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11.いつもと違う
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「だから、何でもないんだってば」
私はおにぎりを頬ばりながら琴乃に言う。
「ほんとに?」
「ほんとだって」
岡本君との一件。
普段は私の言葉を素直に受け止めてくれる琴乃だが、今回はいぶかしに何度も聞いてくる。
「ならいいけどさー。桜もさ、もう高三でしょ。誰かいないの、好きな人とか?」
ああ、そういうことか。
「琴乃、もしかして岡本君のこと好きなの?」
私が直接的な言葉をぶつけると、琴乃は飲んでいた野菜ジュースを噴き出した。
「や、やだなぁ。そんなわけないでしょ。急に変なこと言い出さないでよ」
そういう琴乃の目は泳いでるし、笑顔は引きつっている。
「だって、前に連ドラの話したとき岡本君の名前出してたから」
「あれは例えばの話だよ」
「じゃあ、琴乃が好きなのは誰なの?」
「いないよ、そんな人」
「恋したくなったって言ってたのは?」
「したくなったって言っただけでしたとは言ってないでしょ」
琴乃にしては珍しく語気を強めて反論してくる。
普段はもっと余裕をもって間延びさせながら答えるのに。
「でもさ、桜。岡本はさすがにやめときなよ。あいつ色んな女子からモテるから、倍率すごいよ。それに、桜とは合わないんじゃないかな」
「ない、絶対にないから!やっぱ変だよ、琴乃。私と岡本君に限ってそんなことあるわけないでしょ」
「私は桜が心配なの。岡本は色んな女子にちょっかい出すから、普段あんまり男子とかかわらない桜が勘違いしちゃうんじゃないかって」
「安心して。あり得ないから」
「気をつけなよ」
琴乃はまた念を押してくる。
「もういいでしょ。それより、私の隣の家の人の話聞いてよ。昨晩も遅くまでお風呂で歌っててさ……」
私は話を変えた。これ以上この話を引きずりたくなかった。
私はおにぎりを頬ばりながら琴乃に言う。
「ほんとに?」
「ほんとだって」
岡本君との一件。
普段は私の言葉を素直に受け止めてくれる琴乃だが、今回はいぶかしに何度も聞いてくる。
「ならいいけどさー。桜もさ、もう高三でしょ。誰かいないの、好きな人とか?」
ああ、そういうことか。
「琴乃、もしかして岡本君のこと好きなの?」
私が直接的な言葉をぶつけると、琴乃は飲んでいた野菜ジュースを噴き出した。
「や、やだなぁ。そんなわけないでしょ。急に変なこと言い出さないでよ」
そういう琴乃の目は泳いでるし、笑顔は引きつっている。
「だって、前に連ドラの話したとき岡本君の名前出してたから」
「あれは例えばの話だよ」
「じゃあ、琴乃が好きなのは誰なの?」
「いないよ、そんな人」
「恋したくなったって言ってたのは?」
「したくなったって言っただけでしたとは言ってないでしょ」
琴乃にしては珍しく語気を強めて反論してくる。
普段はもっと余裕をもって間延びさせながら答えるのに。
「でもさ、桜。岡本はさすがにやめときなよ。あいつ色んな女子からモテるから、倍率すごいよ。それに、桜とは合わないんじゃないかな」
「ない、絶対にないから!やっぱ変だよ、琴乃。私と岡本君に限ってそんなことあるわけないでしょ」
「私は桜が心配なの。岡本は色んな女子にちょっかい出すから、普段あんまり男子とかかわらない桜が勘違いしちゃうんじゃないかって」
「安心して。あり得ないから」
「気をつけなよ」
琴乃はまた念を押してくる。
「もういいでしょ。それより、私の隣の家の人の話聞いてよ。昨晩も遅くまでお風呂で歌っててさ……」
私は話を変えた。これ以上この話を引きずりたくなかった。
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