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アーロン視点02
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最後にフローラと話した日は週の終わりだったから、そこから二日後シエナと街へデートに行った。
平民街なら問題ないとシエナが言っていたからだ。
彼女との楽しい時間を過ごした僕は、幸せな気持ちのまま屋敷に戻った。
でもいつもは忙しくなかなか会う事がない父上と母上、それに兄上までもが何故かロビーにいた。
「ただいま戻りました。父上、母上それに兄上もみんな揃っているなんて今日は珍しいですね、何かあったのですか?」
そう言った僕は何も間違ってはいないはずだ。だって普段全員が揃う事なんてないんだから。なのに三人は軽蔑した目線を僕に向ける。意味が分からない。戸惑っていると兄上がおもむろに口を開いた。
「……アーロン、今までどこに行っていたんだ?」
「今日は友人と街に遊びに行っていたんです。きちんと事前に報告しましたよ?」
「その友人と言うのは男爵令嬢のシエナ・バーンズか?」
「っ!どうしてそれを……」
思わずそう言ってしまった僕に対し兄上が眉を顰めて、
「やはりか。お前の婚約者であるフローラ嬢の家から婚約解消の申し出があり、エバンズ伯爵が今日我が家に来た。お前の学園での振る舞い、フローラ嬢に対する不誠実な行動。そして彼女に何の落ち度もないのに一方的に悪者に仕立て上げた事、全て聞いたよ。お前は一体何様なんだ」
いつもは穏やかな兄が、あんなに冷たい眼差しで僕を見ている事が信じられなかった。いつも僕が何かをやらかしても、あんな目で見られた事は一度だってなかったのに。
「フローラが僕とシエナの関係を、いちいち勘ぐってくるから否定しただけです!何度も何度もしつこかったからきつく注意をしただけで、どうして婚約解消になるんですか!?僕は悪くない!」
僕には本当に理解出来なかったから、そう叫んだ。
でも両親も兄上も、全く理解出来てない表情で、
「何の落ち度もない婚約者を悪者にして、男爵令嬢との不貞に溺れていたくせに何が僕は悪くない!ですか。何も理解出来ない。いえ、理解しようとしないのはいい加減よしなさい!」
母上にまでそう言われ、僕はますます意味が分からなった。
「フローラとはいずれは結婚するんです、学園の間だけ本当に愛するシエナと、共に過ごして何が悪いんです?!シエナと結婚出来ないのは分かっています。だからこそ学園の中だけでは自由でいたかったのに」
その時、今まで黙っていた父上が突然口を開いた。
「結婚はできるぞ」
「………え?でもシエナは庶子で……」
「庶子なのはどうでもいい。相手の男爵令嬢は後継ではないから継ぐ家はない。あの家には跡取りの男児がいるからな。なら継ぐ家のないお前と男爵令嬢で婚姻を結び、二人で平民になったらいい。次男以降の男は貴族に婿入り出来なければ皆平民になるのだから。いいじゃないか、二人で平民になれば。婚約者を蔑ろにし、あまつさえ悪者に仕立て上げてまで望んだ相手なのだろう?」
全く目が笑っていない顔で、微笑みながら父上が言う。
「あ、いやちがっ」
「そうですね、父上。フローラ嬢との婚約も解消となってしまった事ですし、もう誰も二人の邪魔をする者などおりません。せっかくなので二人の恋が成就するように我々が手助けしましょう」
「ああ、そうしよう。よかったな、アーロン。お前がフローラを捨てて手に入れた本当に愛する人と幸せになれるぞ。それと、平民になるのだから学園に通う必要もないだろう。週明けからは通わなくていい。お前は平民になる準備をしないといけないからな。男爵令嬢の家にも連絡を入れなければ」
父上、母上それに兄上までもが僕が平民になる事をとても楽しそうに話している。
こんな事間違ってる!!
「待ってください!僕は平民などになりたくありません!きちんと卒業後、フローラと結婚する予定だったんです。フローラはきっと臍を曲げているだけです。今から彼女の所に行って、きちんと話をしてきます。だから平民になどと言わないでください!」
しかし、三人は更に軽蔑した眼差しになり、
「婚約は既に解消されている。お前がエバンス伯爵邸に行って話をしても、婚約解消がなかった事にはならない。それにこれはお前が選んだ道だ。自分の言動、行動には責任を持て。話は以上だ、今すぐ荷物をまとめろ。いいか、これは命令だ」
そう言って三人は、楽しそうに話しながらその場を後にした。
残された僕は絶望でその場に崩れ落ちた。
どうしてこうなった?
一体どこで間違えたのだろう?
