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不道徳で不健全な彼らの関係
しおりを挟む「ヒロ君、おねがい、もうやだ」
「何が嫌なの?」
省吾の懇願に弘明は冷静な口調で応える。その間にも省吾の両胸を弄ぶ指の動きは止まらない。
弘明の整えられたベッドの上、背後から抱き抱えるようにして省吾の腕の中に捕えてる弘明は、シャツをたくし上げて露わにさせた彼の薄い胸を撫でまわし、既にぷっくりと先端を露出させた乳首を摘まんだり爪先で引っ掻いたりを繰り返している。刺激が与えられる度に、小柄な省吾の身体は人形のように跳ねて小さな抵抗を見せるが、本気で暴れたり逃げたりすることはない。
「きもちいいんでしょ?ほら、ここも嬉しそうに涎が出てる」
「やだぁ」
悲鳴を上げる自分の声が女の子みたいで、省吾は恥ずかしさと悔しさで涙をにじませた。
汚れると悪いからとこの体勢になる前に半ば無理矢理脱がされたズボンとトランクスは無情にも床の上に放られたままだ。
情けなくも裸の下半身の中央、薄い茂みから立ち上がって存在を訴える省吾の可愛らしい彼自身の先端は弘明の言葉通り、透明な液体を滲ませていやらしく光っている。
「今日は何回ここだけでイケるかな」
「んんんっ」
さっきまで内側に隠れていた乳首の側面は敏感だ。摘ままれ、まるで扱くように上下にさすられるだけで省吾の腰が甘えるように浮いて揺れる。その動きに合わせて、先端の滴りが溢れて白い太股を汚した。
耐え切れないように体をのけぞらせる省吾の首筋に頬を寄せている弘明は、細い首筋や耳朶を舌先で舐めるのも忘れない。濡れた熱い粘膜質な刺激にすら、省吾は呼吸を乱すのだった。
数回の刺激で顔を出すようになったとはいえ、平時はいつまでも真一文字な自分の乳首が省吾は憎らしくてたまらなかった。これさえ平凡なかたちをしていれば、弘明にこんなことをされずに済むのに、と。しかしそう考えると胸の奥が苦しいほどに痛くなるのが省吾は嫌だった。何が嫌なのか分からないほどに嫌で、与えられる刺激で早くぐずぐずに溶かして欲しくなる。
「きゃんっ」
そんな省吾の心を読んだように、弘明が爪先を乳首の先端に付きたてた。せっかく露出した先端が埋まるのではないかと思う程の刺激に、省吾は頭の奥が真っ白になるほどの衝撃を感じ、数秒遅れて省吾の先端から白い精液が飛ぶように吐き出される。
「ひ、あああっ」
吐精の衝撃に省吾が身を震わせていると、弘明はシーツに飛散したそれをじっと見つめ、口の端を吊り上げる。
「やっぱり三回目だと薄くなるね」
弘明の楽しそうな声に省吾は答える体力もないのか、身体を弛緩させその腕の中で荒い呼吸を繰り返していた。細かく痙攣する細い足は、もう逃げだすなんて考えないだろうと弘明は捕まえていたからだを解放し、ベッドに横たえる。
「ヒロくん」
本人は意図していないのだろうか、達した後に弘明を呼ぶ省吾の声は甘ったるくて、彼の雄をいやという程に刺激する。欲情で溢れた唾液を嚥下し、弘明はズボンとトランクスを一気に脱ぎ捨てる。
痛いほどに立ち上がった自分を軽くしごき、用意してあったコンドームをかぶせた。表面に大量の潤滑液が塗布されたタイプのそれは、ぬるぬるといやらしく光っている。
「ひっ」
弘明の状態に気が付いた省吾が悲鳴を上げ身体を固くするが、すでに遅い。散々に弄ばれ、抵抗する体力を奪われた身体は弘明のものだ。軽々と片足を持ち上げられ、足を大きく開かせられる。省吾自身は既に硬さを失って、茂みの中に力なく倒れている。それに反比例するように弘明の欲望は凶悪だ。
