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第7話 チンピラ撃退

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 【新作】

【オンボロ剣】も全て【神剣】に変える最強術者 

 新感覚のスキルで面白いファンタジー小説になってます。どうぞ読んでみてください。



『転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件』
 を新作連載しました。

 こちらも爽快で、主人公最強の冒険ファンタジーとなっておりまして、テンポよく1話1500字で毎日更新していきます。
 是非読んで見てください。
 




 
 俺は異世界から自室へと転移した後、ステータスを確認する事にした。

「レベルは10も上がっているな」

 スライム100匹の討伐はかなり経験値が入ってくれたのか、Lv.15になっていた。
 
 未だにレベルが上がった事により恩恵が何なのかわからないのだが、まぁそれは追々わかることだろう。

 それに所持金もちゃんと円表記に戻っていた。

「冒険者としての1日の稼ぎは13000円か。まぁ、アルバイトよりかは割がいいって感じか」

 表記されているお金は呼び出すと、仕組みはわからないが簡単に引き出すことができる。

 俺は異世界に行ってからというもの、初の冒険と魔法の勉強に集中していたせいで、自分が何も食べていないという事に気づかなかった。


 ぐぅぅぅぅ。

 帰宅の安堵共に、何も吸収していない胃が音を上げる。
 
 地球での時刻は午後9時。
 
 普段は自炊をして、食費をなるべく節約しているのだが、この時間から何かを作ろうなんて気は起こらなかった。

 俺は冷蔵庫の中を開けて、何か食べれるものが無いか探ってみたが、奇跡的にこれといったものが見つからなかった。

「はぁ……コンビニでも行くか……」

 食べずに寝るという選択肢もあったのだが、今は無性にお腹が空いていたので、不思議と勝手にコンビニへと足が向いた。
 
 俺はサンダルを履き、夏にしては少し冷えた夜の外へと出る。

 コンビニは俺の家の近くすぐにあって、歩いて3分程である。

 コンビニが近づいてくると、コンビニの前から誰かが揉めているやうな声が聞こえてきた。

 何事だと思い、俺は少し早歩きで確認したところ、制服を着た女子高生といわゆるチンピラが悶着を繰り広げていた。


「君めちゃくちゃ可愛いじゃんかよ」

 女子高生の足先から舐めるように見るハデな柄を着た男。

 そして、それに対し嫌そうに見る女子高生。

 そして、その男に対し無視を決める女子高生。

「…………」

 無視された事に耐えかねた男は

「おい、お前。無視してんじゃねぇよ!」

 急に声を荒げる男に、恐怖を感じたのか震える女子高生。

 けれど、その女子高生も気が強いのか、恐怖を耐え殺して、

「う、うるさいわね!鬱陶しいから無視してるに決まってんでしょ!」

 震えた声で男へも怒りをぶつける。

 そして、逆に怒鳴られた男は、額に青筋を浮かべて、

「てめぇ、ちょっと可愛いからって調子乗ってんじゃねぇぞ」

 女子高生の怒鳴り声を凌駕する音量で、声を荒げるチンピラ。

 そして、怒鳴り声と共に女子高生へと手が伸びていく—————

 流石に気が強い女子高生も男が奮う暴力には耐性がないようで、

「きゃぁぁぁあ!」

 女子高生の悲痛の叫びが響き渡る。

 女子高生の頬へと伸びていく男の拳。
 
 だが頬へと接触しようとする前に、その挙動は止められた。

「おい、女の子に対して暴力を振るうのは流石に良くないだろ」

 男が女子高生を殴ろうとするのは流石に良くないと思ったので、止めに入る事にした。

 HPが無限にあるせいか、チンピラの渾身の拳も最も簡単に止めることができた。

 それに痛さも一切なかった。

 今までの自分であれば、自分の身が可愛いため、なるべく関わらないようにしていただろうが、今は何でか自信があった。

 突如、現れた俺に驚くチンピラと女子高生。

 そして、拳を止められたチンピラは

「な、な、なんなんだ!てめぇ!」

 チンピラは怒りの単細胞みたいなやつで、女子高生に対する怒りは俺へと向かってきた。

「流石に暴力は良くないと思って止めさせてもらったよ。君大丈夫?」

 俺は今にも襲われそうになっていた女子高生に声を掛ける。
 
 女子高生も突如、現れた俺に驚いていて、目をまん丸にしてコクンと頷く。
 
「テメェには関係ねぇだろ!どっか行けよ!」

 チンピラはあからさまにイラついている。

「関係なくないだろ。変なチンピラ男が女子高生を襲うとししている状況普通は見過ごせないだろ?」

 俺は冷静に状況をチンピラに言うが、完全に頭に血が昇りきってしまっているチンピラ。

「ち、チンピラ男だとぉ?」

 そして、チンピラの拳が次は俺の顔へと向かってくる。

 だがその拳は俺の顔へと到達することはなかった。

 俺は伸びてきた拳を簡単に片手で受け止める。

「いい加減やめろよ」

 俺は掴んだ拳を強く握る。
 握力が強くなっているのか、

「痛い痛い痛い………も、もう、やめてくれ」

 チンピラが膝を落として、拳の痛みを耐えている。

 俺は力加減が上手く出来なかった。
 チンピラの手を離すと、チンピラは握り潰されそうになった手を確かめていた。

「これに懲りたらこういうことするなよ?」

 ヒィィッ!

 俺が強めの口調で、チンピラにいうとチンピラは怯えているのか、お尻で後退りながら、逃げるように去っていった。

 チンピラの逃げる後ろ姿を拝んだ俺と女子高生。

 女子高生はチンピラが去っていった後。

「あ、ありがとうございました」

 深々と頭を下げてお礼を言う。

 今回は俺が奇跡的に通りかかって、仲裁することが出来たが、

「全然いいよ、君が無事で良かった。けれど、あいつみないなやつを挑発するのはやめといた方がいい。いくら虚勢を張っても、男に力では勝てないからね」

 俺が女子高生にそういうと今回の恐怖で身に染みたのか

「……はい、ごめんなさい。気をつけます」

 素直に反省をしている様子の女子高生。

「本当に今回は君に何もなくて良かった。もう夜遅いし早く帰りな。良かったら家まで送っていくけど」

 俺がそういうと女子高生は首を横に振り、

「いえいえ、大丈夫です。もうそろそろ迎えが来るので」

 それなら大丈夫だ、と安堵する俺。

 すると、去り際女子高生は俺に

「すみません。あなたのお名前をお伺いしても宜しいですか?」

 名前を教えて何になるのかと思ったが、特に隠す必要もなかった俺は素直に名前を教える。

「ありがとうございます。成宮和也さんですね。今日は本当に助かりました。ではまた」

 彼女は優しげな笑みで俺に手を振る。

 またなんて機会はないだろうけど、なんて思いながら彼女に手を振り、見送る。

 そして、女子高生は黒塗りの車へと乗り込み、どこかへと去っていった。

 俺は彼女が去っていった後、なんだか高揚感に襲われながらコンビニへと入っていく。

 高揚感の正体はおそらく、初めて人と戦闘して勝ったことで、それに初めて女の子を救ったことだろう。

 少年漫画のような状況に差し当たり、ヒーローらしく切り抜けた自分の姿に酔ってしまったのだろう。

 俺はその夜、高揚感に苛まれて中々寝付けなかった。



 ⭐︎⭐︎⭐︎

 その次の昼。
 俺はいつも通りスーツを身に纏い、目の前にはヒレカツに齧り付いている後輩。

「なんですかぁ。そのヒーロー漫画みたいなテンプレ」

 俺はいつもの定食屋で茨木と会話していた。

 その内容は自分が女子高生をチンピラから救った話だ。

 自分が異世界に行っているという話はしていない。
 これは隠しておくべき事だと思う。

 俺の武勇伝に茨木はそんなの嘘だぁと言った感じで俺を茶化す。

「いやいや、本当だって。久しぶりに胸が高鳴ったよ」

 俺が昨日の出来事を茨木に話していると茨木は暖かい目を向けて、

「成宮先輩、なんだか今、すごい楽しそうですね」

 母親のような目で見てくる茨木がなんとかムカついたので、俺戻り際、茨木に理不尽に拳骨を落とす。

 そして、平日は会社員と過ごし、休日は冒険者として過ごしていく。

 そうして日々が1ヶ月ほど続き、俺は決めた。


 ————サラリーマンは辞めよう。





 
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