だってフローラとは結婚するんだから、恋愛してみたいと言う希望くらい叶えてくれたって良かったじゃないか。
何で……
どうして……
でもいくら考えても、僕には答えが分からなかった。
平民街なら問題ないとシエナが言っていたからだ。
彼女との楽しい時間を過ごした僕は、幸せな気持ちのまま屋敷に戻った。
でもいつもは忙しくなかなか会う事がない父上と母上、それに兄上までもが何故かロビーにいた。
「ただいま戻りました。父上、母上それに兄上もみんな揃っているなんて今日は珍しいですね、何かあったのですか?」
そう言った僕は何も間違ってはいないはずだ。だって普段全員が揃う事なんてないんだから。なのに三人は軽蔑した目線を僕に向ける。意味が分からない。戸惑っていると兄上がおもむろに口を開いた。
「……アーロン、今までどこに行っていたんだ?」
「今日は友人と街に遊びに行っていたんです。きちんと事前に報告しましたよ?」
「その友人と言うのは男爵令嬢のシエナ・バーンズか?」
「っ!どうしてそれを……」
思わずそう言ってしまった僕に対し兄上が眉を顰めて、
「やはりか。お前の婚約者であるフローラ嬢の家から婚約解消の申し出があり、エバンズ伯爵が今日我が家に来た。お前の学園での振る舞い、フローラ嬢に対する不誠実な行動。そして彼女に何の落ち度もないのに一方的に悪者に仕立て上げた事、全て聞いたよ。お前は一体何様なんだ」
いつもは穏やかな兄が、あんなに冷たい眼差しで僕を見ている事が信じられなかった。いつも僕が何かをやらかしても、あんな目で見られた事は一度だってなかったのに。
「フローラが僕とシエナの関係を、いちいち勘ぐってくるから否定しただけです!何度も何度もしつこかったからきつく注意をしただけで、どうして婚約解消になるんですか!?僕は悪くない!」
僕には本当に理解出来なかったから、そう叫んだ。
でも両親も兄上も、全く理解出来てない表情で、
「何の落ち度もない婚約者を悪者にして、男爵令嬢との不貞に溺れていたくせに何が僕は悪くない!ですか。何も理解出来ない。いえ、理解しようとしないのはいい加減よしなさい!」
母上にまでそう言われ、僕はますます意味が分からなった。
「フローラとはいずれは結婚するんです、学園の間だけ本当に愛するシエナと、共に過ごして何が悪いんです?!シエナと結婚出来ないのは分かっています。だからこそ学園の中だけでは自由でいたかったのに」
その時、今まで黙っていた父上が突然口を開いた。
「結婚はできるぞ」
「………え?でもシエナは庶子で……」
「庶子なのはどうでもいい。相手の男爵令嬢は後継ではないから継ぐ家はない。あの家には跡取りの男児がいるからな。なら継ぐ家のないお前と男爵令嬢で婚姻を結び、二人で平民になったらいい。次男以降の男は貴族に婿入り出来なければ皆平民になるのだから。いいじゃないか、二人で平民になれば。婚約者を蔑ろにし、あまつさえ悪者に仕立て上げてまで望んだ相手なのだろう?」
全く目が笑っていない顔で、微笑みながら父上が言う。
「あ、いやちがっ」
「そうですね、父上。フローラ嬢との婚約も解消となってしまった事ですし、もう誰も二人の邪魔をする者などおりません。せっかくなので二人の恋が成就するように我々が手助けしましょう」
「ああ、そうしよう。よかったな、アーロン。お前がフローラを捨てて手に入れた本当に愛する人と幸せになれるぞ。それと、平民になるのだから学園に通う必要もないだろう。週明けからは通わなくていい。お前は平民になる準備をしないといけないからな。男爵令嬢の家にも連絡を入れなければ」
父上、母上それに兄上までもが僕が平民になる事をとても楽しそうに話している。
こんな事間違ってる!!
「待ってください!僕は平民などになりたくありません!きちんと卒業後、フローラと結婚する予定だったんです。フローラはきっと臍を曲げているだけです。今から彼女の所に行って、きちんと話をしてきます。だから平民になどと言わないでください!」
しかし、三人は更に軽蔑した眼差しになり、
「婚約は既に解消されている。お前がエバンス伯爵邸に行って話をしても、婚約解消がなかった事にはならない。それにこれはお前が選んだ道だ。自分の言動、行動には責任を持て。話は以上だ、今すぐ荷物をまとめろ。いいか、これは命令だ」
そう言って三人は、楽しそうに話しながらその場を後にした。
残された僕は絶望でその場に崩れ落ちた。
どうしてこうなった?
一体どこで間違えたのだろう?
だってフローラとは結婚するんだから、恋愛してみたいと言う希望くらい叶えてくれたって良かったじゃないか。
何で……
どうして……
でもいくら考えても、僕には答えが分からなかった。
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