同い年の男なのに何故、と省吾はいつもこの瞬間に言い様のない屈辱感を味わう。それと同時に、あれが自分の中に入ったらどうなるのか、という恐怖と期待で感情がめちゃくちゃになり、理由が定まらない涙が勝手に溢れてしまう。
弘明はそんな省吾の涙と表情がたまらなく好きだった。だからいつも挿入の瞬間は省吾に見せつける様な正常位ばかりを好む。背後から予告なく貫く瞬間の悲鳴や締め付けも好きだったが、やはり弘明が好むのは怯えと羞恥と期待が入り混じった可愛い省吾の顔なのだ。
「んんっつ!!」
「だいぶ柔らかくなったよねぇ」
「や、だぁ、ヒロく、ん、だめ、そこ」
ノックをするように弘明の先端が省吾に軽く入り込む。既に指で散々弄ってほぐされていた後孔は、事前に押し込まれていた潤滑剤のカプセルが熱で溶け、まるで愛液のように滴り始めていた。いったいどこでこんなものを仕入れてくるのかと省吾は弘明に問いただしたかったが、聞いたら余計に恐ろしいものを挿入されそうで、結局は聞けないままだ。
「ほら、ゆっくり息を吐いて。痛いのは嫌だろう?」
「ん、ふ、くぅん…」
言われるがままに甘い吐息を吐き出す省吾に弘明は優しく微笑みながら、ゆっくりと腰を押し進める。何度も繰り返された行為で慣らされた後孔は、省吾の戸惑いとは真逆に弘明の熱をしっかりと飲み込んでいく。
「あ、あんああっ」
半分ほど飲み込んでしまえばあとは弘明の腰の動きに翻弄されるだけだ。浅い抽挿を繰り返してから根元まで押し込まれ、まるで省吾の内壁が痙攣するのを愉しむかのようにわざと動かず、力を失っている身体を舐めて撫でまわし、最弱の箇所である乳首を弄るのだ。
「ひ、いいんっ!」
そうすれば省吾は可愛らしい悲鳴を上げて身体を小魚の様に跳ねさせる。それに連動して自分を強く締め付けてくる感触が弘明は一番好きだった。
省吾の身体は弘明によって作り換えられ、彼が彼に触れられていない場所など爪の先程も残されていなかった。
乳首への治療と称して行われた開発により、省吾の乳首は弘明の愛撫なしではいられない場所になったし、弘明も省吾という甘美な味を知らない人生にはもう戻れない。
人前では幼い頃からの親友という立場を貫き、彼らは変らず無邪気な態度で日常を過ごしていた。
しかし、二人きりになればいつだって弘明は省吾の身体に不埒な指を伸ばし、省吾は与えられる快楽に蕩けて弘明にすがりつくしかない。
不道徳で不健全な関係に省吾は胸を痛め、自らの身体が持って産まれた不具合が弘明の人生を狂わせてしまったという罪悪感に苦しんでいた。治療のせいで弘明の性癖が歪んでしまった、と。だから自分に弘明を拒む資格はない。彼の欲望を満たす事でしか、この咎は消えないと考えていた。
弘明は、省吾が陥没乳首であったという神のデザインに心から感謝していた。でなければ、弘明は省吾への欲望や嗜虐欲を自覚するのが遅れ、彼を他の平凡な女に掠め取られていたかもしれないのだから。この愛らしい泣き顔を見るのは自分だけでいいという歪んだ独占欲はいつになっても満たされる事が無い。
「ほんとエッチな身体に育ったよね。そんなにおいしい?俺のちんぽ」
「や、やだ、あああ、やぁだ」
揺さぶられながら涙をあふれさせる省吾は、もうまともな言葉は口にできない。最初は小さな抵抗を見せて閉じようとしていた太ももは、弘明の身体に甘えるように巻き付いている。
荒々しくなっていく腰の動きに省吾はひっきりなしに喘ぎ、弘明はその声にすら興奮して、満足するまでその体を抱きつぶすのだった。
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