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旅行編 お墓参り〜赤砂の街
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街に着いたのは昼過ぎだった。
夜明け前にイチャイチャしていたせいで、俺は街に着くまでずっと角馬の上でアニキにもたれてうとうとしていた。
アニキもさすがにもう何もしてこなかった。アニキは普段は俺に手綱を握らせる事が多いけど、さすがもと盗賊で商人の息子だったからなのか、乗馬も馬の扱いも上手だし乗りこなす姿もさまになってる。ただ外見が怖いから、道ですれ違う別の旅人や商人は全員アニキを避けて通ってる。
「ミサキ、そろそろ街に着くぞ」
「え?」
慌てて目を開ける。赤砂の街はまだ数度しか訪れた事が無くて、いつもすぐに洞窟ハウスに戻るから知らない場所の方が多い。だからアニキに着いたらすぐに起こしてくれと頼んでおいたのだ。
目の前には赤砂の街を囲むかなり大きな壁。
街は度々襲われる砂嵐や昔大勢いた盗賊に対抗するため、かなり大きな壁を街全体に張り巡らせているのだ。
壁は砂が付着して赤茶色に見える。近くにある砂漠の砂が何故か赤いらしいのだ。それが街の名前の由来で、砂漠はそこに住む魔物とセットで赤い地獄と呼ばれているらしい。
街への入り口には自警団らしき兵士が二人立っていたけど、入っていく商人や旅行者を呼び止める事も無く、ただ見ているだけだった。王都に入るときのような検問所はないらしい。石工の街もそういえば無かったよな。
街に入ってしまうと、中は古いけど頑丈な建物が並ぶ。
この通りが俺はけっこう好きだ。砂漠のオアシスだって聞いてたから期待してなかったけど、初めて来たときに意外としっかりと街だったから感動したんだよな。街にはたくさんの旅行者がいて、賑やかだ。
『アニキ、何か美味しいもの食べましょう』
ガイドブックで読んだけど、赤砂の街は交易や商売が盛んだから、各地の美味しい物が食べられるらしい。砂ワニステーキやサボテンサラダもいいけど、たまには違う物が食べたい。それが旅行の醍醐味だからな。
角馬をレンタル動物返却所に返し、アニキと二人で赤砂の街をブラブラ歩く。おいしそうなご飯屋がないか探しながら。
楽しい。屋台みたいな物もあるから、アニキと買い食いしながら歩いてもいいな。
『何食べますか?』
「お前に合わせる」
『いいんですか?』
俺はお店をあれこれ見て回り、せっかちなアニキにまだかと言われながら気に入った店に入った。比較的綺麗な店だ。店員に値段を聞いて高かったらやめよう。
『あの、ここのお店何が美味しいですか?』
男の店員さんは俺を見てメニュー表を渡してきた。値段はそこそこするな。
『ちょっと高いですね』
「君かわいいからサービスしてもいいよ」
店員さんがそういって俺に手を伸ばした瞬間、後ろにいたアニキが俺の前にずいっと割り込んできた。
「俺の連れに触るな」
「も、申し訳ありません」
店員さんの態度急変。アニキを見て完全に顔色を無くしてる。なんか悪いことした。
「いくぞミサキ」
『えっ、安くしてくれるって……』
アニキに肩を掴まれて店を出る。せっかく美味しそうな店だったのに。
不満を言おうとしたら、アニキの鋭すぎる視線にぶつかって言葉を飲み込む。
「ミサキ、俺以外の奴に媚びた視線を向けるんじゃねえ」
そんな視線向けてません。
『アニキの誤解です』
「それ以上反論すると往来で抱くぞ」
マントの下に手を入れられて、急所を思いっきり掴まれる。
『……す、すみませんでした』
謝ってもなかなか力を緩めてもらえず、やわやわと揉まれて声が出そうになる。往来はまずい。
『あ、アニキ、夜にいろいろ謝ります。許して』
そう言って胸に顔を埋めてシャツの下に見える悪魔の印にキスすると、アニキはようやく手を離した。
「忘れるな。お前は俺の物だからな」
アニキが嫉妬深いの忘れてた。誰かとトラブルにならないように気をつけよう。アニキを再び犯罪者にしたくない。でも俺の言うことを聞いてくれるのはエッチした後くらいしかないから、夜に釘をさしておくか。アニキと俺の楽しい旅行のため、頑張ろう。
