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おまけ(仲良し兄弟)
4 くさいけむり
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喫茶店でジュースを飲んだ後、スーパーに立ち寄った三人は、必要最小限の食材をかごに入れ、総菜コーナーで半額になった唐揚げを発見した。
「からあげ!」
「一人一個だぞ」
「ラウルふたつ」
「ラウル、どうせそんなに食べられないだろ」
喜んで走り回るラウルを追いかけて連れ戻す。食材と唐揚げをゲットした三人はスーパーを出て帰路につく事にした。
「からあげ!からあげ!」
静観するリックを横目に、ラウルと修平が唐揚げの歌を歌いながら家に戻ると、見慣れないバイクが玄関の横に停めてあった。
「修兄ちゃん、あれ…」
リックの声と同時に玄関から出てきたのは、一年前に家を出ていった長兄レヴィン(21)だった。
「だれ?」
ラウルは全く覚えていないらしい。
レヴィンの素行の悪さは近所でも評判で、家出前は父親と衝突ばかり繰り返していた。
修平とリックが数々の修羅場を思い出しながら固まっていると、レヴィンは三人を見つけて笑みを見せた。
「よう、修平。あとチビ二人。馬鹿オヤジは帰ってないみたいだな」
「何しに帰って来たの?お金ならないよ」とリック。
「俺をあの親父と一緒にすんじゃねぇ」
レヴィンはタバコを取り出し火をつけると、煙をふーっと吐いた。
きょとんとしていたラウルが途端に不機嫌になる。
「くさいけむり!くさい!あっちいけ!」
ラウルは父親のタバコの煙も嫌悪していた。
「相変わらず母親に似てキャンキャンうるせーガキだな」
「弟にタバコの煙吸わせるなよ。ラウル、リック、家に入ってろ」
「からあげ食べていい?」
「ご飯まで待て」
修平はラウルとリックを家に入れ、ため息をついた。
「兄ちゃん、そんな態度だからリックもラウルも懐かないんだよ」
「別に懐いて欲しいわけじゃねぇ」
「何かあったの?住所決まった?落ちついたら連絡してくれるって言ってたのに、兄ちゃん音信不通になるんだもんな」
修平はレヴィンがお金を取りに来たわけじゃないと思っていた。口も態度も悪いが本当は優しい兄なのだ。
レヴィンは懐から封筒を取り出した。
「何これ」
修平が中を覗くと、中には万札がぎっしり入っている。
「兄ちゃん…これ」
「どうせお前ら金に困ってんだろ?お前が管理して食費のたしにでもしろ」
「変なお金じゃないよね?」
「ああ?くだらねぇ心配すんな。じゃあな。用はそれだけだ」
「え?出かけるの?ご飯は?ルー兄には会っていかないの?」
レヴィンはタバコの火を消すと、修平の言葉には答えずバイクに向かった。
「兄ちゃん、ありがとう!」
「近くにアパート借りたから、たまには遊びに来い」
レヴィンはそれだけ言うと走り去った。
「遊びに来いって…俺一人でって訳にもいかないし…ラウルもリックも嫌がるだろうな…」
お金のことはルーシェンがバイトから帰ったら相談することにした。
「からあげ!」
「一人一個だぞ」
「ラウルふたつ」
「ラウル、どうせそんなに食べられないだろ」
喜んで走り回るラウルを追いかけて連れ戻す。食材と唐揚げをゲットした三人はスーパーを出て帰路につく事にした。
「からあげ!からあげ!」
静観するリックを横目に、ラウルと修平が唐揚げの歌を歌いながら家に戻ると、見慣れないバイクが玄関の横に停めてあった。
「修兄ちゃん、あれ…」
リックの声と同時に玄関から出てきたのは、一年前に家を出ていった長兄レヴィン(21)だった。
「だれ?」
ラウルは全く覚えていないらしい。
レヴィンの素行の悪さは近所でも評判で、家出前は父親と衝突ばかり繰り返していた。
修平とリックが数々の修羅場を思い出しながら固まっていると、レヴィンは三人を見つけて笑みを見せた。
「よう、修平。あとチビ二人。馬鹿オヤジは帰ってないみたいだな」
「何しに帰って来たの?お金ならないよ」とリック。
「俺をあの親父と一緒にすんじゃねぇ」
レヴィンはタバコを取り出し火をつけると、煙をふーっと吐いた。
きょとんとしていたラウルが途端に不機嫌になる。
「くさいけむり!くさい!あっちいけ!」
ラウルは父親のタバコの煙も嫌悪していた。
「相変わらず母親に似てキャンキャンうるせーガキだな」
「弟にタバコの煙吸わせるなよ。ラウル、リック、家に入ってろ」
「からあげ食べていい?」
「ご飯まで待て」
修平はラウルとリックを家に入れ、ため息をついた。
「兄ちゃん、そんな態度だからリックもラウルも懐かないんだよ」
「別に懐いて欲しいわけじゃねぇ」
「何かあったの?住所決まった?落ちついたら連絡してくれるって言ってたのに、兄ちゃん音信不通になるんだもんな」
修平はレヴィンがお金を取りに来たわけじゃないと思っていた。口も態度も悪いが本当は優しい兄なのだ。
レヴィンは懐から封筒を取り出した。
「何これ」
修平が中を覗くと、中には万札がぎっしり入っている。
「兄ちゃん…これ」
「どうせお前ら金に困ってんだろ?お前が管理して食費のたしにでもしろ」
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「ああ?くだらねぇ心配すんな。じゃあな。用はそれだけだ」
「え?出かけるの?ご飯は?ルー兄には会っていかないの?」
レヴィンはタバコの火を消すと、修平の言葉には答えずバイクに向かった。
「兄ちゃん、ありがとう!」
「近くにアパート借りたから、たまには遊びに来い」
レヴィンはそれだけ言うと走り去った。
「遊びに来いって…俺一人でって訳にもいかないし…ラウルもリックも嫌がるだろうな…」
お金のことはルーシェンがバイトから帰ったら相談することにした。
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