上 下
7 / 8

やめて! エッチな攻撃は苦手なの

しおりを挟む
「わたしをどうするつもりなの?」

 妖魔に捕えられて窮地に陥ったわたしの口から思わず、そんな言葉が飛び出していた。敵に対してそんな事聞いてみたところで、どうなるものでもなかったのに。

「グフフ、わからんのか。パンツが見えるミニスカなんか着てる正義のヒロインが、負けて敵に捕まったら、いろいろとエッチな事をされると、相場は決まってるだろう」

 やっぱりか……予想していた通りの妖魔クラーケンからの答えに、わたしは頭がクラクラしてきた。エッチな事とは? 全裸にされたり、貞操を奪われたりしてしまうのだろうか? しかし、このような下劣な者から辱めを受けるくらいなら、死んだ方がましだった。

「くっ、殺せ!」

 わたしの口からは、思わずそのような過激な言葉が飛び出していた。だが、これは本気で死ぬというより、わたしのような高貴な立場の女騎士が性的な辱めを示唆された時に、それを拒む意思を示す常套句のようなものだった。

 しかし、それを聞いた妖魔は、わたしを小馬鹿にする様な口調で

「そんなに死にたいなら殺してやってもいいぜ、ただし、オレ様がお前にいろいろとエロい事をして存分に楽しんだ後にしてもらうからな」

 わたしの心底を見透かしたかのように、挑発してきた。ほんとうに憎たらしい奴だ。だが、いくらバカにされても、わたしは以前の世界では公爵令嬢だったという誇りだけは失っていないつもりだった。

(ダメッ! こんな低劣な辱めなど受けてはならないわ)

 だが、いくら心の中で焦っても、どうにもならなかった。体の自由を奪われいくらもがいても身動き一つできない。完全に相手の思うがままだった。

「フフ、そろそろいくか」

 クラーケンがそう言うとスカートをめくられているわたしの股間に向かって、ヌメヌメとして波打ちながら、いやらしい妖魔の新しい触手が近づいてきた。

「ああっ! いやっ!」

 プリティレッド絶体絶命だ。もう絶望なのか、どんなことをされてしまうのか? わたしは目をつぶった。

「ギャアアッ!」

 だが、わたしが目を閉じた次の瞬間に、妖魔の悲鳴が轟いた。

「えっ! 何が起こったの?」

  再び、まぶたを開いたわたしの耳に飛び込んできた凛々しい声

「レッド、大丈夫ですか?」

 頼りになる仲間、シルビアの声だった。いやシルビアではない。青のコスチュームに身を包んだ魔法少女プリティブルーだ。彼女のレーザーブレードで妖魔の触手が切り裂かれたのだ。わたしは触手から解き放たれ、身体は自由を取り戻したのだった。

 そして、ブルーを筆頭に飛び込んできた新たな戦士たち。緑、桃、白のコスチュームを身にまとっている。アデルのプリティグリーン、クラリスのプリティピンク、シモーヌはプリティホワイトだ。これで5人の魔法少女がこの場に勢ぞろいしたのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で勇者をやって帰ってきましたが、隣の四姉妹の様子がおかしいんですけど?

レオナール D
ファンタジー
異世界に召喚されて魔王を倒す……そんなありふれた冒険を終えた主人公・八雲勇治は日本へと帰還した。 異世界に残って英雄として暮らし、お姫様と結婚したり、ハーレムを築くことだってできたというのに、あえて日本に帰ることを選択した。その理由は家族同然に付き合っている隣の四姉妹と再会するためである。 隣に住んでいる日下部家の四姉妹には子供の頃から世話になっており、恩返しがしたい、これからも見守ってあげたいと思っていたのだ。 だが……帰還した勇治に次々と襲いかかってくるのは四姉妹のハニートラップ? 奇跡としか思えないようなラッキースケベの連続だった。 おまけに、四姉妹は勇治と同じようにおかしな事情を抱えているようで……? はたして、勇治と四姉妹はこれからも平穏な日常を送ることができるのだろうか!? 

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

完)まあ!これが噂の婚約破棄ですのね!

オリハルコン陸
ファンタジー
王子が公衆の面前で婚約破棄をしました。しかし、その場に居合わせた他国の皇女に主導権を奪われてしまいました。 さあ、どうなる?

戦艦大和、時空往復激闘戦記!(おーぷん2ちゃんねるSS出展)

俊也
SF
1945年4月、敗色濃厚の日本海軍戦艦、大和は残りわずかな艦隊と共に二度と還れぬ最後の決戦に赴く。 だが、その途上、謎の天変地異に巻き込まれ、大和一隻のみが遥かな未来、令和の日本へと転送されてしまい…。 また、おーぷん2ちゃんねるにいわゆるSS形式で投稿したものですので読みづらい面もあるかもですが、お付き合いいただけますと幸いです。 姉妹作「新訳零戦戦記」「信長2030」 共々宜しくお願い致しますm(_ _)m

貴方といると、お茶が不味い

わらびもち
恋愛
貴方の婚約者は私。 なのに貴方は私との逢瀬に別の女性を同伴する。 王太子殿下の婚約者である令嬢を―――。

SEVEN TRIGGER

匿名BB
SF
20xx年、科学のほかに魔術も発展した現代世界、伝説の特殊部隊「SEVEN TRIGGER」通称「S.T」は、かつて何度も世界を救ったとされる世界最強の特殊部隊だ。 隊員はそれぞれ1つの銃器「ハンドガン」「マシンガン」「ショットガン」「アサルトライフル」「スナイパーライフル」「ランチャー」「リボルバー」を極めたスペシャリストによって構成された部隊である。 その中で「ハンドガン」を極め、この部隊の隊長を務めていた「フォルテ・S・エルフィー」は、ある事件をきっかけに日本のとある港町に住んでいた。 長年の戦場での生活から離れ、珈琲カフェを営みながら静かに暮らしていたフォルテだったが、「セイナ・A・アシュライズ」との出会いをきっかけに、再び戦いの世界に身を投じていくことになる。 マイペースなフォルテ、生真面目すぎるセイナ、性格の合わない2人はケンカしながらも、互いに背中を預けて悪に立ち向かう。現代SFアクション&ラブコメディー

スカイアーツ・ヴァルキュリア

月天下の旅人
SF
スカイアーツ、それはモジュールインターフェイスシステムで手足のように動かせるロボット。 手足のように扱うという都合上本来戦闘には不向きな人型であるが、 それを補えるほどに高い飛行能力と耐久性を兼ね揃えている。 インターフェイスのCPUを兼ねた動力源である『リンクシード』は、 スカイアーツ開発者の折谷 明日夢(おりたに あすむ)にも不明な点が多い。 いとこにして伝説的なスカイアーツパイロットである白夜 律(びゃくや りつ)に休日を満喫してもらうため、 彼女のために料理を作ろうとしていた少年である白夜 涼はひょんなことからスカイアーツを動かしてしまう。 そして彼は女の子として、スカイアーツパイロット養成を目的として作られた学校に入学することとなる。 果たして、白夜涼の運命は? R指定はありませんが、少年マンガレベルの性的描写はあるのでご注意ください。 8/25 ストックは一応ありますが、別作品の執筆に集中したいので一旦完結とさせていただきます。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

処理中です...