遠藤良二

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 僕らはみんな生きている、から始まる歌があったはずだ。そう、僕らは生きているのだ。

 誰もが生きたくても生きたくなくても、生きる権利はある。

 僕は21歳になる大学3年生の島崎彰(しまざきあきら)。いつも、こんな堅っ苦しいことばかり考えている。「生きるとは」をテーマにした本を自費出版だが本にしている。自費出版には数十万円かかった。大学生の僕は出版したくて、大学1年生の頃から学校が終わるとアルバイトを始めた。溜まったお金で本を出した。親には迷惑を掛けたくなくて出版したことは言っていない。でも、今度帰省する時は本を2冊持って読んでもらおうと思っている。驚くだろうなぁ。そう思うと嬉しくなった。

 僕の好きなことは、文章を書くこと。将来、文章を書いて生計を立てられたらいいなと思っている。
 でも、専業作家は一握りしかいないと聞いたことがある。確かにそうだろう。書いても売れないと収入にはならないし。だから兼業作家から始めようと思っている。

 そのために、出版社やネットで募集している公募に投稿をしている。だが、なかなか賞を取るまでには至っていない。難しい。むしろ、簡単なわけがない。

 今日から新作を書こうと思い、パソコンの電源を入れた。果たして閲覧数はどれだけ伸びるかが気になる。

 いつも使っているサイトを開き、まず設定を決めることにした。登場人物の設定と、物語の設定を。
 まずは、主人公を決めた。それから、主人公のプロフィールを決めていく。それから書いていく内に登場人物は増える。あと、表現も意識して比喩表現も取り入れる。それと、主語と述語が逆になる倒置法も使おう。

 僕はBGMにジャズを流して書き始めた。BGMがあった方がやる気も増す気がする。

 書いているジャンルは、ヒューマンドラマ。たまに自分で書いていて面白くない、と思って全部消去する場合がある。次、書く時は同じ失敗をしないように心がけている。それでも失敗を繰り返してしまう場合がある。そんな時は自分に腹が立つ。何て僕は無能なのだろう、と。でも、書くことをやめようとは思わない。好きだからやめられない。完結した作品は8作。ネット上になら小説を書く仲間はいる。たまに電話でやり取りをしている。執筆が行き詰った時や、完結して読んでもらいたい時などに通話する。仲間は4人いて、グループLINEでも繋がっている。もちろん、個別のLINEでも話せる。

 僕は今、大学の課題をしている。文学部を専攻している。結構、難しい。でも、文学は好きだから今まで頑張ってこれたと思う。それは、文章を書く上でもいい影響を及ぼしている。芥川龍之介や夏目漱石など文豪には興味がある。
 あと、歴史上の人物にも興味がある。日本で言えば、先程挙げた人物で、海外で言えば、ナポレオンなどだ。
 特に、日本の近代と呼ばれる第二次世界大戦前が好き。僕は自分で言うのも何だけれど、ガチガチの文学青年だ。

 以前、同じ大学の女の子とデートをした時、僕が話した内容は小説や文学をテーマにした。でも、つまらなかったのか、「今度、いつ会えますか?」という質問に「都合がいい日に連絡します」と言われてそれ以来、電話はかかって来なかった。僕としては、その子に好意的だったからショックを受けた。今でこそ、何とも思わなくなったけれど。確かあの出来事は半年くらい前だったと思う。

 僕の性格は決して暗くないと思うが、誰からも話しかけられない。なぜだろう? こちらから話し掛ければ会話になるけれど、すぐに、じゃあまたね、と言われていなくなってしまう。僕の悪い噂でも広まっているのかな。だとしたら、学校に行きづらい。でも、行かない訳にはいかないし。

 気にせず過ごすか。果たしてそれが出来るかどうか。わからない、やっぱり友達は欲しいから。

 今日も学校から帰ったら、小説を書く。今は、ネットの公募に出すために書いている。現在、5万字くらいだから、あと残り5万字くらい書く。全部で10万字くらい書く。

 今は、午後4時過ぎ。僕は帰宅した。自動車学校にも通おうと考えている。自費出版でお金を使ったから貯蓄はあまりない。また、バイトしてお金貯めようか。執筆もするけれど。また、忙しくなるなぁ。でも、自分のことだから仕方ない。大学に行って、課題を消化して、小説書いて、自動車学校に行く。ハードスケジュールだ。本当にできるのか? 自問自答をした。僕は体力がある方だと思う。だから、大丈夫だろう。

 どんなバイトしようかな。また、前のコンビニで働かせてもらえないかな。電話をして店長に伺いをたててみよう。知らないところで働くより知っているところで働く方が気楽かもしれない。なので、早速、電話をかけた。
数回の呼び出し音が鳴り、繋がった。
「もしもし、以前そちらで働かせてもらっていた島崎彰といいます。店長はいますか?」
『はい、島崎さんですね。少しお待ち下さい』
 店長は忙しいひとだから、出るまでに時間がかかった。そして、
『もしもし、島崎君? 久しぶり』
「お久しぶりです」
 僕は思わず嬉しくなった。
『どうしたんだ?』
「実は、自動車学校に行くのでまた雇ってもらえませんか?」
『一応、本部にも訊いてみないとわからないけど、多分、大丈夫だと思うぞ。正式に決まったら電話するから』
「わかりました。よろしくお願いします」
 そう言って電話を切った。

 バイトの合否は連絡待ちだし、小説を書こう。この作品は自分でも思うけれど、面白いと思う。作者が自分のを作品つまらないと思ったら、読者は面白いと思う訳がない。僕はそう思う。

 執筆は夢中になって書いたので、気が付いたら夜になっていた。お腹空いた。スマホを見ると、19:38と表示されている。何か食べよう。台所のシンクの下を開けてみるとカップ麺が1個入っている。とりあえずこれを食べよう。ちゃんとした夕食は後で作ろう。やかんに水を入れ、ガス台に乗せ火をつけた。

 その間、僕は煙草に火をつけた。最近、喫煙するようになった。きっかけは、ただの興味本位。最初はむせた。でも、慣れてきたからむせなくなった。お酒も飲もうか思案中。何がいいだろう? ビール、焼酎、ワイン、ウイスキーなどいろいろあるが、父は焼酎を飲んでいるはず。大学で唯一、話せる女性は結構な量を飲むらしく、毎日ビールと焼酎を晩酌しているようだ。

 台所を見ると、お湯が沸いたようなので火を止めに行った。カップ麺を包んでいるラップを剥がし、ふたを開け、薬味や粉状のスープを入れお湯を注いだ。3分でいいのに5分くらい経ってしまった。食べてみると、2分多かったので、麺が柔らかくなっている。これはこれで旨い。柔らかいからあまりよく噛めないので、まるで飲み物のようだ。カレーは飲み物、と聞いたことがある。それと同じようなものかもしれない。とりあえず、ふきんを濡らしてテーブルを拭いた。その上にカップ麺を置いた。割り箸も戸棚から取り、テーブルの前にある座布団の上に座り食べ始めた。醤油ラーメンだが結構油っぽく、でも美味しい。僕は若いからなのか、結構、油っぽい食べ物がすきだ。

 食べたあと、将来の夢である小説家に向けて執筆を開始した。いつになったら新人賞や大賞を取れるだろう? 今はとにかく書きまくる、それだけだ。もちろんインプットしながらなので読書はする。

 サイトに投稿している作品はイイネが毎回10個以上ついていて、書いていて楽しい。だからはかどる。今後もがんばって続けていこうと思っている。読んでくれている読者のために、そして自分の夢のために!

                                            (終)
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