4 / 65
悪魔との契約
1
しおりを挟む
目の前に、液体の入った黒い瓶が二つ。
「お前に渡すのはどちらか一つだけだ。決まったかい?」
目の前にいる男は、背が高く痩せている事を除けば外見上これといった特徴がない。
もう一度会っても気がつかずに通り過ぎてしまうような顔だ。それでも、男から滲み出るなにかが背筋をずっとゾクゾクさせていた。
「これを……」
片方の瓶を手に取ると、男は一枚の紙と、先の尖ったペンのような物を取り出した。インクはない。鋭いペン先で指を突いて、滲んだ血で契約書にサインをする。
異世界に来て半年、まだ文章はうまく読む事が出来ない。それでもなんとなく書いてある事は分かった。
その契約が俺に何をもたらすのか、理解できたと思う。きっと後悔はしない。
俺はその契約書に血で
『岬 修平』と書いた。
瓶を懐に入れて店を出ると、骨占いの爺さんが道端に座っていた。
「お前の未来を占ってやろうか?」
「必要ありません」
断って歩き出すと、背後で呟きのような爺さんの言葉が聞こえた。
「嵐が過ぎたら朽ち果てた船に向かえ」
振り向くと、爺さんの濁った水晶のような目が、僅かに優しく細められた。
「馬鹿な子だよ、お前も、レヴィンも」
「お前に渡すのはどちらか一つだけだ。決まったかい?」
目の前にいる男は、背が高く痩せている事を除けば外見上これといった特徴がない。
もう一度会っても気がつかずに通り過ぎてしまうような顔だ。それでも、男から滲み出るなにかが背筋をずっとゾクゾクさせていた。
「これを……」
片方の瓶を手に取ると、男は一枚の紙と、先の尖ったペンのような物を取り出した。インクはない。鋭いペン先で指を突いて、滲んだ血で契約書にサインをする。
異世界に来て半年、まだ文章はうまく読む事が出来ない。それでもなんとなく書いてある事は分かった。
その契約が俺に何をもたらすのか、理解できたと思う。きっと後悔はしない。
俺はその契約書に血で
『岬 修平』と書いた。
瓶を懐に入れて店を出ると、骨占いの爺さんが道端に座っていた。
「お前の未来を占ってやろうか?」
「必要ありません」
断って歩き出すと、背後で呟きのような爺さんの言葉が聞こえた。
「嵐が過ぎたら朽ち果てた船に向かえ」
振り向くと、爺さんの濁った水晶のような目が、僅かに優しく細められた。
「馬鹿な子だよ、お前も、レヴィンも」
14
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
名軍師様の尿道プレイ
Ruon
BL
北条家の軍師様が自分の首を狙いに来た忍に尿道プレイを仕込まれるお話。
攻:揚篠鴉(アゲシノカラス) 三好衆頭領。過去の実験で半鬼になった。遠流とはかつて親友だった。
受:鈴佐遠流(リンサトオル) 北条家の軍師。非道な実験を試みた松永家の跡取り。本人は松永の名を捨てて北条家に仕えているがその呪縛から逃れられない。
23.8.22 不定期に続編追加します。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる