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成長
8 約束
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ベッドでまったりなごんでいると、ジェイソンがヒースを呼びに来た。もう夕食の時間らしい。
「カルは後でご飯あげるからな」
夕食はこの古い城で働く人々に見守られながら、食堂でとるのがヒースの日常だ。俺は夕食だけはヒースとは別なんだよな。王子様がペットと同じ場所で食事をとるのはあまりよろしくないらしい。朝と昼は一緒の事が多いから気にしてないけど。
ヒースが部屋を出ると、誰もいないことを確認してから扉を閉めジェイソンが俺に真剣な表情を向けた。顔を近づけて声をひそめる。何だ何だ? 秘密の話か。
「カル……まさかとは思うが、お前はもしかして、私たちが話す言葉がわかっているのか?」
「キュイ?」
分かるけど。
「エリオット様の髪を燃やしたのはお前か? 詠唱なしで魔法を使えるのか? 袋は破れたのにお前は無傷だったのも、お前が何かしたからなのか?」
「キュー」
多分詠唱なしでも魔法は使えると思う。頭に思い浮かべて、身体の中にある(気がする)魔力を息に乗せる。そうすると魔法が発動するんだ。魔法は魔法学で習ったものしか使えないけど。ファイアドラゴンだし、火の魔法が得意だと思うよ、ジェイソンさん。
ジェイソンはキョロキョロとあたりを見回し、最終的に自分の腰のベルトに下げていた革の袋を俺の前に出した。
「もしも私の言葉が分かるのなら、これを魔法で燃やしてみてくれ」
いやいや、それは駄目だろ。その革袋はジェイソンが誰かに作ってもらったものじゃないのか? そうでなくても、お気に入りでよく使ってるのを見てるし。ヒースの部屋にあるものは燃やせないと思ったのかもしれないけど。ジェイソンの物だって燃やせないよ。
「キュウ」
じっと見ても無駄だ。おもちゃで遊ぶから諦めてくれないかな。
おもちゃネズミで遊んでいると、ジェイソンはため息をついた。
「私の思い違いか……」
うーん。もっと燃やしてもいいものを提示してくれないかな。ゴミとか。たしかにこの家はあまりゴミが出ないけど、乾燥した草とかランプの油とか布の端切れなら沢山あるし、燃やしやすいと思うんだ。それともあえて燃えにくい物を選んだのかな。
「カル、とにかく私の言葉が分かっていても、分からなくても聞いてくれ」
「キュイ?」
「ヒース様は第三王子というお立場で、母親を亡くされている。この国にはヒース様を利用したり、傷つけようとする輩が多い。それに比べて味方は少ないんだ。もしお前が魔法を使えるなら、これからもお側でヒース様を守ってくれ。いいな」
「キュイ」
約束するよ、ジェイソン。男同士の約束だ。手の代わりに前足をジェイソンの手にちょんと乗せると、ジェイソンはうつむいて深い息を吐いた。
「私としたことが……動物相手にこのような話を。誰も見ていなくても恥ずかしいな」
ジェイソンは自分の中の何かと戦っているらしい。
「カルは後でご飯あげるからな」
夕食はこの古い城で働く人々に見守られながら、食堂でとるのがヒースの日常だ。俺は夕食だけはヒースとは別なんだよな。王子様がペットと同じ場所で食事をとるのはあまりよろしくないらしい。朝と昼は一緒の事が多いから気にしてないけど。
ヒースが部屋を出ると、誰もいないことを確認してから扉を閉めジェイソンが俺に真剣な表情を向けた。顔を近づけて声をひそめる。何だ何だ? 秘密の話か。
「カル……まさかとは思うが、お前はもしかして、私たちが話す言葉がわかっているのか?」
「キュイ?」
分かるけど。
「エリオット様の髪を燃やしたのはお前か? 詠唱なしで魔法を使えるのか? 袋は破れたのにお前は無傷だったのも、お前が何かしたからなのか?」
「キュー」
多分詠唱なしでも魔法は使えると思う。頭に思い浮かべて、身体の中にある(気がする)魔力を息に乗せる。そうすると魔法が発動するんだ。魔法は魔法学で習ったものしか使えないけど。ファイアドラゴンだし、火の魔法が得意だと思うよ、ジェイソンさん。
ジェイソンはキョロキョロとあたりを見回し、最終的に自分の腰のベルトに下げていた革の袋を俺の前に出した。
「もしも私の言葉が分かるのなら、これを魔法で燃やしてみてくれ」
いやいや、それは駄目だろ。その革袋はジェイソンが誰かに作ってもらったものじゃないのか? そうでなくても、お気に入りでよく使ってるのを見てるし。ヒースの部屋にあるものは燃やせないと思ったのかもしれないけど。ジェイソンの物だって燃やせないよ。
「キュウ」
じっと見ても無駄だ。おもちゃで遊ぶから諦めてくれないかな。
おもちゃネズミで遊んでいると、ジェイソンはため息をついた。
「私の思い違いか……」
うーん。もっと燃やしてもいいものを提示してくれないかな。ゴミとか。たしかにこの家はあまりゴミが出ないけど、乾燥した草とかランプの油とか布の端切れなら沢山あるし、燃やしやすいと思うんだ。それともあえて燃えにくい物を選んだのかな。
「カル、とにかく私の言葉が分かっていても、分からなくても聞いてくれ」
「キュイ?」
「ヒース様は第三王子というお立場で、母親を亡くされている。この国にはヒース様を利用したり、傷つけようとする輩が多い。それに比べて味方は少ないんだ。もしお前が魔法を使えるなら、これからもお側でヒース様を守ってくれ。いいな」
「キュイ」
約束するよ、ジェイソン。男同士の約束だ。手の代わりに前足をジェイソンの手にちょんと乗せると、ジェイソンはうつむいて深い息を吐いた。
「私としたことが……動物相手にこのような話を。誰も見ていなくても恥ずかしいな」
ジェイソンは自分の中の何かと戦っているらしい。
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