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第13話

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 「では、獲得した素材の分配について話し合いましょうか」

 「あの、本当に僕は助けてもらっただけなんで、素材は全部ゴーレンさんの物ですよ」

 「実は、私は君をもう少し早く助けることもできたのです」

 「えっ」

 ゴーレンさんの突然の告白に優人は驚いた。

 「君が最初に打った雷の魔法の音に気づいて、音がした方に向かったのです。今日は晴れているのに雷の音がしたので、木に落ちて燃えていないかを確認しにね」

 「そして、向かった先には黒髪の青年とゴブリンの上位種が3体も、しかし青年はもう全てを諦めて死ぬんだと思っているように見えました」

 確かに、優人はゴブリンジェネラルに回り込まれ、圧倒的な力の差に命を諦めかけた。

 「縁も所縁もない青年、もう命を諦めているように見えるそんな人を助けるために自分の命をかける程、私はできた人ではありません」


 「けれど貴方は死力を振り絞って、雷魔法を3体に放った。そして3体に傷を負わせた。ならば私も手助けして3体に追加して攻撃を加えたまでです」

 「だから、君が最後に魔法を放たなければ私は君を助けなかった。つまりこの素材も今は手に入らなかったというわけです」

 ゴーレンさんの話を聞いて、納得できたようなできないような不思議な気持ちで心が覆われた。

 「でもやっぱり、幾らゴーレンさんが僕を見捨てたかもしれなくても結果論では助けられたんです」

 「そうですか、なら素材は明日パルドに換金してもらいまた話しましょう。時間はあるんですから」

 時間はあると言われ、優人は心が沈んだ。

 「少し聞きたいことがあるんですけど、いいですか」

 「はい、構いませんよ」

 「ゴブリンキングはダンジョンでは、どの位のモンスターなんですか?」

 「ダンジョンではですか。一概には言えませんが今日の強さだとLv2のダンジョンマスター相当ぐらいでしょうか。あくまでの平均的に考えてですよ」

 Lv2のダンジョンマスター
 
 あんなに強かったのにそれでもLv2、じゃあLv3ではもっと強く、Lv10では想像もつかない。

 優人が絶望した表情を浮かべると

 「ユート君は、ダンジョン攻略を目指しているのですか?」

 「はい、今までの僕を見たら笑っちゃうかもしれませんが、僕は1日でも早くLv1~10までのダンジョンマスターを倒さないと行けないんです」

 「今日の出来事を体験してもまだその願いは変わりませんか」

「はい」

 「そうですか、なら早速明後日にでもダンジョンに行きましょうか」

 「えっ?はい?」

 「恐らくですが、明日メラード達がゴブリンの森に調査に行き、Lv3のダンジョンが誕生しているのを発見するでしょう」

 「どうしてですか?」

 「先程述べたようにゴブリンキングはLv2のダンジョンマスター相当と言いましたが、恐らくあのゴブリンキングは実際にダンジョンマスターだったのでしょう。が別のモンスターにダンジョンマスターの地位を奪われ、ゴブリンの森の最奥から出て来たところに、君と遭遇したのでしょう」

 「それで、どうしてダンジョンに行くことに?」

 「ダンジョンマスターは、ダンジョンにいる時間が長いほど自身を強化し、また配下を強化します」

 「Lv3のダンジョンは、Bランク冒険者パーティー1組が攻略できる限界でしょう。この町にはメラード達が居ますが、更にダンジョンのLvが上がる前に攻略してしまうのが良いでしょう」

 「ダンジョンを攻略するならば人数が多い方が良い、そして君はダンジョンを攻略したい。ならば私も久し振りにダンジョン攻略に参加します。これでダンジョン攻略も間違いなしですね」


 そうして本当にダンジョンが出来ているかもまだ分からないのに、ダンジョン攻略に早速行くことになりそうだった。

 「では明日は、ダンジョン攻略のための準備をしないといけませんね」


 「大変なことになったな。けど早速ダンジョンを一つ攻略できそうだ。ゴーレンさんは強いし、メラードさん達も強いだろうしな。明日は今日取ってきたものを換金して、装備を整えないとな」

 「あと服も何着か買わないとな」

 優人は、初ダンジョン攻略に期待を高めた。そして寝た。






 優人が、宿屋の部屋で爆睡している時

 「夜分遅くにすいませんね、メリーラ」

 「構わないよ、聞きたいことはあの坊やのことだろう」

 「はい、彼は勇者なのですか?」

 「分からないね、でも雷の魔法属性を持っていた。十中八九は勇者だろうね。でも勇者としての力はまだ開花していないようだね」

 「彼は、デラード帝国の勇者ですか?それともゼフォスがあの倉庫の奥底にあった本を使用したのでしょうか?」

 「恐らくだが、後者の方が確立が高いね、デラードは4年前に召喚したばかりで、最低でも後1年は準備に時間がかかるだろうね」

 「では、彼は今は何も分からない状態でしょうね」

 「だからかい、あの坊やの世話をするのは」

 「それだけでは、ありませんが。貴女もあの杖を与えているではありませんか」

 「まあ若干の罪滅ぼしも含まれているね」



 それぞれの思惑があるなか、夜は深まっていった。



 
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