揺れる想い

古紫汐桜

文字の大きさ
上 下
53 / 158

悲しい出来事

しおりを挟む
「やっぱり制服最高!」
レンタルの着物を返却し、ち~ちゃんの第一声。
「新井君、どうだった?」
と聞くと、何故か小田君が爆笑し始めた。
疑問の視線を向けると
「それがさ、もう写メって凄いのなんのって!しまいには、添田ブチ切れるし」
って笑ってる。
「写真なんか、1枚撮れば充分なんだよ」
怒って呟くち~ちゃんに、私はポンッと肩に手を乗せて
「そんだけ新井君はち~ちゃんが大好きなんだよ」
と呟くと
「その言葉、そっくりたまちゃんにお返ししたいけどね」
って言われて、思わず真っ赤になってしまった。
すると、ち~ちゃんら4人がニヤニヤし始めて
「あれあれ?なぁに?その新鮮な反応」
そう言って、私の腕の左右を繭花ちゃんとち~ちゃんに掴まれて
「今日の夜、部屋で報告会ね」
って言われてしまう。
私が真っ赤になって頷ことうとした時だった。
視線を感じて見ると、長塚君がこっちを見ているのに気が付いた。
(あれ?今日、行く場所被るんだっけ?)
と思って、スマホを見て青くなる。
長塚君から、何回もLIMEに連絡が来ていた。
昨日、疲れて寝落ちしてから、今までLIMEに気付かなかった私のバカバカ!!って落ち込んでいると、青山さんが
「あれ?田川さん達も下鴨神社を回ったんだ」
そう言われて、長塚君と青山さんは2人であそこに行ったんだ……って、ぼんやり考えていた。
色々ショック過ぎて反応の薄い私を見て
「あれあれ?もしかして、本当に田川とくっついたとか?」
青山さんが嬉しそうに話しかけて来る。
「良かったね、田川さん」
ニコニコしながらそう言うと、私の鞄に着いているモッキーとモニーのキーホルダーに気付いたみたいで
「あ!これ、恋愛運が上がるヤツでしょう?それに下鴨神社とか、どれだけ必死!」
って笑う青山さん。
すると、長塚君がバカにして笑う青山さんの肩を掴んで
「あれは俺があげたんだ」
そう呟いた。
「え?」
驚いた顔をした青山さんに
「俺と田上の2人で夢の国に行って、俺が買ってプレゼントしたんだけど」
そうハッキリ言い切った。
(な……長塚君?どうしたの?)
アワアワしている私の気持ちをよそに
「え?どういう事?」
青山さんの顔色がみるみる変わって行く。
「それにその石も、選んだのは俺だよ」
長塚君の言葉に、青山さんが私の鞄に着いたキーホルダーを掴んで奪い取ろうとした。
「止めて!」
慌てて鞄を引っ込めようとした時、青山さんが一瞬早くキーホルダーを掴んだ。
「なんなのよ!あんた!」
怒り狂う青山さんを、長塚君と星川君が二人がかりで止めようとしても止まらない。
私を守ろうと、田川君や石橋君。小田君も青山さんから私を離そうとしたその時だった。
青山さんが掴んで離さないキーホルダーが、ブチっと鈍い音を立てて引きちぎられた。
その音はまるで、私と長塚君の赤い糸が引きちぎられた音のように感じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

睡蓮

樫野 珠代
恋愛
入社して3か月、いきなり異動を命じられたなぎさ。 そこにいたのは、出来れば会いたくなかった、会うなんて二度とないはずだった人。 どうしてこんな形の再会なの?

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。

石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。 すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。 なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」 そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。 彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・ 産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。 ---- 初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。 終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。 お読みいただきありがとうございます。

夫の不貞現場を目撃してしまいました

秋月乃衣
恋愛
伯爵夫人ミレーユは、夫との間に子供が授からないまま、閨を共にしなくなって一年。 何故か夫から閨を拒否されてしまっているが、理由が分からない。 そんな時に夜会中の庭園で、夫と未亡人のマデリーンが、情事に耽っている場面を目撃してしまう。 なろう様でも掲載しております。

処理中です...