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第5話 冒険者
しおりを挟む【新作】
【オンボロ剣】も全て【神剣】に変える最強術者
新感覚のスキルで面白いファンタジー小説になってます。どうぞ読んでみてください。
『極悪奴隷商の悪役息子に転生したので、奴隷は売らずに大切に育てます』
『転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件』
を新作連載しました。
こちらも爽快で、主人公最強の冒険ファンタジーとなっておりまして、テンポよく1話1500字で毎日更新していきます。
是非読んで見てください。
鑑定が使えるようになってしまった俺に驚きを隠せない少女ミミ。
「え、カズヤさん鑑定が使えるようになったのですか? 鑑定はスキルなので使える筈はないのですか……」
少女のミミは、その真偽を疑いながら、俺に魔力草を探すように言う。
嘘だと思っていた少女ミミも、俺が先程とは、全く違うペースで魔力草を見つけることで、ようやく鑑定を身に付けたことを信じてくれた。
「す、す、凄いです……それも私より鑑定の精度がいい気がします……」
少女ミミは俺のことを褒め称えてはくれるものの、何となく寂しげな顔を浮かべている。
俺は鑑定の事をもっと深く知りたいため、ミミに鑑定の詳細を詳しく聞く。
ミミは少し寂しそうにしながらも丁寧に教えてくれる。
この子凄く良い子なんだなと思う。
「先程、【鑑定】はスキルという話はしましたよね? 私は【鑑定】のスキル持ちなので、スキルのお話をさせていただくと、このスキルは相手のステータスだったり、モンスターのステータスを表示することが出来ます。スキルの強さによってどこまで鑑定できるかは様々ですが、一般的にあまりにも格上の物だと鑑定できなくなってしまいます。これはMPの多さによって変わると言われています」
ミミの話はとても理解しやすかった。
要するに鑑定持ちでMPの所持量が多ければ多いほど、幅広い鑑定が出来るとのこと。
俺はミミの話を聞いて、気になった事を試してみる。
「少し試したいことがあるんだけど、やってもらっていいかな?」
俺がそういうと、少女はコテンと首を傾げて、
「一度俺のこと鑑定してみてくれないかな?」
俺がそう少女ミミに頼むと、
「【鑑定】してもいいんですか? 普通の方であれば鑑定されるのを嫌がりますが……」
これは当然のことだろう。
現代世界で言うなれば、勝手に名前や職業を知られているようなものだからだ。
たしかに、そうであれば嫌がる人が大半なのが頷ける。
そして、少女の説明が正しくて、俺の予想が正しいのであれば、おそらくだが俺のステータスは少女ミミには覗く事はできない。
「うん、大丈夫。一度、鑑定してみてくれる?」
俺が念押して少女に言うと、
「……は、はい。そこまでいうならやりますね———」
少女ミミの紅の瞳がうっすらと輝きだす。
俺は不意にも、その瞳の綺麗さに見惚れてしまった。
ミミは【鑑定】を発動した。
だがしかし
パリンッ!
