90 / 186
第四章 後宮には危険が一杯!
27.理想のお尻に出会う為
しおりを挟む
女御さまは、東宮さまをお上げになって、それから体調を崩されたのだ。
東宮さまは、今、御年九歳だったと思うけど、多分、愛らしいかたなんだろうなあ。
いまは、どちらでお育ち遊ばしているのか、わからないけど。
たしか、帝は、東宮さまにも、冷たくなさっておいでだと聞いたから、もしかしたら、宮中ではなくて、離宮だとか、鷹峯院のところにでもおいでなのかもしれない。
女御様のご実家、源家―――というのは、なさそうね。なんとなく。
「ともかく、その僧は、捕らえましょう。僕の鬼ちゃんを、殺そうとしたんだから、当然だよね」
「いやまて、左兵衛大尉。帝のお気に入りだ。おいそれと、捕縛は出来ぬぞ?」
「なんでだよ。悪いことをしたのは、向こうだろう?」
「ことは、高貴な方が係わるのだ。何にせよ、私の山吹が、酷い目にあったのは、事実だが、それだけでは、弱いのだ。他に目撃した者はいないのか?」
小鬼がいるけど、女装中だから、危ない、よな。女装して、ここに来たと言ったら、多分大事になるだろうし、もし、鬼の君の関係者だとバレたら、マズイよね。うん。
「私を助けてくれた女房はいますけど、どうやら、僧の顔などは見ていないようです」
「そうか。ならば、余計に、人違いだとか言われて、はぐらかされるな」
「山吹には悪いが、ここは、あまり事を大事にしないほうが良いだろう。
左兵衛大尉、陰陽師、済まぬが、ここは、この関白に任せて貰えぬか?」
「任せるといっても、なにを任せるのだ。件の僧か? それならば、熨斗付けてお任せするが、あなたの側に、山吹を置くのは、安堵できない」
「僕も、同意件です。……ねぇ、鬼ちゃん、なんなら、一度、源家においでよ。どうせ、宮中にいても暇でしょう? しばらく、犬の産穢でお召しはないんだからさ」
「左兵衛大尉!」
関白殿下が、怒鳴り付ける。
私は、ちょっと、悪くないな、と思った。なんといっても、中将の願いを叶えてあげたいし。
源大臣なら、淑景舎によびつけるよりは、自然にお会いできるだろう。
「陽。源大臣に、お会いすることは、可能かしらね」
「父上に? うん、勿論、大丈夫だよ」
「じゃあ、私、明日は、源大臣邸にお邪魔するわ」
関白殿下をチラリと見ると、不機嫌そうに腕を組んでいたけど、やがて口を開いて言う。
「まあ、セクハラには注意して。あの人、なんで、あんなセクハラオヤジに、なったんだか。あんなじゃなかったら、もう少し、出世したのにねえ。
登華殿の女御さまなんか、かなり、嫌ってらしたようだけど」
まあ……嫌うよね。それに、あのセクハラジジイが原因で、中将が自殺したんだし。
「すみません。うちの父、大昔、手酷くフラれたらしいんです。通っていた女に、他の男がいたとかで。
それから、理想のお尻に出会う為に、女房のお尻をさわり続けるとか、酷いことをいうもんで……僕も、兄さんも、本当に迷惑してるんですけど。
あ、一番、迷惑しているのは、うちの父にお尻を、さわられた、女房さんたちですね」
なんというか、途中まではありがちな話だったのに、なんで、そう、濃い方向に間違えたんだか。
うーん、中将のこと、覚えてるといいけど。大丈夫かなあ。
「で、山吹。……あなたは、一体、なにを調べてるの? 鬼の、正体?」
ふふ、と関白殿下は薄く笑っていた。
この人って、忘れてた(慣れた)けど、物凄い、美形だったのね。
背筋に、鳥肌が立って、止まらない。
東宮さまは、今、御年九歳だったと思うけど、多分、愛らしいかたなんだろうなあ。
いまは、どちらでお育ち遊ばしているのか、わからないけど。
たしか、帝は、東宮さまにも、冷たくなさっておいでだと聞いたから、もしかしたら、宮中ではなくて、離宮だとか、鷹峯院のところにでもおいでなのかもしれない。
女御様のご実家、源家―――というのは、なさそうね。なんとなく。
「ともかく、その僧は、捕らえましょう。僕の鬼ちゃんを、殺そうとしたんだから、当然だよね」
「いやまて、左兵衛大尉。帝のお気に入りだ。おいそれと、捕縛は出来ぬぞ?」
「なんでだよ。悪いことをしたのは、向こうだろう?」
「ことは、高貴な方が係わるのだ。何にせよ、私の山吹が、酷い目にあったのは、事実だが、それだけでは、弱いのだ。他に目撃した者はいないのか?」
小鬼がいるけど、女装中だから、危ない、よな。女装して、ここに来たと言ったら、多分大事になるだろうし、もし、鬼の君の関係者だとバレたら、マズイよね。うん。
「私を助けてくれた女房はいますけど、どうやら、僧の顔などは見ていないようです」
