面の中なんじゃないのか?
箱には探した感じ出口がない。
地面から箱の位置までは俺の身長三つ分ほどの深さがある。その上に、石で何か蓋みたいな物が置いてある。何だろう、これ。
どうやって外に出ようか。ここを突破するのは今の俺にはかなりきつい。だけど、少ないエネルギーでも頑張らないと、そのうち息をするのが苦しくなりそうだ。
頭の中に最適な魔法を思い浮かべる。やっぱり爆発だな。俺自身を燃やすことのない炎の魔法。ヒースの服やかごを燃やしてしまうかもしれないからやりたくないけど、ほかに思い浮かばない。ここから出られないと、多分すぐに雲の中に戻って、あの白い建物に入らないといけなくなる。出来るだけ真上に向かって魔法を放出しよう。
よし、やるぞ。
俺は箱の中で上を向き、力を込めて息を吐いた。
身体が石みたいに固くなって冷え切ってる。どこか動かせるところはないか探ってみるけど、狭くてうまく動かない。
息を吐いて回復魔法を使う。魔力はほんのわずかしかなかった。その少しを身体に行き渡らせる。幸い毒はもう身体からなくなっている気がした。誰かが毒を消してくれたんだろうか。何も分からない。ここがどこかも。でも身体を動かすのにエネルギーが足りない。お腹が空いてるから、何か食べないと力が出ない。
目を閉じてじっとして、魔力が少し溜まったら息を吐いて身体を回復させた。
身体の感覚が徐々に戻ってくる。まず俺は何か布に包まれている事が分かったし、嗅覚が少し戻ったので、その布からヒースの匂いがすることに気づいた。
これ、多分ヒースの着ていた服かマントだ。あと、それに混ざって俺の大好きな干し肉の匂いもする。顔を動かして干し肉を探し、口の中に入れた。かなり湿っていてあまり美味しくない。カビの生えたような変な味がする。それでも貴重なエネルギーだ。お腹の中に何か入れると、魔力がかなり復活した。目を閉じたままでも周囲の様子がモノクロで見えるあの能力が戻ってきた。これで真っ暗闇じゃなくなった。
まず俺はヒースの服に包まれて、それから使っていたかごの中に入っている。愛用のクッションもある。その外には、四角い箱がある。だけど何故か、俺が入った箱があるのはヒースの部屋でも城の中でもなかった。
周りには何もない。時々光の反応があるけど、それは人の大きさではなく、虫や小動物だ。反応も少ない。
道もないし、建物もない。近くに森があって、沢山の木々がある。
と、いうよりも……どう考えても俺は地下にいるような気がする。ここ、地面の中なんじゃないのか?
箱には探した感じ出口がない。
地面から箱の位置までは俺の身長三つ分ほどの深さがある。その上に、石で何か蓋みたいな物が置いてある。何だろう、これ。
どうやって外に出ようか。ここを突破するのは今の俺にはかなりきつい。だけど、少ないエネルギーでも頑張らないと、そのうち息をするのが苦しくなりそうだ。
頭の中に最適な魔法を思い浮かべる。やっぱり爆発だな。俺自身を燃やすことのない炎の魔法。ヒースの服やかごを燃やしてしまうかもしれないからやりたくないけど、ほかに思い浮かばない。ここから出られないと、多分すぐに雲の中に戻って、あの白い建物に入らないといけなくなる。出来るだけ真上に向かって魔法を放出しよう。
よし、やるぞ。
俺は箱の中で上を向き、力を込めて息を吐いた。
12
お気に入りに追加
832
あなたにおすすめの小説
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
寡黙な男はモテるのだ!……多分
しょうわな人
ファンタジー
俺の名前は磯貝澄也(いそがいとうや)。年齢は四十五歳で、ある会社で課長職についていた。
俺は子供の頃から人と喋るのが苦手で、大人になってからもそれは変わることが無かった。
そんな俺が何故か課長という役職についているのは、部下になってくれた若者たちがとても優秀だったからだと今でも思っている。
俺の手振り、目線で俺が何をどうすれば良いかと察してくれる優秀な部下たち。俺が居なくなってもきっと会社に多大な貢献をしてくれている事だろう。
そして今の俺は目の前に神と自称する存在と対話している。と言ってももっぱら喋っているのは自称神の方なのだが……
某国の皇子、冒険者となる
くー
BL
俺が転生したのは、とある帝国という国の皇子だった。
転生してから10年、19歳になった俺は、兄の反対を無視して従者とともに城を抜け出すことにした。
俺の本当の望み、冒険者になる夢を叶えるために……
異世界転生主人公がみんなから愛され、冒険を繰り広げ、成長していく物語です。
主人公は魔法使いとして、仲間と力をあわせて魔物や敵と戦います。
※ BL要素は控えめです。
2020年1月30日(木)完結しました。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる