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第102話

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 「これで、修復出来たのか?」

 「まあ本格的にやるなら細かいところまでは、修復はできていないけど後は研究員の人に任せれば大丈夫よ」

 「「「ありがとうございました」」」

 魔法陣の解読と修復を始めて3日目、無事に修復が一段落つき、優人とホワイトとゴーレンさんによるやるべきことは終わった。

 エルフの職員さん達から、感謝の言葉をもらいながら休憩をしていると

 「お疲れ様でした」

 博物院の院長と村長の2人がやって来た。

 「御三人方によって、勇者様の魔法陣も無事に修復出来たようで、博物院の院長として感謝の言葉しかありません」

 「魔法陣が修復出来たのはとても良いニュースだが、私達が持ってきたものは悪いニュースだな。遂に王国騎士団が侵攻の準備を終えたようで、進軍を開始した」

 「どれほどの戦力に至りましたか」

 ゴーレンさんが尋ねると

 「王国騎士団第三師団が400騎、歩兵団が総兵2000人、王国魔法師団200人、様々な貴族の私兵団800人のおよそ3200人による3方向からの同時侵攻のようだ」

 「この村の兵力はいかほどに」

 「衛士院に勤めている者達が400人、有志による民兵が同じく400人で合わせて800人程だな」

「約4倍の兵力差ですか、更に騎士団は多種族混成の実戦で活躍を重ねる者達ですね」

 「そうだ。諜報員の情報や王都の協力者達からの情報によれば、現王は人間以外の種族による騎士団を使い捨てのように扱い、このような血生臭い事をやらせているらしい」

 「そんな事ばかりを命令されるなら造反を起こしたりしないんですか」

 優人は、率直な感想を言ってみると

 「確かに、ここまで前王とは正反対、悪い方にばかり変わっていく政治を見て普通ならば騎士団を辞めるのであろうが、現王が新規に立ち上げた第4騎士団の騎士が、第3騎士団の家族や親族のいる居住区を囲んでいるらしい、名目は王都の治安維持だが、実際は人質であろうな」

 「なるほど、騎士団だから自分の身は守ることは出来ても家族を人質に取られれば命令を聞かざるをえないと」

 「そういうことだな、しかし今アスカとサロパスタ殿に第3騎士団の師団長殿に隠密に会いに行ってもらっている」

 「アスカさんとサロパスタにですか」

 「ええ、アスカは元王国騎士団の師団長だったから、仲介役を頼んだの」

 「昨晩の夜に会えるように行き、恐らく今は村に戻っている最中だろう。だが騎士団が侵攻を始めたということは交渉は失敗だったということかしら」

 ホワイトとゴーレンさんが解読と修復にかかりきりだったので、他のメンバーが何をしているのか分からなかったが、そんな事をやっていたのかと驚いた。

 「では、その他の仲間達は何かしているのですか」

 「ああフィーレン殿達には衛士院の兵士達に稽古をつけてもらっている」


 村長から、訓練所の位置を教えてもらいその場所へと向かうと

 「やっていますね」

 今は、午後2時頃で訓練所に行くとスノウ、ポーレさん、フィーレンさん、レイア、ナセルさん、デロックさんがいた。

 6人の側まで、近づくと


 「お疲れ様、お父さん」

 「修復は無事に済んだようだね」

 スノウとレイアが言葉をかけてくれた。

 「ああ、俺達が出来る修復は全て終わったよ」

 「そうなんだ」


 しかし、優人は辺りを見回すと訓練所の6人のいた周りでは、兵士が肩で息をしている。中には立つことも出来ないほどの者達もいる。

  「随分としごいているみたいだけど、数日後に王国軍と一戦交えるかもしれないのに、こんなに疲れていて大丈夫なのか」

 「大丈夫だよ、スタミナを消費しているだけで怪我は一切してないから」

 「なら大丈夫かな?」

 そうやって話していると遠くからアスカさんとサロパスタが歩いてくるのが見えた。

 
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