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柘榴
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柘榴。夏に花をつけて、秋に丸い実をつける。実が熟すと、裂けて種子が顔を出す。
私の顔半分は、真っ赤に熟れた実がぬらぬらと輝いている人工の柘榴。
私の恋人は人を痛めつけるのが好きな人だった。中でも私は特別。彼は私を虐げることにかけてはどんな労力も惜しまなかった。
私を殴るために金属バットを新調したし、私に食べさせるために沢山の幼虫を手に入れた。
それら全てが私への愛情なのだと思ったら、なんだかとても気分が高揚する。
同棲している家の冷たい床の上で無抵抗に殴られている時、私の膣からは愛液が溢れ出す。
彼が私だけを見ている。私に、夢中になっている。
彼は私を慈しむような目で見て、いつだって甘い声音で囁く。
「愛してるよ」
そう、私の顔を柘榴にしている時もそう言っていた。
その日、彼はホームセンターの大きな袋を持って帰って来た。
「それ、なあに?」
私が甘えた声で彼にしなだれかかると、彼は微笑んで言った。
「今からね、君をひどく醜くするよ」
彼は私を乱暴に椅子に縛り付けた。私の口から、妖艶な吐息が漏れる。
彼は袋から、丈夫そうなピーラーを取り出した。
迷わず私の顔にあてがう。
なんの躊躇もなく、丁寧に皮を剥がしていった。
私はあまりの痛みに呻き声を上げ、顔をしかめた。
「駄目だよ。顔をしかめては。綺麗に皮が剥がれないじゃないか」
彼は膨張した男性器を私の太ももに擦り付けながら、皮膚を剥がし続ける。
私はとうとう悲鳴をあげた。目から涙が滲み出る。
「大丈夫だよ。君はもう外には出られないけれど、僕がきちんと面倒を見てあげる」
彼は息を荒くしていた。
顔半分の皮膚を剥がし終わると、今度は大量の凧糸を取り出した。
皮膚を剥がされて露わになった私の肉の上から、それを縛り付けていく。
網目状に、何本も、何本も。
肉が糸の隙間から溢れる。糸は私の血で染まり、肉がいくつも浮き出しているように見える。
私は悲鳴をあげる事も出来なくなり、気色の悪い喘ぎ声を唾液とともに吐き出す。
「君に何をしてあげようと思って外を散歩していたんだ」
偏執的なまでに糸を強く引っ張る。締め付けられるたびに、私は小さく唸る。
「そしたら、そしたらね。木に柘榴がなっていたんだ。柘榴…柘榴だよ!君の顔半分は、今から柘榴になるんだ!」
最後の糸を思い切り結びつけた時、彼の男性器はより一層大きくなった。
最後に袋から取り出したのはニスと刷毛だった。赤みがかったニス。流れ出る私の血と区別がつかなくなりそうだ。
彼は刷毛をニスの缶に無造作に突っ込んで、私の肉の上から丁寧に塗りつけた。
その作業は、夕方から夜が明けるまで延々と繰り返された。
私の顔からは組織液の洪水が流れ、膿が異臭を発していた。
ついに完成した時に、彼は果てた。男性器は小さく萎んで、私はそれをそっと撫でた。
「君の名前を僕はもう呼ばないよ。新しい名前をあげる。君は今日から柘榴だ」
彼がそう言った時、私は全身にゾクゾクとするような快感を覚えた。
彼は、私を改造し、私に名前を与えた。
まるで彼から生まれたみたいだ。
ダラダラと愛液が流れ出す。
「柘榴。君は、君は醜いよ」
彼は恍惚の表情で私の顔半分を舐め、私を強く抱きしめた。
それから、私は自宅で鎖に繋がれている。
「ただいま」
「おかえりなさい」
彼は仕事から帰ってくると、必ず私の顔に丁寧にニスを塗った。
ニスを塗り終わると、ベルトを外して私を隅々まで叩く。
私は四つん這いになって、矯正をあげる。
これは一つの儀式だ。彼が私を愛するための、大切な儀式。
「ねえ、私のこと、好き?」
「ああ、好きだよ。愛しているよ」
そんなやりとりをして、私は床の上で静かに眠る。彼は、私の柘榴の実を気がすむまで撫で回す。
こんな日々を私は愛していたのに。
彼はある日、女を連れてきた。
私はカッと頭に血がのぼるのを感じた。
彼が、その女の肩を親しげに抱いていたから。
女は私を見ると、嘲るような笑みを浮かべた。
「あら、やだ。面白いものってこれ?すごく気持ちが悪いわ」
彼は女を抱きしめ、その腰を撫でる。
「僕が作ったんだよ。愛してるって嘯いてりゃ、なんでもさせてくれるんだ。面白いだろ?」
女はくすくすとせせら笑う。
「可哀想よ」
そのまま二人は愛し合い始めた。私の目の前で。
世界が真っ暗になっていく。
私は二人の姿を凝視しながら涙を流した。
汚らしい嗚咽が漏れる。
それでも、鎖で繋がれた私は逃げる事も出来ずにその場で泣き続けた。
