揺れる想い

寝坊した！！

   2日目はかなりハードだったので、私とち～ちゃん、繭花ちゃんは部屋に着いたらバタンキューだった。
取り敢えず、大浴場に行って身体を綺麗したら、髪の毛を乾かすのもそこそこにベッドに入ったら爆睡だった。
朝、部屋の電話が鳴り響く。
私が寝惚けながら電話に出ると
「まさか……まだ寝てたのか？」
の石橋君の声。
時計を見ると、朝食の時間の7時をとっくに回ってる。
「ギャーっ！」
私の悲鳴に、ち～ちゃんと繭花ちゃんが飛び起きた。
「ヤバイ！7時過ぎてる！」
私の叫びに、ち～ちゃんがスマホを見て
「あ！目覚まし忘れてた」
と叫ぶと、繭花ちゃんが部屋の中をグルグル回ってる。
「どうしよう！どうしよう！」
パニックになる私達。
すると、電話の向こう側から深い溜め息が聞こえて来て
「朝飯、準備しといてやるから、さっさと支度して来い」
と言われて電話が切れた。
バタバタと身支度を済ませ、部屋を10分で飛び出した。
「ごめんね～」
慌てて食堂に飛び込むと
「寝坊とか……」
田川君と小野君が爆笑している。
「ほら、さっさと食べちゃって」
石橋君に促され、私達は黙々と食事を進める。
すると、やはり私の席には牛乳が置かれていたけど、突っ込みを入れる暇など無い。
食べ終わると、バタバタとホテルを飛び出した。
今日は9時に着物の1日レンタルの予約を入れているので、お店へGO！
「寝坊とか、マジで冷や冷やしたよ～」
電車に乗り込むなり、石橋君に呟かれる。
「大体、着物レンタルしたいって言ってたの、お前らなのに……」
お説教モードの石橋君に
「まぁまぁ！昨日はハードだったから、疲れたんだろうし」
って、小野君が必死にフォローする。
田川君はずっと笑いを堪えていて
「食堂に来た時の3人の顔……」
くっくっくって喉で笑ってる！
「そんなに笑わないでよ！」
と睨むと、田川君が私の髪の毛に触れて
「髪の毛、下ろしてるの初めて見た」
そう呟かれた。
「え？普段二つに結んでいるだけだから、そんなに変わらないでしょう？」
苦笑いをすると、田川君が小さく笑って
「全然違うよ」
って呟いた。
思わずドキリとしてしまい、恥ずかしくなって俯きながらチラリとみんなの方に視線を向けた。
するとニヤニヤした顔で見ていた4人が、慌てて顔を逸らす。
(ちょっと！なんで顔を逸らすのよ！)
心の中で呟くと、降りる駅に到着した。
   お店に行くと、男子と女子に分かれて着付けをしてもらう。
着物をみんなでワイワイ選んで、私は大正ロマン柄で緑と白の地に小花が散りばめられてる柄。繭花ちゃんは、真っ赤な生地に大きな花柄。
ち～ちゃんは、白と黒に様々な色の花の柄がカッコイイ大正ロマン柄の着物を短めに着て、ブーツを見せるように着る大正ロマン着付けをしてもらっていた。
レンタル屋さんでヘアアレンジもしてもらえるので、私と繭花ちゃんは編み込みのアップに可愛らしい花のヘアアクセサリーを着けてもらう。
ち～ちゃんは、メンズハットを斜めにかぶって超カッコイイ！
ショートの髪の毛に大正ロマン柄のキリッとした着物に、カッコイイ大正ロマン着付けがち～ちゃんの魅力を引き立ている。
「ち～ちゃん、カッコイイ！」
私と繭花ちゃんが叫ぶと、ち～ちゃんは恥ずかしそうに笑いながら
「二人も可愛いよ」
って答えた。
私達の支度が整うと記念写真撮影になる。
男子は既に個人撮影は終了していて、私達も身支度が出来た人から和傘を持っての撮影。
その後、集合写真を撮ってもらう。
「おぉ！すげぇ！」
私達の着物姿を見て、男子が声をあげた。
男子は、石橋君が紺の着物に紺の羽織。
田川君は深い緑の着物にカーキ色の羽織で、小野君が茶色の着物に赤い羽織だった。
「小野君、赤似合うね……」
思わず呟くと
「マジ？やっぱりなぁ～」
って喜ぶ小野君が
「たまちゃんと聡、お揃いっぽいな」
と言い放った。
田川君が深緑の着物を着ていて、まるで合わせたみたいだと思ってはいた！
が、敢えて触れなかったのに！！
ギロリと小野君を睨むと
「それを言ったら、小野っちと繭花ちゃんだってお揃いっぽくない？」
とち～ちゃんがフォローしてくれた。
「あ！本当だ！」
ち～ちゃんの言葉に驚く小野君に、呆れた笑顔を浮かべていると、ち～ちゃんがウインクをして来た。
(ち～ちゃん、カッコイイ！！もう、惚れそうだよ！)
そう思いながら、店員さんに促されて記念写真を撮影。