「うわぁ! 弾かれちゃいました!」
少女ミミは驚いたように、目をパチクリ、パチクリさせていた。
「やっぱり覗くことが出来なかったみたいだね」
俺がそう言うと、少女ミミはこくりこくり首を縦に振っていた。
「お、驚きました……今まで文字化けしていた事はありましたけど、こんなふうに弾かれた事は一度もありませんでした……となると、カズヤさんのMPは尋常でもないということになりますね……」
ミミには俺のMPの尋常のなさには気付かれてはしまったが、流石にMPが無尽蔵にあるとは思いもしないだろう。
「うん、MPは人よりはたくさんあるみたいだね。そのおかげで【鑑定】が使えるようになったんだと思うけどね」
おそらくMPの多さが、【鑑定】に影響している事は間違いないと思う。
俺の説明にもミミはなるほどな、納得しているようだった。
意外と人っていうものはあり得ない物を見るとその後のことは簡単に信じてしまうものだな、なんて考える。
俺は自分の鑑定のことをさらに知るためにも
「君のステータスを一度見てみてもいいかな?」
俺がそういうと少女ミミは顔を真っ赤にして、腕をくねくねしながら、下を俯いて恥ずかしそうにして、
「え…………と、と、特別ですよ……」
少女は了承してくれた。
何故かそんな様子を見たせいか、背徳感に襲われた俺だったが、好奇心には抗えず、先程草を鑑定した時の容量で、目に力を込めるようにして覗き込む。
すると少女の頭上にうっすらと文字や数字が浮かび上がる。
_________________________________
【名前】ミミ (人族)
Lv.15/100
【HP】 30
【MP】50
【スキル】 鑑定
_________________________________
なるはど、こんなふうにステータスは浮かび上がるんだな。
それにしてもショックを隠せないのが、レベルだけであるがこの少女に負けてしまっている。
まだ異世界と出会ってから日も経ってないので仕方ないといえば仕方ないのだが、なんとなく情けない気持ちになってしまう。
これが意外と平均的な数値なのかな。
俺は少女のステータスを見て分析しようとするも、まだまだデータが足りないと思い、結論を下すのを先延ばしにした。
「スキルってのは誰でも皆一つは持っているものなの?」
そう聞くと、少女は首を横に振って
「いいえ……皆がスキルを持っているわけではないです……持っている人はスキル持ちって言われて、皆から特別扱いされます……」
となると、この少女ミミはスキル持ちで特別扱いされている、はず……だがそれなのにされていない……
どこかに理由があるのだろう。
流石に俺もそのデリケートのところを聞くほど野暮ではないので聞かないでおこうと思ったのだが———
「———実は、私、成長が凄く遅いんです……普通の人だったらレベルが上がる数を討伐をしても、わたしだけレベルが上がらないんです。凡そ2倍くらい余計に必要なんです。それにレベルが上がってもステータスの値が2ずつくらいしか上がってくれないんです……」
少女のミミは悲しそうに自分の現状を話す。
このレベルやステータスのある世界で成長が遅いという事は非常に致命的だろう。
「聞きにくいんだけど、普通の人ならステータスはどれくらい上がるのかな?」
「普通の人だと1レベル上がると10くらいは上がります」
「な、なるほど………」
俺はあまりの差に驚きを隠せない。
レベルが上がるのに普通の人より2倍の討伐数が必要な上に、さらに成長率が5分の1。
となると成長の悪さで人より10倍であるということだ。
なんだよ、その無理ゲーは。
そして、最大レベルが100。
となるとレベルがマックスになっても常人のレベル20程度にしかなれないということ。
だからスキル持ちだというのに、荷物持ちをしていたということだ。
この世界の知識がほぼ壊滅的な俺はこの少女ミミに関して、してあげられることがない。
けれどここまで優しく、この世界のことを教えてくれて、加えて【鑑定】を教えてくれた子に対して、何もしないというのは俺の自尊心が許さない。
俺はこの子の為に、色々と模索して解決策をいつか見つけることを心の底で約束した。
暗くなってしまった空気を、本当は辛いはずである少女が明るくしようとしてくれる。
「じゃあ薬草もたくさん集まりましたし、次はスライムを倒しに行っちゃいましょうか?」
俺はそんな少女の雰囲気に助けられて、
「うん、そうしよう」
スライム討伐を目指す。
鑑定に助けられて沢山のスライムとエンカウントを果たした。
俺は以前と同じようにRPG、お馴染みの米粒大のファイアボールを作り出し放つ。
エンカウントするたびに米粒大のファイアボールを放ちまくり、スライムを大量に殺戮した。
以前は倒すのに時間がかからなかった。
けれど今回はエンカウントまでの時間がさらに短縮できたので、およそ1時間で10倍の数、100匹のスライム討伐を果たした。
「か、か、カズヤさんのMPは本当に凄いみたいですね……こんなにファイアボールを放つ人初めて見ました」
少女ミミはまたも自分の常識を覆され、驚き疲れてしまった。
「よし、これで丁度、スライム100匹達成かな」
スライムからドロップした魔石はミミが拾ってくれているみたいで、
「そうですね、今日はそろそろ帰りましょうか」
俺は薬草採取、スライム討伐をある程度達成したところで、街へ戻ることにした。
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