揺れる想い

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
56 / 158

修学旅行~最終日~

しおりを挟む
慌ただしかった修学旅行が終わり、お土産を宅急便で送る手配などをしてホテルから帰宅の途に着く。
「あっと言う間だったね~」
繭花ちゃんの言葉に、私とち~ちゃんが頷く。
 昨晩はあの後、田川君と分かれて部屋に戻った私は、ち~ちゃんと繭花ちゃんから質問攻撃を受けた。
女3人集まるとなんとやらってヤツで、話が尽きる事は無かった。
「やっぱり、田川とたまちゃんはそうなるような気がしたんだよね!」
 ち~ちゃんの言葉に顔が熱くなる。
「長塚と居るたまちゃんも可愛いかったけど、田川と居るたまちゃんは楽しそうだもん」
「まぁ、田川君も楽しそうだけどね」
2人に言われて、顔が益々熱くなる。
「もう、止めて!!」
真っ赤になる私に抱き着いて、2人は
「たまちゃん、女の子は愛されて幸せになれるんだよ」
って呟いた。
この世界の中で、お互いに好きで付き合う人ってどの位いるんだろう。
私は長塚君に恋をして、辛くて苦しくて悲しくて……泣いてばかり居た。
繭花ちゃんと石橋君を見ていると、お互いが大好きでお付き合いしているのが分かる。
私も、長塚君とそうなりたいと願っていた。
田川君が探してくれて、お風呂で綺麗に洗ったモッキーとモニーのキーホルダーを指先でつついてみる。
ローズクォーツも鈴も無くなり、ただモッキーとモニーが抱き合っている小さなぬいぐるみになってしまったキーホルダー。
まだ濡れていて、何処か悲しげに見える。
「それ、どうするの?」
ち~ちゃんに聞かれて
「多分、神社に供養してもらう」
そう呟くと
「あぁ!そういえば、たまちゃんの家の近所にぬいぐるみとか人形を供養してくれる神社があるんだっけ?」
と言われた。
「うん」
頷いた私に、ち~ちゃんも繭花ちゃんもそれ以上は何も聞かなかった。

   翌朝、荷物を送る準備をして、バスで京都駅へと向かう。
昨夜、ずっと話をしていた私達女子チームはバスの中で爆睡。
「田上、駅に着いたぞ」
田川君に起こされて、半分寝惚け眼で新幹線に移動。
私は鞄の紐を掴まれて、ほぼ田川君に誘導してもらっていた。

「たま!そっちは他校の列!」
「たま!立ったまま寝るな!」

新幹線の座席に着くまで、田川君は寝惚けている私の面倒を見させられていたらしい。
座席に着くなり爆睡の私に
「幼稚園児か!」
って声が聞こえた。
(失礼な!)
と返そうと思うけど、眠くて声が出ない。
ゆっくりと新幹線が動き出すと、船を漕ぐ私の頭を誰かがそっと持たれ掛けさせてくれた。
頭の位置がちょうど良くて、私は深い眠りの中へと落ちて行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

ずぶ濡れで帰ったら彼氏が浮気してました

宵闇 月
恋愛
突然の雨にずぶ濡れになって帰ったら彼氏が知らない女の子とお風呂に入ってました。 ーーそれではお幸せに。 以前書いていたお話です。 投稿するか悩んでそのままにしていたお話ですが、折角書いたのでやはり投稿しようかと… 十話完結で既に書き終えてます。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

2番目の1番【完】

綾崎オトイ
恋愛
結婚して3年目。 騎士である彼は王女様の護衛騎士で、王女様のことを何よりも誰よりも大事にしていて支えていてお護りしている。 それこそが彼の誇りで彼の幸せで、だから、私は彼の1番にはなれない。 王女様には私は勝てない。 結婚3年目の夫に祝われない誕生日に起こった事件で限界がきてしまった彼女と、彼女の存在と献身が当たり前になってしまっていたバカ真面目で忠誠心の厚い騎士の不器用な想いの話。 ※ざまぁ要素は皆無です。旦那様最低、と思われる方いるかもですがそのまま結ばれますので苦手な方はお戻りいただけると嬉しいです 自己満全開の作品で個人の趣味を詰め込んで殴り書きしているため、地雷多めです。苦手な方はそっとお戻りください。 批判・中傷等、作者の執筆意欲削られそうなものは遠慮なく削除させていただきます…

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。

石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。 すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。 なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

処理中です...