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しおりを挟む珀人さんの唇が私の膝に押し当てられた。肉の薄いそこに触れる唇の感触は熱くて柔らかい。離れるかと思った唇が薄く開いて舌がでろりと骨ばった皮膚を舐め始める。
「や、やだぁ」
我ながら嫌がっている声には思えないほどの蕩けた声しか上げる事が出来ない。
寝心地の良すぎるベッドの上で逃げるように体をよじっても珀人さんの手が私のふくらはぎのあたりをしっかり掴んでいるのでほんの数センチ上にずり上がる事しかできないままだ。
膝を舐めていた舌は上ではなく下へと下がる。脛部分の骨を辿るように舌が滑り落ちて足の甲までたどり着く。お店でさんざん舐められた足をまたぱくりと食まれてしまった。
触るならまだしも、決して口にしていい個所ではない。それにさっきそこは、珀人さんの精液で汚れたばかりの箇所で、生暖かい舌の感触があの卑猥な光景を呼び覚まして私の思考はぐちゃぐちゃだ。
「あ、あ、そんなとこ、だめぇ」
ぺろぺろと柔らかな舌先が足の腹をくすぐり、土踏まずにちゅっちゅと音を立ててキスされる。
「ほんと可愛い足。全部口にいれられないのが残念なくらい」
「ひえぇえっ」
珀人さんは私の足がお好みらしい。足、足で選ばれたのかな。熱烈な愛撫を一身に受けている足が少しだけ妬ましく思えてしまう。
「あらあら。大丈夫よ、足以外もいっぱい可愛がってあげるから、拗ねないで」
そんな私の心を読んだのか、珀人さんは楽しそうに笑うと足先へのキスを辞めて私の服を脱がしにかかる。
「あ、あの」
シャツワンピのボタンが半分ほどに外れたところで、私は意を決して口を開いた。珀人さんは指を止める事はなかったが、優しい瞳で私を見てくれている。
「なあに」
「珀人さんは、なんで」
「なんでルリちゃんにこんなコトするかって?そうねぇ、はい、ばんざーい!」
掛け声に流されて両手を上げればシャツワンピとアンダーシャツを一気に脱がされる。ブラジャーの肩紐を弄りながら珀人さんは私の肩に何度もキスをして楽しそう。
「一目ぼれ、ってやつかしら」
「え、えっ!?」
予想外の言葉に叫べば、私の首筋を唇で撫でていた珀人さんが笑い声をあげる。
「何故って聞かれるとアタシもよくわからいの。でもね、ルリちゃんが可愛くて可愛くてドロドロに甘やかしたくなってるの。それじゃ駄目?」
私を見つめる珀人さんの瞳は真剣だ。
綺麗なオネェさんなんかじゃなくて、ちゃんと男の人って目をしてる。いつの間にか珀人さんも上半身裸になっていて、細身だけれど引き締まった体は確かに男性で、目が離せない。
「ちゃんと恋人にならないと不安っていうなら先に告白してアゲル。ルリちゃん、好きよ。アタシのものになって」
なんてずるい告白だろうか。覆いかぶされてキスどころか体中を味わわれて。その指や舌で翻弄されまくってる私にイエス以外の返事は残されていない。
「はいぃぃ」
間延びした情けない私の返事に珀人さんは綺麗に笑った。
その綺麗な笑顔が私の顔に迫ってきて、私はうっとりと目を閉じて恋人からのキスを受け入れた。
「んんっ」
くちゅくちゅと頭の中に水音が響く。口の中で絡んだ舌が私の舌や口の中の皮膚を舐めまわす。敏感な粘膜を人の体温が撫でていく感触がくすぐったくて気持ちよくて、頭の芯がジンジンと痺れる。
キスをされながら、珀人さんの手がブラジャーを器用に外して露わになった私の胸を揉み始めた。小さくはないと思うが、珀人さんの大きな掌が包み込むと囁かな手ごたえしかないのではないかと思えて申し訳なくなる。
しかし珀人さんの指は私の情けない思考などお構いなしに、両方のおっぱいを揉んだり先を摘まんだりと忙しい。
「んっ、んっ、んんんぅ」
口を塞がれているので声が出ないが、つんと硬くなった先端を優しく撫でたり摘ままれたりすると、腰やお腹の奥がきゅんきゅんと疼いてしまう。
さっきぐしゃぐしゃにされて濡れたままの下着の奥がまたぬるぬると熱を持って濡れ始めたのを感じて、溢れる恥ずかしさを押し隠すように太ももを擦り合わせた。
「ふぁ」
ようやく話してもらった唇で大きく息を吸えば、珀人さんの手で柔らかく熟れた胸が大きく上下した。
「次はどこを舐めてほしい?このかわいいおっぱい?それとも…ココ?」
私の隠し事など珀人さんはお見通しだ。ぴっちりと閉じてある太ももの間を長い指先が意地悪い動きで滑って、下着に隠された三角の頂点をつんつんと突く。
「ひゃん」
甘ったるい悲鳴は自分の声とは思えないほどに物欲しげだ。刺激に負けて足を開けば、待ち構えていた珀人さんの両手によって下着が引き抜かれる。優しく足の内側を撫でられると、腰が勝手に浮き上がる。濡れた下半身を珀人さんの瞳が見ていると思うだけで、奥からとろとろしたものが溢れてシーツを濡らしていく気がした。
「ほんとに可愛い。可愛すぎよルリちゃん」
ちょっとだけ切羽詰った声に聞こえる珀人さんの言葉に胸が締め付けられるような気がした。
出会ってから数日で、ちゃんと会話したのなんかほんのちょっとだ。こんなに綺麗で素敵な人に触れられて、恥ずかしいコトをたくさんされて。でも全然嫌じゃない。気持ちよくて夢みたいでふわふわしてる。さっきの告白が嘘だとしても幸せだ。
「すき、はくとさん、すき」
勝手に口からあふれた本音。
多分、私も一目ぼれだったんだと思う。オネェ言葉で勝手に勘違いして、好きになってもしょうがないってブレーキをかけてた。
でも、好きだって言って貰えてるのに、立ち止まる意味なんてあるんだろうか。この一瞬だけでもこんな素敵な人に愛されるならなんでもいいやみたいに理性が蕩けて、私は珀人さんに甘えるように手をのばしていた。
「ああ、もう、なんて子なの」
珀人さんがぎゅうっと私の身体を抱きしめる。密着したお互いの素肌はしっとり汗ばんでいて、触れ合う感触が気持ちいい。
太股のあたりに硬くて熱い珀人さんの熱をぐりぐりと押し付けられて、ああ今から抱かれちゃうんだという確信に、お腹の奥がぐずぐずと溶けていく気がした。
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