彼にニスを塗って貰えない私の皮膚はひどく醜く黒ずむ。
私の柘榴は腐っていく。
私の顔半分は、真っ赤に熟れた実がぬらぬらと輝いている人工の柘榴。
私の恋人は人を痛めつけるのが好きな人だった。中でも私は特別。彼は私を虐げることにかけてはどんな労力も惜しまなかった。
私を殴るために金属バットを新調したし、私に食べさせるために沢山の幼虫を手に入れた。
それら全てが私への愛情なのだと思ったら、なんだかとても気分が高揚する。
同棲している家の冷たい床の上で無抵抗に殴られている時、私の膣からは愛液が溢れ出す。
彼が私だけを見ている。私に、夢中になっている。
彼は私を慈しむような目で見て、いつだって甘い声音で囁く。
「愛してるよ」
そう、私の顔を柘榴にしている時もそう言っていた。
その日、彼はホームセンターの大きな袋を持って帰って来た。
「それ、なあに?」
私が甘えた声で彼にしなだれかかると、彼は微笑んで言った。
「今からね、君をひどく醜くするよ」
彼は私を乱暴に椅子に縛り付けた。私の口から、妖艶な吐息が漏れる。
彼は袋から、丈夫そうなピーラーを取り出した。
迷わず私の顔にあてがう。
なんの躊躇もなく、丁寧に皮を剥がしていった。
私はあまりの痛みに呻き声を上げ、顔をしかめた。
「駄目だよ。顔をしかめては。綺麗に皮が剥がれないじゃないか」
彼は膨張した男性器を私の太ももに擦り付けながら、皮膚を剥がし続ける。
私はとうとう悲鳴をあげた。目から涙が滲み出る。
「大丈夫だよ。君はもう外には出られないけれど、僕がきちんと面倒を見てあげる」
彼は息を荒くしていた。
顔半分の皮膚を剥がし終わると、今度は大量の凧糸を取り出した。
皮膚を剥がされて露わになった私の肉の上から、それを縛り付けていく。
網目状に、何本も、何本も。
肉が糸の隙間から溢れる。糸は私の血で染まり、肉がいくつも浮き出しているように見える。
私は悲鳴をあげる事も出来なくなり、気色の悪い喘ぎ声を唾液とともに吐き出す。
「君に何をしてあげようと思って外を散歩していたんだ」
偏執的なまでに糸を強く引っ張る。締め付けられるたびに、私は小さく唸る。
「そしたら、そしたらね。木に柘榴がなっていたんだ。柘榴…柘榴だよ!君の顔半分は、今から柘榴になるんだ!」
最後の糸を思い切り結びつけた時、彼の男性器はより一層大きくなった。
最後に袋から取り出したのはニスと刷毛だった。赤みがかったニス。流れ出る私の血と区別がつかなくなりそうだ。
彼は刷毛をニスの缶に無造作に突っ込んで、私の肉の上から丁寧に塗りつけた。
その作業は、夕方から夜が明けるまで延々と繰り返された。
私の顔からは組織液の洪水が流れ、膿が異臭を発していた。
ついに完成した時に、彼は果てた。男性器は小さく萎んで、私はそれをそっと撫でた。
「君の名前を僕はもう呼ばないよ。新しい名前をあげる。君は今日から柘榴だ」
彼がそう言った時、私は全身にゾクゾクとするような快感を覚えた。
彼は、私を改造し、私に名前を与えた。
まるで彼から生まれたみたいだ。
ダラダラと愛液が流れ出す。
「柘榴。君は、君は醜いよ」
彼は恍惚の表情で私の顔半分を舐め、私を強く抱きしめた。
それから、私は自宅で鎖に繋がれている。
「ただいま」
「おかえりなさい」
彼は仕事から帰ってくると、必ず私の顔に丁寧にニスを塗った。
ニスを塗り終わると、ベルトを外して私を隅々まで叩く。
私は四つん這いになって、矯正をあげる。
これは一つの儀式だ。彼が私を愛するための、大切な儀式。
「ねえ、私のこと、好き?」
「ああ、好きだよ。愛しているよ」
そんなやりとりをして、私は床の上で静かに眠る。彼は、私の柘榴の実を気がすむまで撫で回す。
こんな日々を私は愛していたのに。
彼はある日、女を連れてきた。
私はカッと頭に血がのぼるのを感じた。
彼が、その女の肩を親しげに抱いていたから。
女は私を見ると、嘲るような笑みを浮かべた。
「あら、やだ。面白いものってこれ?すごく気持ちが悪いわ」
彼は女を抱きしめ、その腰を撫でる。
「僕が作ったんだよ。愛してるって嘯いてりゃ、なんでもさせてくれるんだ。面白いだろ?」
女はくすくすとせせら笑う。
「可哀想よ」
そのまま二人は愛し合い始めた。私の目の前で。
世界が真っ暗になっていく。
私は二人の姿を凝視しながら涙を流した。
汚らしい嗚咽が漏れる。
それでも、鎖で繋がれた私は逃げる事も出来ずにその場で泣き続けた。
彼にニスを塗って貰えない私の皮膚はひどく醜く黒ずむ。
私の柘榴は腐っていく。
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