街に着いたのは昼過ぎだった。
夜明け前にイチャイチャしていたせいで、俺は街に着くまでずっと角馬の上でアニキにもたれてうとうとしていた。
アニキもさすがにもう何もしてこなかった。アニキは普段は俺に手綱を握らせる事が多いけど、さすがもと盗賊で商人の息子だったからなのか、乗馬も馬の扱いも上手だし乗りこなす姿もさまになってる。ただ外見が怖いから、道ですれ違う別の旅人や商人は全員アニキを避けて通ってる。
「ミサキ、そろそろ街に着くぞ」
「え?」
慌てて目を開ける。赤砂の街はまだ数度しか訪れた事が無くて、いつもすぐに洞窟ハウスに戻るから知らない場所の方が多い。だからアニキに着いたらすぐに起こしてくれと頼んでおいたのだ。
目の前には赤砂の街を囲むかなり大きな壁。
街は度々襲われる砂嵐や昔大勢いた盗賊に対抗するため、かなり大きな壁を街全体に張り巡らせているのだ。
壁は砂が付着して赤茶色に見える。近くにある砂漠の砂が何故か赤いらしいのだ。それが街の名前の由来で、砂漠はそこに住む魔物とセットで赤い地獄と呼ばれているらしい。
街への入り口には自警団らしき兵士が二人立っていたけど、入っていく商人や旅行者を呼び止める事も無く、ただ見ているだけだった。王都に入るときのような検問所はないらしい。石工の街もそういえば無かったよな。
街に入ってしまうと、中は古いけど頑丈な建物が並ぶ。
この通りが俺はけっこう好きだ。砂漠のオアシスだって聞いてたから期待してなかったけど、初めて来たときに意外としっかりと街だったから感動したんだよな。街にはたくさんの旅行者がいて、賑やかだ。
『アニキ、何か美味しいもの食べましょう』
ガイドブックで読んだけど、赤砂の街は交易や商売が盛んだから、各地の美味しい物が食べられるらしい。砂ワニステーキやサボテンサラダもいいけど、たまには違う物が食べたい。それが旅行の醍醐味だからな。
角馬をレンタル動物返却所に返し、アニキと二人で赤砂の街をブラブラ歩く。おいしそうなご飯屋がないか探しながら。
楽しい。屋台みたいな物もあるから、アニキと買い食いしながら歩いてもいいな。
『何食べますか?』
「お前に合わせる」
『いいんですか?』
俺はお店をあれこれ見て回り、せっかちなアニキにまだかと言われながら気に入った店に入った。比較的綺麗な店だ。店員に値段を聞いて高かったらやめよう。
『あの、ここのお店何が美味しいですか?』
男の店員さんは俺を見てメニュー表を渡してきた。値段はそこそこするな。
『ちょっと高いですね』
「君かわいいからサービスしてもいいよ」
店員さんがそういって俺に手を伸ばした瞬間、後ろにいたアニキが俺の前にずいっと割り込んできた。
「俺の連れに触るな」
「も、申し訳ありません」
店員さんの態度急変。アニキを見て完全に顔色を無くしてる。なんか悪いことした。
「いくぞミサキ」
『えっ、安くしてくれるって……』
アニキに肩を掴まれて店を出る。せっかく美味しそうな店だったのに。
不満を言おうとしたら、アニキの鋭すぎる視線にぶつかって言葉を飲み込む。
「ミサキ、俺以外の奴に媚びた視線を向けるんじゃねえ」
そんな視線向けてません。
『アニキの誤解です』
「それ以上反論すると往来で抱くぞ」
マントの下に手を入れられて、急所を思いっきり掴まれる。
『……す、すみませんでした』
謝ってもなかなか力を緩めてもらえず、やわやわと揉まれて声が出そうになる。往来はまずい。
『あ、アニキ、夜にいろいろ謝ります。許して』
そう言って胸に顔を埋めてシャツの下に見える悪魔の印にキスすると、アニキはようやく手を離した。
「忘れるな。お前は俺の物だからな」
アニキが嫉妬深いの忘れてた。誰かとトラブルにならないように気をつけよう。アニキを再び犯罪者にしたくない。でも俺の言うことを聞いてくれるのはエッチした後くらいしかないから、夜に釘をさしておくか。アニキと俺の楽しい旅行のため、頑張ろう。
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