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僥倖~着物姿の田上~
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その日は着物姿で京都の街を歩く事になっていて、健太の立てたスケジュール通りに予約時間にお店に到着。
飾られたレンタル着物に、田上達が大はしゃぎしていた。
どうしたって、野郎は数もデザインも女子より少ない。
俺達は早々に決まり、着付けをしてもらう。
俺は健太が紺地、小野が茶色に赤の羽織を選んでいるのを見て、じゃあこの辺か……とモスグリーンの着物と羽織を選んだ。
着付けが終わり、個人の写真撮影が終わって少しまっていると田上達が現れた。
髪の毛も、田上が長塚とデートした時と同じ髪型に、あの時はリボンだったけど、今日は花が飾られている。
いつもは髪の毛を下ろしている石塚も、田上と同じ髪型をしていて、なんとも華やかだ。
そして添田は、着物にメンズハットというなんとも個性的な出で立ちだったが、自分がどんな感じが似合うのかを熟知しているのだろう。
添田だから似合う着こなし方をしているのに感心していると、女子の撮影が終わって集合写真になる。
真ん中に健太と石塚で、健太の隣に小野で俺。
反対側が石塚から田上、添田の順で並び記念写真を撮影し、お店を出てで下加茂神社に向かう。
外を歩いていると、田上は石塚に寄り添って歩く健太を羨ましそうに眺めていた。
本当は……長塚と並んで歩きたかったんだろうと、モヤっとした感情に苦笑いをした瞬間、田上がちょっとした段差に蹴つまづいた。
「ほら!キョロキョロしない!」
転びそうになった田上を抱き留めて、思わず抱き締めたくなる気持ちを誤魔化す為に、額をペチン!と叩くと
「痛いっ!キョロキョロなんてしてないもん!」
額を押さえ、上目遣いで俺を見上げて反論する。
ほんのりメイクをしている田上が、いつもより大人びて見えてドギマギしていてしまい
「へぇ~。じゃあ、キョロキョロしてもいないのにつまづいてるんだ~」
と、つい嫌味っぽい言い方になってしまいハッとすると、田上はむぅ!とむくれて俺を見上げてはいるが、怒っているというよりも拗ねている感じだった。
「そんな顔すると、もう助けてやらないぞ!」
って両頬を左右にムニッと引っ張ると
「ひゃめひぇよ(止めてよ)!」
俺の手を叩いて反撃する田上に、なんかホッとした。
こいつはいつだって、真っ直ぐに受け止めてくれる。
手を離すと、引っ張られた頬を両手で挟んで田上が俺を涙目で睨み上げた。
田上の表情の一つ一つが愛おしくて、『あぁ……やっぱりこいつが好きだな』って気持ちを噛み締めていると、田上が俺の顔を不思議そうに見上げている。
無防備過ぎる田上に
「田上って……本当に……」
思わず溜め息が漏れた。
俺の言葉を悪く受け止めたのか、田上はムッとした顔をしながら
「何よ」
と睨み上げて来たので
「いや、見てて飽きないなぁ~って思ってね」
そう答えると
「そうですか!」
と言いながら、俺に舌を出してからプイッっと顔を逸らした。
「褒めんたんだから、少しは嬉しそうにしろよ!」
プイッと逸らした田上の右頬を思わず掴んで言うと
「もう!なんで摘むのよ!」
そう言って俺の手を叩き落とした。
「え?摘みやすいから」
と答えた俺を、田上が目をまん丸にして見上げた後、プクっと頬を膨らませた。
飾られたレンタル着物に、田上達が大はしゃぎしていた。
どうしたって、野郎は数もデザインも女子より少ない。
俺達は早々に決まり、着付けをしてもらう。
俺は健太が紺地、小野が茶色に赤の羽織を選んでいるのを見て、じゃあこの辺か……とモスグリーンの着物と羽織を選んだ。
着付けが終わり、個人の写真撮影が終わって少しまっていると田上達が現れた。
髪の毛も、田上が長塚とデートした時と同じ髪型に、あの時はリボンだったけど、今日は花が飾られている。
いつもは髪の毛を下ろしている石塚も、田上と同じ髪型をしていて、なんとも華やかだ。
そして添田は、着物にメンズハットというなんとも個性的な出で立ちだったが、自分がどんな感じが似合うのかを熟知しているのだろう。
添田だから似合う着こなし方をしているのに感心していると、女子の撮影が終わって集合写真になる。
真ん中に健太と石塚で、健太の隣に小野で俺。
反対側が石塚から田上、添田の順で並び記念写真を撮影し、お店を出てで下加茂神社に向かう。
外を歩いていると、田上は石塚に寄り添って歩く健太を羨ましそうに眺めていた。
本当は……長塚と並んで歩きたかったんだろうと、モヤっとした感情に苦笑いをした瞬間、田上がちょっとした段差に蹴つまづいた。
「ほら!キョロキョロしない!」
転びそうになった田上を抱き留めて、思わず抱き締めたくなる気持ちを誤魔化す為に、額をペチン!と叩くと
「痛いっ!キョロキョロなんてしてないもん!」
額を押さえ、上目遣いで俺を見上げて反論する。
ほんのりメイクをしている田上が、いつもより大人びて見えてドギマギしていてしまい
「へぇ~。じゃあ、キョロキョロしてもいないのにつまづいてるんだ~」
と、つい嫌味っぽい言い方になってしまいハッとすると、田上はむぅ!とむくれて俺を見上げてはいるが、怒っているというよりも拗ねている感じだった。
「そんな顔すると、もう助けてやらないぞ!」
って両頬を左右にムニッと引っ張ると
「ひゃめひぇよ(止めてよ)!」
俺の手を叩いて反撃する田上に、なんかホッとした。
こいつはいつだって、真っ直ぐに受け止めてくれる。
手を離すと、引っ張られた頬を両手で挟んで田上が俺を涙目で睨み上げた。
田上の表情の一つ一つが愛おしくて、『あぁ……やっぱりこいつが好きだな』って気持ちを噛み締めていると、田上が俺の顔を不思議そうに見上げている。
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「田上って……本当に……」
思わず溜め息が漏れた。
俺の言葉を悪く受け止めたのか、田上はムッとした顔をしながら
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「いや、見てて飽きないなぁ~って思ってね」
そう答えると
「そうですか!」
と言いながら、俺に舌を出してからプイッっと顔を逸らした。
「褒めんたんだから、少しは嬉しそうにしろよ!」
プイッと逸らした田上の右頬を思わず掴んで言うと
「もう!なんで摘むのよ!」
そう言って俺の手を叩き落とした。
「え?摘みやすいから」
と答えた俺を、田上が目をまん丸にして見上げた後、プクっと頬を膨らませた。
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