揺れる想い

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
68 / 158

番外編~クラスの生暖かい目~

しおりを挟む
それからというもの、みんなの生暖かい視線が痛かった。
2年最後の日、クラスみんなで打ち上げをした。
なんだかんだと仲良しで、カラオケ行って歌わずにほぼ会話で終わるような感じだった。
そんな打ち上げが終わる間際
「私達さ、心残りがあるのよ」
須藤さんがそう切り出すと
「マジで、そろそろ田川と付き合ってあげたら?」
そう言われてしまう。
「まぁ、好きじゃないなら仕方無いけど」
須藤さんの言葉に、反射的に
「そんな事無い!」
って答えてしまい、真っ赤になる。
「たまちゃん、田川の気持ちも考えて上げなよ」
そう言われて、頭を撫でられた。
「じゃないと、他の人に取られちゃうぞ!」
微笑んで言われて、私は小さく頷いた。
そうだよね。
あの日から、ずっと田川君は私がしたいようにさせてくれた。
きちんとしなくちゃダメだね。
須藤さんに頷くと
「田川~!たまちゃん、田川と付き合うって!」
と叫ばれた。
「えぇっ!言ってない!」
慌てる私に、クラスの男子が
「良かったな~、田川。これ、俺達からのプレゼント」
と言いながら、何やら紙袋を手渡した。
田川君、疑問の視線を向けてから中身を見て、慌てて袋を閉じると叩き返している。
「お前ら、ふざんな!」
真っ赤になって怒る田川君に、疑問の視線を向けると
「田上は知らなくて良いから!」
って、ムキになって怒っている。
そんな田川君に爆笑する男子。
そんな彼等を、呆れた顔で見ている石橋君はさすがだ。
「ほらほら、さっさとくっついちゃいなさいよ!」
須藤さんに背中を押され、田川君と並ばされる。
私と田川君は左右からグイグイ押されて、身動き出来ないでいると
「あ~!お前らうるさい!」
と田川君が叫び、私の手を握り締めてその場から逃走した。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~

蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。 なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?! アイドル顔負けのルックス 庶務課 蜂谷あすか(24) × 社内人気NO.1のイケメンエリート 企画部エース 天野翔(31) 「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」 女子社員から妬まれるのは面倒。 イケメンには関わりたくないのに。 「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」 イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって 人を思いやれる優しい人。 そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。 「私、…役に立ちました?」 それなら…もっと……。 「褒めて下さい」 もっともっと、彼に認められたい。 「もっと、褒めて下さ…っん!」 首の後ろを掬いあげられるように掴まれて 重ねた唇は煙草の匂いがした。 「なぁ。褒めて欲しい?」 それは甘いキスの誘惑…。

処理中です...