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第106話

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 「お父さん、目の前の魔人を倒してもいい?」

 スノウが、戦闘態勢を取りながら優人に話しかけてくる。

 「大丈夫なのか」

 「うん、サーロンとは比較できないほど弱い、今まであったどの魔人よりも弱い」

 「そうだな詳細鑑定を使わなくてもわかるぐらいだからな」

 そうして、こそこそとスノウと相談していると

 「こそこそと相談など、無駄な足掻きです。エルフは捕まえその他は抹殺せよとの王命です」

 まだ実力差が分からない黒い騎士は、何か言っているが

 「おい、第4騎士団はお前だけで来たのか」

 「口を慎め人間、私が部隊長として部下5人と来ている。過剰な戦力だが、慎重な王からの命令だからな」

 目の前の騎士と合わせて6人か、なら他の騎士達は此処とは違う場所を今、襲撃しているのか

 そう優人が考えた瞬間に、村の中から複数の爆発音が轟いた。


 「どうやら部下達が、行動を実行しはじめたようですね」

 「なら、全ての騎士を倒して回らないとな」


 「いい加減に恐怖で怯えろ」

 目の前の騎士ベラールが、優人達に攻撃を仕掛けてきたが

 「うるさい」


 スノウが、ベラールのボディに魔力を込めた拳をめり込ませ鎧など意味が無いと言わんばかりに拳を振り抜いた。

 ベラールは、言葉を発することも出来ずに村の外へと飛んでいった。

 「やっぱり魔人は固い、トドメをさしてくる」


 スノウはそう言って村から飛び出していった。


 「じゃあ、俺達も他の騎士を倒しに行こう。ベラールが隊長なら部下は弱いだろう。一人一殺で行こう」

 優人の考えに全員が同意して、誰が言わなくてもバラバラに村の中で爆発音が聞こえた場所に向かった。

 
 そうして、優人も1人で一つの爆発音が先程から聞こえている場所に向かうと


 「オラオラオラ」

 ベラールよりも背丈の大きく、来ている鎧も重厚そうである黒騎士がいた。

 周りには倒れているエルフの兵士がいた。

 「殺しちゃいけないって命令だが弱すぎて、どうやっても殺してしまうな」

 下品に笑っている黒騎士に慈悲の心は無く、優人は容赦無く雷で作った槍を投げた。

 「うん?」

 黒騎士は、槍を認識できず気づいたのは、自身の腹部に刺さった感触だった。

 「あれ」

 そうして、黒騎士の名前すら知らずに当人は絶命した。

 「これが噂の第4騎士団の実力なのか?」

 この程度の実力なら、他のメンバーも余裕で倒せるだろうと思い、優人は倒れているエルフの兵士の救助を始めた。

 ほどなくして、他のメンバーが倒したのか爆発音が聞こえなくなりエルフの兵士が怪我人がいないか村中を捜索しはじめた。


 「お父さん」

 エルフの救助も終わり、兵士達と一緒に巡回していた優人は他のメンバーと合流した。

 「全員無事だった?」

 「あたりまえでしょ」

 メンバー全員が合流できたので、一度村長さんに会いに行くことになった。


 「よく来てくれたね、貴方達のおかげで被害は最小限に抑えられたよ。魔方陣の修復に村の防衛まで、感謝の念しか出てこない」

 それから村長に第4騎士団の被害を聞くと、兵士が何人か死亡し怪我人が多数いるらしい、民間人には被害が出なかったということなので、そこは幸運だった。

 「しかし、鍛えられた衛士院の兵士でも相手にならなかった騎士達を簡単に倒すなんて、さすが勇者様だね」


 それから、集まってきた院長達からも感謝されてその場を去った。


 「ミズキさんに挨拶をしに行こうか」

 「そうですね」

 アスカさんの自宅に向かうと

 「みなさん、御無事だったのですね」

 アスカさんの自宅前で、軽鎧で身を包み、背中に弓を背負っているミズキさんと、ヘルメットとミズキさんと似たような子供サイズの軽鎧に身を包んだアオイくんとマサミちゃんがいた。

  「ミズキ姉もアオイもマサミも大丈夫そうだね」

 ポーレさんが3人の体を触って、無事を確認している。

 そうして、3人の無事を確認し終わると、ポーレさんは此方に振り向いた。

 「ユート君、私はこの村に残るよ」

 ポーレさんはそう言ってきた。

 「第4騎士団と戦って分かったけど、衛士院の兵士だけじゃあ、また襲撃されたら村を守れない。だから私がこの村に残って村を守る」

 確かにこのまま村を去るのは後味が悪いので、みんなと相談してポーレさんの意見に賛成した。


 「じゃあ、俺達は行きます」

 ポーレさんが村に残ると決めて、ミズキさんが今日は村を守ってくれたお礼に夕御飯を豪華にするからと引き留められて、お別れ会をした翌日、優人達は村の入り口の門まで来ていた。

 「村を守ってくれてありがとう」

 村長やヒガシノさん、ミズキさんにアオイくんとマサミちゃん、そしてポーレさんも見送りに来てくれた。

 「じゃあ、また来ます」

 そう言って、優人達は5人で村を出て行った。
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