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土曜日、午後6時
26 そろそろ時間だな
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「……康哉?」
頭を抱えたまま、一言も話さない康哉が心配になって話しかけると、顔をあげた康哉はいきなり立ち上がった。
「そろそろ時間だな」
「え?こ、康哉?」
「修平、歩けるか?」
頷いて長椅子から立ち上がる。少しふらつくけど、如月の治療のおかげで元気だ。康哉が俺の肩を抱く。行動はいつもの優しい康哉なのに、表情はすごく険しい。
「康哉、どこに行くんだ?」
「隣の部屋だ。魔法陣がある」
「魔法陣って……」
「肝試しで向かった廃屋にあっただろ?あれと同じやつ。帰るんだよ、修平」
「康哉は?」
康哉は悲しそうな目をして笑った。
「言ったろ、俺は残るって」
「そ、それなら俺も……」
「こっちに残るのか?俺がいるから?それとも王子さまがいるからか?お前に家族が捨てられるのか?」
何も言葉が出て来なかった。
いろいろな感情が渦巻いて、上手く言葉に出来ない。自分でもどうしたいのか分からない。でも、決めなきゃいけないんだよな。それも、あと数分以内に。出来ればあと三日くらい、一人で考える時間が欲しい。
「どうしました?お話終わりましたか?」
俺達の不穏な空気を察して、如月が会話に入ってきた。
「ああ。修平は日本に戻る。魔法陣の準備をしてくれ」
「あなたは?松田さん」
「俺はこっちに残る。ハルバートには迷惑はかけないつもりだ」
如月はため息をついた。
「岬さんはそれでいいんですね?」
「わかんねー……」
俺が言葉を濁すと、康哉が口を開いた。
「修平、さっき賭けをしたよな?」
まさか。
「俺の願いはそれ。修平が日本に戻る事だ」
俺は呆然として目の前の男を見上げた。
よく知っていると思っていた親友が、全く知らない人間みたいに思えた。異世界の服を着た康哉は、一週間の間に変わってしまった。それとも最初から知っている部分なんて僅かしかなかったのか?
こんな風に突き放されるなんて思わなかった。
「……分かったよ。戻るよ」
頭を抱えたまま、一言も話さない康哉が心配になって話しかけると、顔をあげた康哉はいきなり立ち上がった。
「そろそろ時間だな」
「え?こ、康哉?」
「修平、歩けるか?」
頷いて長椅子から立ち上がる。少しふらつくけど、如月の治療のおかげで元気だ。康哉が俺の肩を抱く。行動はいつもの優しい康哉なのに、表情はすごく険しい。
「康哉、どこに行くんだ?」
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「魔法陣って……」
「肝試しで向かった廃屋にあっただろ?あれと同じやつ。帰るんだよ、修平」
「康哉は?」
康哉は悲しそうな目をして笑った。
「言ったろ、俺は残るって」
「そ、それなら俺も……」
「こっちに残るのか?俺がいるから?それとも王子さまがいるからか?お前に家族が捨てられるのか?」
何も言葉が出て来なかった。
いろいろな感情が渦巻いて、上手く言葉に出来ない。自分でもどうしたいのか分からない。でも、決めなきゃいけないんだよな。それも、あと数分以内に。出来ればあと三日くらい、一人で考える時間が欲しい。
「どうしました?お話終わりましたか?」
俺達の不穏な空気を察して、如月が会話に入ってきた。
「ああ。修平は日本に戻る。魔法陣の準備をしてくれ」
「あなたは?松田さん」
「俺はこっちに残る。ハルバートには迷惑はかけないつもりだ」
如月はため息をついた。
「岬さんはそれでいいんですね?」
「わかんねー……」
俺が言葉を濁すと、康哉が口を開いた。
「修平、さっき賭けをしたよな?」
まさか。
「俺の願いはそれ。修平が日本に戻る事だ」
俺は呆然として目の前の男を見上げた。
よく知っていると思っていた親友が、全く知らない人間みたいに思えた。異世界の服を着た康哉は、一週間の間に変わってしまった。それとも最初から知っている部分なんて僅かしかなかったのか?
こんな風に突き放されるなんて思わなかった。
「……分かったよ。戻るよ」
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