「そうか。ならば、余計に、人違いだとか言われて、はぐらかされるな」
「山吹には悪いが、ここは、あまり事を大事にしないほうが良いだろう。
左兵衛大尉、陰陽師、済まぬが、ここは、この関白に任せて貰えぬか?」
「任せるといっても、なにを任せるのだ。件の僧か? それならば、熨斗付けてお任せするが、あなたの側に、山吹を置くのは、安堵できない」
「僕も、同意件です。……ねぇ、鬼ちゃん、なんなら、一度、源家においでよ。どうせ、宮中にいても暇でしょう? しばらく、犬の産穢でお召しはないんだからさ」
「左兵衛大尉!」
関白殿下が、怒鳴り付ける。
私は、ちょっと、悪くないな、と思った。なんといっても、中将の願いを叶えてあげたいし。
源大臣なら、淑景舎によびつけるよりは、自然にお会いできるだろう。
「陽。源大臣に、お会いすることは、可能かしらね」
「父上に? うん、勿論、大丈夫だよ」
「じゃあ、私、明日は、源大臣邸にお邪魔するわ」
関白殿下をチラリと見ると、不機嫌そうに腕を組んでいたけど、やがて口を開いて言う。
「まあ、セクハラには注意して。あの人、なんで、あんなセクハラオヤジに、なったんだか。あんなじゃなかったら、もう少し、出世したのにねえ。
登華殿の女御さまなんか、かなり、嫌ってらしたようだけど」
まあ……嫌うよね。それに、あのセクハラジジイが原因で、中将が自殺したんだし。
「すみません。うちの父、大昔、手酷くフラれたらしいんです。通っていた女に、他の男がいたとかで。
それから、理想のお尻に出会う為に、女房のお尻をさわり続けるとか、酷いことをいうもんで……僕も、兄さんも、本当に迷惑してるんですけど。
あ、一番、迷惑しているのは、うちの父にお尻を、さわられた、女房さんたちですね」
なんというか、途中まではありがちな話だったのに、なんで、そう、濃い方向に間違えたんだか。
うーん、中将のこと、覚えてるといいけど。大丈夫かなあ。
「で、山吹。……あなたは、一体、なにを調べてるの? 鬼の、正体?」
ふふ、と関白殿下は薄く笑っていた。
この人って、忘れてた(慣れた)けど、物凄い、美形だったのね。
背筋に、鳥肌が立って、止まらない。
0
お気に入りに追加
269
あなたにおすすめの小説
【R15版】最強女騎士はお姫様体質の神官長(男)を虐めたい
てんてんどんどん
恋愛
イケメンでチート並みの能力をもちスペックだけなら完璧な神官長(男)は――何故か極度のヒロイン体質だった。
何故か魔物に毎回誘拐され、そのたびに女騎士に助けられ、告白すれば毎回邪魔がはいり、最終的に(たぶん)男(魔物)に奪いあいをされたり――
物語のお姫様も真っ青のお姫様っぷりに、いらつきながらも心惹かれる最強女騎士と、何故か最初から女騎士大好き状態の神官長が最終的にはいちゃいちゃしてるだけのお話です。
※一部性的な事を連想させる表現がありますので注意してください。
※R18禁版連載はじめました。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
女性が少ない世界へ異世界転生してしまった件
りん
恋愛
水野理沙15歳は鬱だった。何で生きているのかわからないし、将来なりたいものもない。親は馬鹿で話が通じない。生きても意味がないと思い自殺してしまった。でも、死んだと思ったら異世界に転生していてなんとそこは男女500:1の200年後の未来に転生してしまった。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
山下真菜日
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラや攻略不可キャラからも、モテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
花嫁は忘れたい
基本二度寝
恋愛
術師のもとに訪れたレイアは愛する人を忘れたいと願った。
結婚を控えた身。
だから、結婚式までに愛した相手を忘れたいのだ。
政略結婚なので夫となる人に愛情はない。
結婚後に愛人を家に入れるといった男に愛情が湧こうはずがない。
絶望しか見えない結婚生活だ。
愛した男を思えば逃げ出したくなる。
だから、家のために嫁ぐレイアに希望はいらない。
愛した彼を忘れさせてほしい。
レイアはそう願った。
完結済。
番外アップ済。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる